拾遺8-7 『終わりの方法』最終話
結局あの後、二人は泣き疲れて眠ってしまった。
僕が目を覚ますと、セティはすでに着替えを済ませて、窓を眺めていた。
まっさらすぎる青が、とても眩しい。
ベッドから降りて、セティの後ろに立つと、彼は振り返った。
「……セティ、おはよう」
「おはようございます、アウル」
いつも通りに抱きしめようとして、
――やめる。
「アウル」
セティが腕を伸ばして、僕の夜着の前を押さえた。
「……いつも通り。いつも通りに……」
灰の瞳が潤む。
僕は腕を伸ばして、セティをそっと抱き寄せた。
「大好きだよ、セティ」
そして、いつものように額に短くキスを落とす。
でも、声も、セティを抱き寄せる指も、震えていた。
「……僕も、アウルが大好きです」
セティの声も震えている。
腕を解くと、セティはいつものように、髪を整えるための準備をして、部屋を出ていった。
――もう、以前の二人には、戻れないかもしれない。
僕が踏み越えて、僕が壊した。
僕に、泣く資格なんてない。
だけど、涙が、溢れてしまう。
膝をついて、泣いた。
自分勝手に泣くのは、もう、これで最後にする。
だから、今だけは――。
◇
湖畔に建つ、グレイヴハル城。
静かで、美しく、
どこか不思議なこの城は、
月と、輪を持つ星の影に佇んでいる。
創造神オルドが世界を組み、
太陽神ソラエがそれを見つめる、
その只中で。
息を潜め、
語られぬ秘密を抱いたまま。
ホムンクルスである二人は、
この城で、今日も静かに暮らしている。
誰に知られずとも、
それでも――世界は、続いていく。




