■第12話 竜骨の荒野と、一日でのレベルアップ
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本編スタートです。
東の果てに広がる『竜骨の荒野』は、その名の通り、見上げるほど巨大な何かの骨が風化して点在する荒涼とした大地だった。いかにも最深部にはボスのドラゴンが控えていそうな、ファンタジーの終盤感が漂う危険地帯だ。
「さて、この街の最高難易度……いっちょやってみるか」
僕は腰の木箱から中級バフポーションの赤と青を取り出して飲み干し、親父さんに譲ってもらった鋼の長剣を抜いて荒野を進んだ。
遭遇した魔物は、岩のような鱗を持つ『アーマーリザード』や、オークよりもさらに巨大な『オーガ』といった、いかにも凶悪な連中だった。
「ふっ!」
僕はオーガの懐に飛び込み、渾身の力で鋼の長剣を薙ぎ払う。
ガツンッ! という硬い手応え。獣牙の森のオークたちのように、一太刀で真っ二つとはいかなかった。さすがは最高難易度の狩場、魔物たちの耐久力も桁違いだ。
「硬いな……でも!」
弾き返された反動を利用して身を翻し、即座に空飛ぶ斬撃を至近距離から放つ。風の刃がオーガの顔面を捉えて怯ませた隙に、二太刀目、三太刀目を急所に正確に叩き込んだ。ズシンッ、と地響きを立てて巨体が沈む。
一撃必殺というわけにはいかなかった。しかし、決して苦戦しているわけではない。
レベル5に到達して30台に乗った基礎ステータスと、中級バフポーションによる強力な補正効果。その二つの相乗効果によって、僕の体は重い剣撃を連続で叩き込み、危険な攻撃はステップで軽々と躱すことができた。ソロでありながら、僕は危なげなく、さくさくとテンポ良く強敵たちを討伐していった。
その日の夕方。
僕は竜骨の荒野で回収した、これまでで一番大きく澄んだ色をした魔石の山を背負って、冒険者ギルドへと帰還した。
「……これが、今日の分です」
「こ、これは……!! 本当にソロで、竜骨の荒野の魔物を倒してきたんですね……!」
カウンターに魔石を広げた瞬間、受付嬢は信じられないものを見るように目を丸くした。
「ええ。ちょっと硬かったですけど、なんとかなりましたよ」
「ソロでの到達もこの街初ですが、初日でこれだけの数の最高ランク魔石を持ち帰るなんて……。あの、念のため、今日も鑑定してみませんか?」
言われるがまま、僕は『ステータス測定板』に手を置いた。
淡い光が文字を形作っていく。それを見た受付嬢が、ひっ、と短い悲鳴のような息を呑んだ。
【レベル:6】
【筋力:46】
【体力:42】
【敏捷:44】
「た、たった一日で……レベルアップ……!?」
受付嬢の震える声が響き、ギルドの酒場スペースが水を打ったように静まり返った。
そして次の瞬間、大爆発のようなざわめきと驚愕の声が巻き起こった。
「おいおい嘘だろ!? 竜骨の荒野でたった一日でレベルが上がるなんて聞いたことねえぞ!」
「普通はパーティ組んで命がけで一ヶ月通って、やっと上がるかどうかだろ!?」
「どんだけ狩りまくったんだよ、あの脳筋野郎……!」
昨日、ソロ到達を祝ってくれた先輩冒険者たちも、もはや祝福を通り越して目玉を飛び出さんばかりに驚愕している。「あいつはバケモノだ」というヒソヒソ声すら聞こえてくるほどだ。
しかし、僕の快進撃はこれだけでは終わらなかった。
それから数日間、僕は毎日竜骨の荒野へと通い詰めた。レベル6へと跳ね上がったステータスと、それに伴ってさらに効果を引き上げられた中級バフポーション。そして何より、荒野の魔物たちの動きに完全に慣れたことで、僕の剣撃はさらなる鋭さを増していったのだ。
初日は数太刀打ち込まなければ倒せなかったオーガやアーマーリザードも、数日後には様相が変わっていた。
「ふっ!」
ズバァァァンッ!!
踏み込みからの神速の一振り。それだけで、岩のように硬い鱗も、分厚い筋肉も、まるで紙切れのように一刀両断できるまでになっていた。
「よし、これならもう荒野の魔物も完全にカモだな」
大量の超高品質な魔石を回収しながら、僕は鋼の長剣を振って血糊を払った。
手元には、今までとは比べ物にならないほど質の高い魔石が大量にストックされている。換金分はもう十分すぎるほどある。
「そろそろ、一気に寺院へ寄進しに行ってみるか」
これだけの質の魔石を大量に持ち込めば、あの神官の少女も驚くはずだ。そして、さらなる上位のポーションが手に入るかもしれない。
僕は期待に胸を膨らませ、ズッシリと重い麻袋を担いで、あの「手頃な寺院」へと足を向けるのだった。
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