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【祝13.4万PV❗️】日輪の半龍人  作者: 倉田 創藍
第1部 少年期・1章 異世界からの転生篇

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0話 甦る死の記憶(アルクス5歳の夏)

今回が導入になります。

 ???年前、現代日本。



 都内近郊のコンビニ。


 緑褐色のMA-1を着た男――長月は、隣の革ジャンを着た友人へ「やってられん」と愚痴を零した。


「せっかくのツーリングでこれだよ。こう寒いんじゃ、走れたもんじゃない」


 午前10時を過ぎているというのに、空はどんよりと暗い。1泊2日のツーリング計画は、この悪天候では台無しだ。


「しゃあない。とっととゴールの温泉に行こうや。雨が降ってないだけマシさ」


「直行かぁ……」


 渋る長月だったが、指先も千切れそうな寒さに、結局は折れた。


「わーったよ、目的地直行な。ルート決めようぜ、コーヒーでも飲みながら」


「おけ。あ、俺はロイヤルミルクティーで」


「その訂正は要らねえ」


 他愛もない会話を交わし、買い物を済ませた2人は、スマホを片手に店外の駐車場へ向かった。


 2台並ぶバイクのタンクが鈍色の空を映している。


 ふと、1台の軽トラが目に入った。店の入り口近くに、バックで駐車しようとしている。


(気持ちは分かる)


 長月がそんな益体もないことを考えた、その時。


 ブィィィィィ――ン!


 耳に突き刺さる、異常に高いエンジン音が。


 そして、次の瞬間。


「は……?」


 軽トラがタイヤ止めを乗り越え、猛烈な勢いで加速した。


 その先には、スマホに目を落としたまま歩く友人の背中。


「斎藤ぉ!!」


 長月は咄嗟に全力で友人の身体を突き飛ばした。

 

 直後、『グシャッ、メキャッ』という悍ましい音が、身体の内側から響く。


 巨大な重機にでも握り潰されたかのような、未体験の圧力。


 景色が明滅する。


 地面に転がった長月の視界に、不自然に折れ曲がった己の腕が映った。


 袖口からこぼれるホットコーヒーが……熱くない。違う、熱を感じない。


「長月っ! 長月ぃっ!? おい車どけろ! どけろっつってんだ!!」


 斎藤の絶叫が聞こえたが、何枚もの襖で仕切られたかのように音も遠い。


 軽トラは、長月を巻き込んだままコンビニの店内にまで突っ込んでいた。


 カヒュー……コシュー……。


 と、掠れた雑音が、自分の呼吸音らしいと理解するのに長月は数秒掛かった。


「――っ! ――!」


 涙ぐんだ友人が赤黒いスマホ片手に何か叫んでいる。が、もう理解できない。


(ああ……悪ぃ、やっちまった)


 せっかくの休日を、凄惨な事故現場に立ち会わせてしまった。


「……あ゛んま゛、気にずんな゛よ」

 

 長月は人の良い友人へ、最期の手向けを絞り出した――が、言えたかどうか。


 しかし、言ったことにして意識をふっと手放す。


 こうして、長月という男は呆気なく命を落とした。



 * * *



「アルっ!? アル!! アルクス!! 大丈夫か!?」


 聞き覚えのある声に少年がゆっくりと眼を開けば、紫紺の裾長外衣(ドレスローブ)を纏う妖艶な美女が、心配そうな顔をしていた。


 悠然と構えている彼女の姿しか知らぬ彼――アルクスは、()()()をパチパチさせて面食らいつつ、()()をふよふよさせて頷いてみせる。


 途端、紫紺の美女はホッと笑みを浮かべた。


「あんな無謀な真似をするとは思わなんだぞ。効果が二乗されて吹き飛ばされたのじゃ。ま、じゃがもう安心せい。儂とっておきの『治癒術』掛けたからの。


 ――む? まだぼーっとしておるようじゃが、本当に大丈夫か? どこか変なとこがあるかの? やっぱりもう一度術を掛け――」


 と、捲し立てる彼女――否、()()()()を遮って、()()()()思い出したアルクスはこう告げた。


「ししょう。ぼく、前世のきおくがあるみたいです」

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