拾遺4-3 手記 Ⅱ
今日、エドマンドが我が家に来た!
何年ぶりだろう。
相変わらずのいい男だった。
時が経って渋みが増したというか。
男の私から見ても色気があったな。
娼館に連れて行ったら全ての女を彼に取られるだろう。
まぁ、彼は娼館に行きたがらないだろうけどな。
そう思っていたが、彼もやはり人の子だ。
溺愛している庶子がいるそうだ。
なんだ。
エドマンドも知らないうちに女を囲っていたんだな。
少し安心したような、がっかりしたような。
エドマンドは庶子に城の権利と財産を渡したいようだ。
貴族の重荷は背負わせたくないから、貴族としての権限は渡さない、とも言っていた。
それがいいだろうな。
庶子の母のことは教えてくれなかった。
まぁ、いい。
エドマンドが愛した女だ。信じよう。
それで、城開放の際に手を貸してくれと。
城の開放か。考えたな。
グレイブハル城は立地もいいし景観もいい。
エドマンドなら、うまくやれるだろう。
あれほど落ち込んでいたエドマンドが、以前のように溌剌としていて本当に安心した。
また酒を飲む約束をした。
グレイブハル城の開放? 法的手続き?
そんなもの、いくらでも手を貸してやる。
私は彼にポーカーで一度も勝ったことがないからな。
返さねばならん貸しはいくつもあるんだ。
◇
エドマンドに信頼できる法律家を紹介した。
これであの城は庶子のものだ。
◇
エドマンドを連れて社交界へ参加。
紳士会のポーカーや舞踏会なんぞへも出かけた。
彼の復帰を手伝ったわけだ。
これに関しては、私の手は必要なかった気がするが。
エドマンドにえらく感謝されたので、気分はいい。
先日の舞踏会には、エドマンドは例の庶子を連れてきていた。
驚いた。
恐ろしく美しく、エドマンドが囲って守りたがるのも理解できる。
城を彼に渡せて良かったな、エドマンド。
貴族にしないのも正解だ。
あれは良からぬものも引き寄せる。
◇
エドマンドが度々我が家に遊びに来てくれるようになったのは、正直嬉しい。
だが、彼はひどく落ち込んだり、時には異様に陽気になったりと、どうも不安定だ。
やはりまだ妻子を失ったことを引きずっているのだろうか。
陽気な時に
『私は王を作ったのだ。私にはそれだけの力があったのだ。誇らしく思う』
などと言っていた。
陰気なときは
『あれは、本当に私だったのだろうか。妻子の事故でさえ、神がそう導いたのではないか?』
と漏らすが、何の話をしているのか分からない。
不信心は罪だ。
私の前とはいえ、あのエドマンドがそんなことを言うなんて……。
彼が、頭がおかしくなってしまったというのか?
いや。彼は疲れている。
心が癒えるのは時間がかかるんだ。
待ってやる。
戻って来い。エドマンド。




