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グレイブハル城の観測者  作者: かも ねぎ
拾遺 第三章『緑の継ぎ目に立つ人』
102/160

拾遺3-1 祝福を与えなかった血


 王都オルドンからほど近い、湖のほとりに建つ――グレイブハル城。


 風光明媚なこの城は、いつしか観光名所として知られるようになった。


 美しく、

 静かで、

 それでいて、どこか不思議な場所として。


 この城を守るのは、

 錬金術によって生み出された二体の――ホムンクルス。


 絶世の美貌を持つ青年、アウレリウス。

 そして、彼の手によって生まれた少年、セティ。


 その誕生に、祝福があったのか。


 それとも――

 それを知る者は、誰もいない。


 世界から弾かれたこの城に封じられた、

 厳かな秘密である。


 ◇


 神の御遣いアルケオン 曰く、

 『我が血は選ばれ、

 世界は、王を得た』


 神の御遣いセリス 曰く、

 『我は王の影となった。

 剣も盾も持たず、

 ただ境を守るのみ。

 それが、我が使命』


 神の御遣いノクサ 曰く、

 『我は、見る。

 告げず、裁かず。

 それが我に与えられた血』


 世界はこうして、

 巍然たる理と秩序を、再び星に戴いた。


 だが、ある偉人は、こうも記している。


 『神は、我らに檻を与え給うた。

 壊れぬよう組まれた、

 呪縛の絶えぬ器と共に』


 ――この記録は、

 かつての戦にて、焼失している。



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