■第14話 銀の装備と上位ポーション、そして美しき最深部
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本編スタートです。
親父さんが店の奥から恭しく運んできたのは、息を呑むほど美しい輝きを放つ一式だった。
魔物に対する特効を持たせ、業物として鍛え上げられた純白の『シルバーソード』と、急所を確実に守りつつ動きやすさを追求した『シルバーアーマー』。
「すげえ……かっこいい」
農家の子供以下のステータスから始まり、ボロボロの鉄剣と革鎧で泥臭く戦ってきた僕にとって、それはまさにファンタジーの主人公が身につけるような憧れの装備だった。
翌日、全身を眩い銀色に包んだ僕は、気合も新たに『竜骨の荒野』へと足を踏み入れた。
「ふっ!」
鋭い呼気とともにシルバーソードを一閃する。
キィィィンッ! という澄んだ音とともに、襲いかかってきた巨大なオーガの腕が、抵抗らしい抵抗もなくスッパリと切断された。
「……信じられないな。豆腐でも斬ってるみたいだ」
鋼の長剣の時のような、手に残る嫌な痺れは一切ない。
それだけではない。荒野の奥へ進むにつれて現れるようになった『ボーンウィルム(骨の飛竜)』や『デスナイト』といったアンデッド系の凶悪な魔物に対しても、銀の装備が持つ特効(浄化作用)が劇的に機能した。
飛ぶ斬撃を放てば、風の刃に銀の輝きが乗り、触れただけで魔物たちは浄化されるように灰へと還っていく。シルバーアーマーは魔物の瘴気を弾き、僕の体を完璧に守ってくれていた。
その日の夕方。僕はかつてないほど濃密な魔力を放つ魔石を山のように抱え、いつもの「手頃な寺院」を訪れていた。
「ひっ……!? こ、これは……!!」
麻袋の中身を見た神官の少女は、これまでの驚きとは全く違う、畏怖すら混じったような顔で完全に固まった。
「荒野の奥に行ったら、アンデッドとか凶悪なのがうじゃうじゃいてさ。銀の装備のおかげで大漁だったよ。これでまた、ポーションのランクって上がるかな?」
僕が何気なく尋ねると、少女はゴクリと喉を鳴らし、深々と、まるで高位の貴族や本物の勇者に接するかのような態度で頭を下げた。
「……もちろんでございます。これほど純度の高い、最上位の魔石をこれほど大量に……。もはや、貴方様をただの冒険者などと呼ぶことはできません。女神様も、貴方様の実力を完全にお認めになられました」
そうしてうやうやしく差し出されたのは、美しい金色の装飾が施された豪奢な木箱だった。
「これまでのものとは次元が違います。さらに上の階位となる『上級バフポーションセット』、そして致命傷すら瞬時に癒やす『特級回復薬』もお付けいたします。どうか、ご武運を」
少女の見る目は、かつての「哀れな一般人」を見るものから、完全に「英雄」を見るそれに変わっていた。
新しい最強の装備と、上級バフポーション。
この二つを手に入れた僕は、竜骨の荒野でまさに無双状態となっていた。
毎日凶悪な魔物を狩り続けた結果、僕のレベルは11、12、13と、とんでもないペースで上がり続けていたのだ。上昇し続ける強靭な基礎ステータスに、レベルに応じて効果が跳ね上がる上級ポーションの凄まじい相乗効果。
これらが完全に噛み合った今の僕にとって、最高難易度の狩場すらもはや苦労する場所ではなくなっていた。
「ははっ、いいぞ! どんどん来い!」
群がり来る凶悪な魔物たちを、僕は鼻歌交じりに、まるで草刈りでもするようにさくさくと討伐していく。一日に回収する超高品質な魔石の数は、もはや麻袋をいくつも使わなければ持ち帰れないほどになっていた。
そして、快調に攻略を進めていたある日のこと。
「……ん? 魔物の気配が消えた?」
荒野を奥へ奥へと進んでいた僕は、ふと足を止めた。
先ほどまで絶え間なく襲いかかってきていた魔物たちが、ある境界線を越えた途端、ピタリと姿を消したのだ。
周囲の景色も一変していた。
風化して点在していた骨は、いつしか天を突くほど巨大な真白い肋骨のドームへと姿を変え、僕をすっぽりと包み込んでいる。そして驚くべきことに、その足元には――視界を埋め尽くすほどの、色鮮やかで美しい花々が咲き乱れていたのだ。
「なんだ、ここ……すっげえ綺麗だ……」
死と隣り合わせの荒涼とした大地の中に、突如として現れた神秘的なお花畑。
魔物が一切寄り付かないこの場所だからこそ、これほど超絶美しい世界が手付かずのまま保たれているのだろう。空気に満ちる清浄な魔力からして、何か特別な神秘の力で守られているに違いない。もしここで激しい戦闘があったとしても、この花々には傷一つ、葉っぱ一枚のダメージも入らないだろうという奇妙な確信すらあった。
見惚れるような美しさと、異様に張り詰めた静寂。
本能が、ここから先は今までとは違う「何か」の領域だと告げていた。
ゴクリ、と唾を飲み込み、僕はシルバーソードを強く握り直して、花畑の中心へと歩を進める。
ズシン……。
ズシン……。
やがて、地の底から響くような重低音が、足元を揺らし始めた。
巨大な骨の影と、舞い散る美しい花びらの奥から、ゆっくりとその姿を現したのは――。
「マジかよ……」
僕は思わず息を呑み、その場に立ち尽くした。
荒野の最深部にして、この美しき聖域の主。そこに待ち受けていたものは一体……!?
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