4話 もう一人の……(虹耀暦1286年9月:アルクス14歳)
2023/10/10 連載開始致しました。
初投稿になりますのでゆるく読んで頂ければありがたい限りです。
なにとぞよろしくお願い致します。
アルクスを含む4名と1羽は、隠れ里からおよそ1,470kmも離れた魔族らの村落〈ネーベルドルフ〉にて、客人として歓待を受けていた。
単なる受け入れ、ではなく正しく歓待である。
ではなぜ同胞であるのを差し引いたとしても、そこまで手厚くもてなされているのか? と云えば――……。
それは当然、襲撃してきた高位魔獣〈刃鱗土竜〉を村民らの代わりに討伐したからに他ならない。
4人が戦闘に参加していなければ、防衛に当たっていた魔族の数名は間違いなく重傷を負っていただろう。
高位魔獣とはそれほど恐ろしい魔獣なのだ。
そんな危険に過ぎる脅威へ勇敢にもたった4人で不意討ちを仕掛けただけでなく、瞬殺してみせたのだから感謝されないはずもない。
当初こそ半ば茫然としていた〈ネーベルドルフ〉の住民らであったが、その内の一人で山羊角族の村長シモン・レーラーは、我に返ると率先してアル達を迎え入れてくれた。
簡易な自己紹介を済ませ、村人らが「とにかく〈刃鱗土竜〉を運び入れよう」と集落内へ屍骸を引きずり入れ終えた頃。
狩猟や警備を担当している戦士らが数名、息も絶え絶えに駆け込んできた。
全員汗まみれだ。
「シモン! 皆ぁ! マズいぞ! 〈刃鱗土竜〉がこっちに――って、あ……? は? これは、いったいどうなって…………?」
「お疲れ様。うん、襲われたけど丁度やってきた彼らが助けてくれてね。酷い怪我をした者はいないよ」
シモンが見慣れぬ装束の少年少女らを指し示しながら穏やかに彼らを労う。
肩を上下させていた魔族の戦士達は唖然とした。
狩りの途中で独特の這いずった痕跡を見つけたので、急ぎ村落まで戻ってみれば防壁は穴だらけになっているし、血の気が引くのを堪えて村に入ってみれば高位魔獣が無残な屍骸を晒している。
おまけに長のシモンはまだまだ幼さの残る4人の子供を指して、彼らが倒してくれたと言う。
戦士の彼らからすれば何が何やらといった具合だ。
「気持ちはわかるよ。でももう大丈夫だから落ち着いてくれ」
然もありなん、とシモンが苦笑する。
「あ、ああ」
そんな一幕があってアル達4人はすぐに周知されることとなったのだ。
防壁で踏ん張っていた者達に至っては彼らの背中をバシバシ叩いて歓声を上げ、帰って来た他の戦士らにその勇姿を熱っぽく語って屍骸を見せる。
これがかなり功を奏したらしく、その夜は歓迎の宴が開かれるのであった。
また宴の最中にシモンはアル達へ「少しばかりの間、旅の疲れを癒していくと良い」と無対価での滞在まで許可してくれた。
高位魔獣の脅威を打ち払ってくれた礼と、ここの長としてヴィオレッタから直筆の書簡を受け取って頼まれていたらしい。
アル達4人はその申し出をありがたく受け、一党は久方振りにゆったりとした休息をとることができたのであった。
* * *
初めて故郷から遠く離れた樹海を旅してきたせいでかなり気を張って過ごしていたせいか、想像以上に4人の疲労は重かった。
それならいっそしっかり休もうとアルが決定を下して早や3日。
結局この3日間を完全な休養に当てた4人は5日目の朝に出発することをシモンに告げ、今は滞在4日目の夕方だ。
明日の朝に出発予定ということで今朝方から各々で出立準備中だ。
武器や防具もとい防衣の手入れや道程の確認、本来の用途以外でなら割と活躍の機会がある天幕の天日干しに、多少ごちゃついていた背嚢の整理などやることは山積み。
特に解体用に使っていたアルの大型短剣は錆や欠けこそないものの、柄の巻革には魔獣の脂や血が染みついていた。
元がユリウスの長剣なので刃の手入れは欠かさないようにしているが、巻革はそうもいかない。
アルはこの際新調してしまおうと村落の外側――明日旅立つ方角を見ながら皮革を巻き直し、緊急時の武器として不備がないかどうかの点検を行っていた。
その背後から声が掛かる。
「精が出るね、アルクス君。もう少し居てくれても僕らは問題ないんだよ?」
柔らかな男性の声だ。
振り返ったアルの予想通り、そこにはネーベルドルフの長シモンが立っていた。
額に伸びる一対の大きな黒巻き角は、凛華のそれとはまた異なった印象を受ける。
アルはどうもこのシモンからやたらと視線を向けられている気がしていた。
悪い人物ではないし、寧ろお人好しな部類だとは思っている。
しかし視線の正体が何に起因するものなのかわからないため、どうにも居心地が悪い。
「いえ、あまり迷惑をかけるわけにもいきませんし、充分に休めましたから」
それでもアルの返答は穏やかそのもの。
が、すかさずシモンが切り返した。
「そうかい? 君らが来た日や昨日はともかく、一昨日はかなりここの……いや、僕のことを警戒してたように見えたけど」
その言葉にアルの表情が引きつる。
紛れもない事実を言い当てられたからだ。
「あ、ああ、それはまあ俺は頭目ですから。人の親切には感謝すべきなんでしょうけど……親切過ぎた場合は警戒した方がいいんじゃないか? って言われてまして。その、気付いてらしたんですね。不愉快にさせてたらすいません」
弁明染みたアルの謝罪にシモンが笑って首を横に振る。
「仲間を大切にしてるからだろう? それは僕にも理解できるし、共感もできるから不愉快じゃなかったよ。視線を向けてたのも、自覚はあるしね」
口調にも気分を害されたような響きは微塵もない。
「それなら、良かったです。また明日言うつもりですけど、いろいろ助かりました。思ってたよりも疲れてたみたいで。ありがとうございました」
ホッと軽く息をついてアルが頭を下げる。
これは長としてなにくれと便宜を図ってくれたシモン個人への礼だ。
「はは、どういたしまして。なんか照れ臭いね」
その表情を見てやはり根っからの善人のようだとアルが胸を撫で下ろす。
しかし山羊角を生やした魔族が次に言い放ったのは、安心しかけたアルをギョッとさせるに充分な言葉だった。
「ところで、『親切過ぎる他人には警戒すべきだ』って君に進言してくれたのは……君の中のもう一人だったりするのかな?」
アルが絶句する。
(なんでそのことを? コイツ、やっぱり何か……!?)
そこからは早かった。
跳び退って、巻革を巻き直したばかりの大型短剣を逆手に構える。
するとシモンは慌てて弁解し始めた。
「あっ! ちょ、ちょっと待ってくれ! 違うんだ! 今のはヴィオレッタ様に聞いてただけで!」
警戒心を煽ってしまったと気付いたようだ。
「……師匠はそのことを軽はずみに言わないはずです」
断ち切るように言葉を返したアルが警戒心も剥き出しに体勢を低くする。
殺気すら滲ませる彼に、シモンは余計に慌てた。
アルの預り知らぬことだが、山羊角族は戦闘民族ではない。
それでも長として〈ネーベルドルフ〉の住民らの上に立っているのは、山羊角族という種族が魔族の中でもかなりの上位に食い込めるだけの頭脳を持っているからである。
その分、戦闘はからっきしだ。
〈刃鱗土竜〉を打倒できるだけの実力を持つ一党の頭目が放つ殺気に、慌てるのも無理はなかった。
「それはその通りだけど、害意があるわけじゃなくて! 教えてもらえたのは僕も転生者だからだよ! 何か助言があったらしてやってくれないか? ってヴィオレッタ様に頼まれてたんだ!」
その返答にアルの片眉が跳ね上がる。
しかしまだ短剣は収めない。
「転生者? あなたが?」
「そう! 人間からの転生って意味では同じだけど、君とは違う転生で……兎に角、生まれたときには前世の記憶があった。でも受け入れられなくて、その時にヴィオレッタ様の助けを借りたんだ」
「……俺に視線を向けてたのは――」
「同じ人間からの転生者だって教えてもらってたからだよ。僕以外にそういう人は見たことなかったし、君は君で前の君とは違うんだろう? 僕はそうじゃないから、どうしても気になって」
やにわにアルの殺気がフッと掻き消える。
ここまで正確に己の内情を把握しているとすれば、記憶を読む魔眼やそれこそ”異能”でもない限り本当に師から聞いた可能性が高い。
とりあえず話を聞いてみようと思ったのだ。
「ふぃぃぃ~……アルクス君、君っておっかないね」
「あんな言い方されれば誰だって警戒しますよ」
本当に掻いていた冷や汗を拭うシモンに、アルがジトッとした視線を返す。
「あはは、まぁ……確かにね。友人によく胡散臭いって言われるんだ」
「だと思います」
素っ気なくも感情が読み取れる声音にシモンが嬉しそうに笑う。
「それが君の素なんだね。ようやく話ができるくらいになれたみたいで良かったよ」
「まだ一応警戒してますよ」
「わかってる。とりあえずヴィオレッタ様に助けてもらった話をさせてくれないかな? そこで判断してほしい」
「……わかりました」
シモンがそこいらの株に腰掛ける。
長くなるのかもしれない、と思ったアルも不承不承と云った風情で近くの株に座った。
(ようやくだね)
機会は何度となく伺っていたがアルの警戒心が年齢の割に高く、なかなか難儀していたシモンはニッコリ笑って語り出した。
「何から話そうか……そうだね、僕は元々聖国の人間だったんだ。と、言っても今の過激な聖国になる前の――――今から大体、百五十年くらい前かな。その時も魔族と人間で身分は違ったけど、一応同じ国で暮らしてたんだ。魔族に対しての偏見はその頃からあったけど、寧ろ獣人族達への扱いの方がひどくてね……ってそれは今も変わってないか。
ま、それは置いといて。その時の僕は法務貴族の家に生まれた子だった。ただ、生まれつき身体が弱くて二十二歳で死んだんだ。教会なんかにも足繁く通ってたんだけどちっとも良くならなくてね。あぁ、やっぱり辛いなぁなんて思いながら死んだ、と思ったら次の瞬間には山羊角族の末っ子として生まれてた。
訳が分からなかったよ。痛くて苦しくて、最期にようやく楽になれたと思ったら自分より何倍も大きく見える魔族に囲まれてたんだから。ほとんど半狂乱さ。
それから数年経っても前世が邪魔してシモンって名前を自分の名前だと思えない。両親の顔を見ても前世の敬虔な『虹耀教』の両親が浮かぶ。だから僕はあなた方の子供なんかじゃない。可愛がってくれようとしてる兄弟にも、酷い言葉ばかり吐いてさ。
荒れに荒れて……半ば狂い掛けてた。そんな時だったよ、ヴィオレッタ様がうちの故郷に来たのは。風の噂で聞いたってふらっとね。そこで僕は自分の身に起こったことが転生だって、初めて知ったんだ。前の僕が生きてた時代は百年くらい前で、前世の両親はきっともうこの世にいないだろうってことも。
その後はえらい剣幕で叱られたよ。既に老齢だった母や父は間違いなく僕のことを愛してくれているのに、なんて態度だってね。そこで初めて両親の顔をしっかり見た。僕は嘆くばかりで見ようとさえしてなかったんだ。
両親は憔悴してたし――――母さんなんて酷くやつれてたけど、それでも僕を心配してた。それに気付いたら無性に涙が出てきて、僕はようやく現実を受け入れて泣きながら謝ったんだ。なんてことを言ってしまってたんだろう、ごめんなさいってね。きっと今の僕がいたらその場で殴ってたよ。それくらい酷い言葉をぶつけてたんだ。
その後は、僕が持ってる前世の記憶と生まれたときの年代の違いで変わってるものとか、文化とか、山羊角族っていうのがどんな種族なのかとか教えてもらったり、逆に訊かれたり。そうやってヴィオレッタ様に助けてもらったんだ。
こうして今の僕が出来上がった。あ、両親はつい最近穏やかに旅立ったよ。あの時、ヴィオレッタ様が来てくれなきゃ、ああやって見送ることすら出来なかったと思う。だからあの方は、僕の恩人なんだ」
「…………」
アルは言葉を発しなかった。
自分が転生者だと告げたときの師と母の様子を思い出していたのだ。
あんなに不安そうな2人はあの時以来見ていない。
(……そういう、ことだったのか)
アルはようやく彼女らが胸を撫で下ろしていた理由を心底から納得した。
「信じてくれるかな?」
黙っているアルにシモンが問う。
「……ええ、信じます。俺を見てた理由も納得いきました」
「自分と同じ転生者だけど、人格は前世と違うとか別の世界から来たとか聞いたら、いてもたってもいられなくってね。君の中のもう一人とか、何か転生関連で悩みとかあったりするのかなって。僕に出来ることなら手を差し伸べたかったんだ。ヴィオレッタ様が、見ず知らずの子供にそうしてくれたみたいにね」
シモンが温かな笑顔を浮かべる。
そこでアルは警戒を完全に解き、真剣な表情で顎に手をやった。
(悩み……とかあるっけ?)
「正直、転生関連の悩みは全然ないです。前の人格と俺は完全に独立してて会話もできるし、前世の記憶を思い出したときの俺はもうアルクスでしたから。そういうものなんだって」
「そっか、やっぱり僕の時とは何もかも違うなぁ。あ、じゃあアルクス君、君の方の話を聞いてもいいかい? さわりしか教えてもらえなかったんだよ」
「構いません。でも他言無用でお願いしますね。根掘り葉掘り聞かれるのって結構面倒ですから」
「そこは勿論さ。僕も誰にでも教えてるわけじゃないし、その気持ちもよくわかるからね」
それからアルは前世の自分が死んだ理由、そして記憶を追体験してからを語って聞かせた。
久しぶりに転生者だってことを話したなぁ、なんてことを思いながら。
夕暮れの森に転生者2人の声が木霊する。
~・~・~・~
共通点が転生したことくらいしかなかった両者の会話は、思いの外弾んでいた。
喋り始めたときは夕暮れだったのに、今や辺りもすっかり真っ暗だ。
いつの間にかネーベルドルフの住居に灯る明かりや松明の火が周囲を赤く仄かに照らしている。
(夜になっちゃったな)
暗くなっている森を見やったアルを見てシモンもそう感じたのか、パンパンと尻を払いながら立ち上がった。
「そろそろ戻ろうか? 明日は朝から出立だろう?」
「そうですね。っと、一つ質問し忘れてました」
短剣を納めた鞘を後ろ腰の帯に括りつけながら、アルがそんなことを言う。
「なんだい?」
「師匠から物資の中継地点で重要なとこだって教えてもらってたんですけど、ここって旧街道とはいえ共和国から近い場所ですよね? 三十kmで大丈夫なのかなって」
やはり人間の生活圏内から1,500km以上離れた場所で生活してきたアルからすれば、どうしても近く感じてしまうのだ。
「ああ、そういうことか。ここは元々、山羊角族の住んでた場所の近くでね。普段は煙樹って呼ばれる樹木や霧のおかげで見つかりにくいんだ。もう十何年も前にヴィオレッタ様から隠れ里を建造するって聞いたとき、じゃあここを物資の中継地点として新しい集落を作らせてくれって頼んでね。だから住民は元々人間と取引をしてた人だとか、引退した武芸者がほとんどだよ。要は、人間と接しても嫌じゃないって人達の集まりだね」
「…………」
アルはその回答にシモンの本意を覗いた気がした。
そして一瞬だけ躊躇い、結局訊ねてみようと口を開く。
「あの、シモンさんは――」
「うん。いずれ普通に人間と取引できたらなって思ってるよ。魔族と人間がお互いにちゃんと理解できれば今の聖国みたいなことにはきっとならないだろうから」
喋っているうちにアルが非常に賢いことに気付いていたシモンは先んじて答えた。
山羊角族の最も得意なことは頭脳労働だ。この程度の先回りなら造作もない。
「じゃあその、やっぱり――」
「ううん、未練とかじゃあないよ。ただ、どっちも経験した僕から言わせてもらえれば、どっちも大して変わらないと思うんだ。
笑って、泣いて、怒って、悲しんで。まったく別の価値観だったら難しいかもしれない。でもそこまでの違いはないっていうか、そこらへんなんてほぼ一緒だと思わないかい?」
刹那、アルは虚を突かれたような顔をして、
「……そうですね。異世界の人間でも、こっちの半龍人でも、そこは変わらないです」
その後、くしゃっと笑って頷いた。
にへらっと笑みを返したシモンが更に続ける。
「ちょっと特殊な事例の君でさえそうだろう? だからそれが伝わればいいな、いいや伝えてやる! って思ってるんだよ。勿論、この〈ネーベルドルフ〉にまで人間を呼び込むような真似はまだまだ出来そうにないけどね。まずは商人と積極的に関わって、いずれは当たり前に人間と僕ら魔族が関わっていけたらな、と思ってるんだ」
現状、帝国くらいにしか魔族はいない。
王国は昔から魔族が少なく、聖国と共和国は言わずもがな。
生存圏は昔より狭く、俯瞰して見ると人数も減少の一途を辿っている。
だからこそ、シモンは大望を抱いた。
魔族だからと警戒されることも、怖がられることもなく、除けられない世の中になってほしい。
その夢の第一歩がこのネーベルドルフなのだ。
「立派だと思います、って月並みな感想は要らなそうですね?」
アルがそう言って愉快そうに笑う。
なんとなく楽しそうな、思わず笑みを零してしまうような未来だったから。
「そうだね。できれば手伝って欲しいくらいさ」
シモンの穏やかな目には情熱が灯っている。
「帝国で名でも上がれば少しは手伝いになるかもしれませんけど、こればっかりはどうなるかわかりません」
アルの夢というか目標は父のように一から信頼を築き上げられるだけの人物になること。
外の世界に出たがったのも成長の一環としてだ。
まだ人間との関わり合いはないので、将来のことはまだ何とも言えない。
自分の行く末などわからない方がマシだ、といつぞや前世の己は言っていたが今は知りたい気分だった。
「君らの未来に期待だね」
シモンが悪戯げに微笑む。
「月並みな言葉なら要りませんよ?」
ぴしゃりとツッコミを入れたアルとシモンは顔を見合わせ、一拍してから笑い合った。
夜の帳はすっかり下りてしまっていたが、2人は明るい声で尚も語らいながら村落へ戻っていく。
斯くして〈ネーベルドルフ〉出発前夜、アルとシモンにとって奇妙な連帯感を覚える一日の締め括りとなるのだった。
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