設定設定③:魔法・剣術 (第1章終了時点)
2023/10/10 連載開始致しました。
初投稿になりますのでゆるく読んで頂ければありがたい限りです。
今回まで設定となっております。なにとぞよろしくお願いいたします。
〈 魔 法 〉
魔族が種族と一部の高位魔獣、魔物のみにしか発現しない種族固有の特殊能力。魔族の戦闘における主力のもの。また戦闘形態へ移行する”魔法”を扱う魔族が戦闘民族、それ以外は戦闘民族ではないが特化していないというだけで非常に強力。
変異型と発動型に別れ、戦闘民族である魔族が使う”魔法”は大抵前者。残りが大雑把に後者とされている。
追記:魔獣と魔物は人側が勝手に分類している。脅威度に関係なく襲ってくるのが魔獣、怯えるかじっと観察してきて時には意思疎通が取れるのが魔物。
ヴィオレッタの使い魔は魔獣も魔物も特に拘りはない。これは使い魔にしようとして捕らえたことが一度もなく、その長い人生の中で怪我をした生物が助けられてそのまま使い魔となっている。
アルクスたちに連れて行かせたのは1年ほど前に保護した三ツ脚鴉。
○龍体化:戦闘民族である龍人が戦闘形態へ移るための”魔法”。額の両端から角が一対伸び、腕や足には鱗のようなものが顎先までを覆うように生える。肘には棘が生え、手足の爪は肥大化し鋭くなる。
大小二対、計四枚の飛膜がある翼が生える。飛行も可能だが、羽ばたくわけではなく大きい方の翼二枚から魔力を噴き出して滑空するように飛翔するといった方が正しい。
鱗は魔力耐性が非常に高いが物理耐性はそこそこ。魔力を込めた人狼の毛皮の方がそちらは数段上。龍爪に関しても同様、物理攻撃手段だが狼爪や虎爪が鋭く硬いのに対し、龍爪は多少柔らかいが魔力の通りが良いため龍気を流して使用する。
・ 派生>>部分変化:龍爪を含めた腕だけ、脚だけ、龍眼のみを変化させる省魔力化した”魔法”。アルクスが龍眼を発動する感覚とは別物。
・龍眼:動体視力を爆発的に上昇させる戦闘用に変化した龍人の目。生物が発する余剰魔力すらオーラや蜃気楼のように視覚化できる。瞳孔が黒いスリット状に細くなる。
・ 例外>>龍眼もどき:アルクスの『封刻紋』が6~3時の間、使用可能というか使用限界の龍眼。動体視力のみ向上。
○戦化粧:戦闘民族の亜種と目される鬼人族が用いる”魔法”。顔に独特の紋様が浮かぶことで筋力上昇、動体視力向上など戦闘向きの効果が発揮される。他の戦闘民族が肉体を変化させるのに対し、”魔法”で上昇する能力を割り振るという変わり種。日本の歌舞伎や能・狂言の面を思わせる紋様が浮かぶ。
・無垢の相:戦化粧を発現させた際、最初に覚える紋様。全ての上昇能力が一律で上がる。一般的な鬼人族の女性でも人間の兵士と力較べをすれば容易に勝てるほど上昇する。朱色のむきみ隈のような紋様が浮かぶ。使い慣れるまでは隈取の色も薄い。鬼人の種類に左右されず色は朱色固定。
・ 特殊派生>>異相変:これ自体は”魔法”というより技術。特定の相から特定の相へ”魔法”を解除させることなく移行させる。特定の相が2つ以上ないと効果なし。
・ 深化派生>>修羅桔梗の相:近接戦闘寄りに上昇能力値を割り振った『戦化粧』の別形態。筋力と動体視力にほとんど振っている形態のため、『無垢の相』より防御能力や魔力耐性は低くなる。筋肉が肥大化するのではなく、あくまで筋力全体を上げているので俊敏性は落ちないどころか上昇する。
薄青紫のアイシャドウがかかり、唇に薄紅。二本角の先端が淡い露草色に色付く。額にリボンのついた同じ露草色の華紋様が浮かぶ。鬼歯が鋭く目立ち、瞳には金環。これは冰鬼人の女性の場合。
男性(冰鬼人)の場合、アイシャドウの代わりに濃い同色の隈。角は女性と同じだが、額には何も浮かばず、両目の下に涙が伝ったような紋様になる。
○人狼化:文字通り戦闘民族である人狼族が人間態から人狼へ肉体を変化させる”魔法”。発動時が最も魔力消費が大きい。狼の脚力、筋力、嗅覚、聴覚その他あらゆる面で強化された形態。体格そのものが一回り以上大きくなる。戦闘民族の中でも狩人といえば人狼が真っ先に上がるが真正面からの戦いにも強い方ではある。
龍爪を越える太さの鋭い爪と爆発的な脚力、魔力を通すことで鋼鉄製の剣を難なく受け止める毛皮を持つ。生身でやり合うなら闘気が必須。
・ 派生>>部分変化:上記とコンセプトは変わらないが龍人のそれと違って非常に重要視されている。なぜなら龍人ほど素の魔力量が多くないことに加え、骨格ごとガラッと変異するというのは消費魔力がどうしても多量になってしまう為。腕や下半身、胸から上など頼りたい能力がある部分を変異させるのが一般的。
○精霊感応:上記の戦闘民族とは違い、変異しない森人の特殊系統に属する”魔法”。森人族と鉱人族の”魔法”はこの系統。『妖精の目』と呼ばれるものを例外なく備えていて、その目で見える精霊と意思疎通、魔力を譲渡することで発動させる。
植物や水、風の精霊に嘆願したり、誘ったり、軽いお願いでも気に入られていれば自在に操ることが可能。この見えない何かに頼む動作が、聖国人の魔術や魔晶石(精霊の雫)を扱う際に祈る動作を取る原因でもある。
特殊系統なのは生命反応を持たない精霊という存在に働きかける為。精霊は言葉を持たない植物や水、風といったものの意思が凝集化したものとされている。
森人が『妖精の目』を使った場合、その瞳がその色のまま発光する。
またその目で見えるのは植物と水と風の精霊。鉱人族の目に見えるのは、火と土。光と闇の精霊というのは数が少ないのか現在まで記録に残っているようなものはない。
・ 深化派生>>錬想顕幻:より精密に、より直接的に精霊と意思疎通が可能になった森人の”魔法”。意思を通わせ続けて初めて出来るようになる。木の根が寄り集まって拳や足を象るのは序の口。これがあるため森の中で彼らに勝る種族はいないとすら言われている。
○人虎化:人虎族の”魔法”。人狼の方とほぼ同じだが、狩りより正面からのどつき合いが得意。爪は人狼ほど鋭くないが、筋肉が肥大化するため打撃技が得意。
○撚糸:蜘蛛人族の魔法。そもそも蜘蛛人族の糸は非常に堅牢で、それを”魔法”によって撚り合わせた糸を出す。最低でも2本以上の蜘蛛糸が使われる。また魔力を通すことである程度自在に動かせる。
〈 剣 術 〉
魔術や属性魔力の投射のみで戦える者というのが極々一部だったがゆえ当然のように生まれた近接戦闘術。
帝国、王国、聖国は独自の剣術文化を持つ。共和国はかつて3大国の剣術道場がひしめき合っていた。しかし15年ほど前に実効支配されてからは帝国流派も王国流派も共和国内からめっきり数を減らしてしまっている。
帝国には有名な剣術流派が2つあり、その1つがツェシュタール流。また剣術流派だけでなく、槍術流派も有名。建国の折、勇名を轟かせた3名が剣と槍の名手であったことから脈々と受け継がれている。
○六道穿光流:極東の島国に住む鬼人族が刀を用いて築いた流派。鬼人族たちの生まれはこの国。
元々魔獣(極東では妖獣)相手に編み出された刀術。当時の妖獣は死体に憑りつく”魔法”を使っていた。その寄生された死体は黄泉返りと呼ばれ混乱を生む。そんな混迷の世にあって悪しきを貫き裂く光を振るう、というのが流派名の由来。
また六道穿光流には基本の型が八つしかない。受け継がれていき実戦の中で生まれた派生技を扱う。
型はこの世界の属性、火・水・土・風・氷・雷・光・闇、この八つに沿ったもの。型通りに動き、象徴している属性を己で解釈出来て半人前卒業。ここまでが初伝。
六道穿光流の理念を理解して自由に剣技を放てるのが中伝。
◦陣風:風の型基本。刀を胸か腹にピッタリと沿わせる。風の如く動き回ることを重視した型。
・ 派生技>>陣風刻雨:目に見えぬほどの速さで敵を切り刻む。『陣風』の構えをとり、相手の視覚に回り続けながら刃を当てて動き回る。動体視力とスタミナ、当てて引くだけで斬れる刀だからこそ可能な剣技。サイズの大きな妖獣相手に足や重要な血管が通る部位を何度も斬り回って失血死もしくは出血状態にさせる技が剣技へ転じたもの。
・ 混成派生技>>流吹断・騰車:水の型『雲水』と風の型『陣風』の混成技。飛び上がりながら上昇捻りを入れて一気に刃を抜き斬る。独楽のように回転・上昇する剣技。単体で仕掛けるものではなく、敵の勢いや技を利用する技。
・ 混成派生技>>流吹断・颪車:騰車の真逆、回転と落下の勢いを利用する技。こちらは単体で仕掛けることもある。特に空にいる場合の対空砲撃や技を相殺する場合に利用する。
◦焔燐:火の型基本。常に振る直前を構えとした攻撃的なもの。一撃の膂力に重きを置く型。派生技が一番少ない。基本的に振り下ろしか振り上げか横薙ぎの一太刀しかない。
・ 派生技>>焔燐裂破:己が内に秘めた闘志を一太刀に込めて叩き斬る唐竹割。次の一撃を考えない剣技の為、外したり仕留めれなかった場合、致命的な隙を晒す。
・ 混成派生技>>豪焔嵐舞:脇構えにし、駆ける勢いと直前にしゃがみ込むことで下半身に溜め込んだ力を利用して身体を右回転させつつ飛び出す剣技。螺旋を描いて突進する回転技。『炎気刃』・『蒼炎気刃』を使用している場合、間合いを測りにくくなる為、効果大。
・ 混成派生技>>飛焔烈衝:アルクスの独自。八重蔵が剣閃を飛ばすのを見て真似た剣技。矢尻型に凝縮した剣閃を放つ。『炎気刃』で出た龍焔が勿体ないと考えついたもの。大抵、この技と一緒に『気刃の術』を使って、残りを飛ばす。
・ 混成派生技>>飛焔烈衝・蒼:上記同様、アルクスの独自。『蒼炎気刃』を利用したもの。『炎気刃』が使えなくなった為、アルクスが改名した。
◦葉隠れ:風の型・闇の型の混成構え。一葉あれば相手の眼の前から消えたと錯覚させるほどの移動と隠密に特化した型。刃の照り返しも見えないよう納刀状態。
・ 混成派生技>>夜疾風:アルクスの独自。対象を囲むように動き回り、死角を見抜いたら即座、目にも止まらぬ疾風となって一気に斬り抜ける技。また斬り抜けてすぐ『葉隠れ』に移行する。単体で用いるのではなく基本的に連続技として出す。
◦雲水:水の型基本。特定の構えはないが、大体は右手に刀を持たせてぶらぶらとさせる。雲や水のように絶え間なく流れ続ける流れそのものを表す型。同じリズムでは動かない。攻撃をいなす型でもあり、急流を思わせる勢いで仕掛けることもある。
・ 異説派生技>>妖殻貫き:鞘による技。自らを水の如く定義するのではなく、相対している敵体内にある水を利用する技。衝撃を伝える突き、遠当て。六道穿光流の本筋の考え方ではないため異説とされている。
○ツェシュタール流剣術:帝国で盛んな剣術流派。戦場で培われてきた実戦・対人剣術。八重蔵は奥伝到達者だが、奥伝に到達できる者は非常に少ない。というのも格を下げない為非常に厳しい。
身幅の広い長剣を扱う大剣術、大小2本の直剣を扱う双剣術のみ。普通幅の長剣1本を扱う剣術は帝国剣術流派のもう片方。
凛華が手元でくるくる振り回すのは重剣を使用しているため。普通の大剣術にそういった動作はない。
・鉄砕覇斬:ツェシュタール流大剣術、第一の型であり必殺の剣技。足を踏ん張り、遠心力を乗せた大剣の重量で盾ごと斬り裂くか吹き飛ばすための横薙ぎの剣技。一般剣士が用いても鉄すら切り裂くとされる。凛華はこれに『戦化粧』の膂力も加えて扱う為、非常に強力。
・ 強化派生技>>鋼砕覇斬:上記の鉄砕覇斬を昇華させて鋼鉄すら寸断する技。横薙ぎに追加で縦の振り下ろしも可能になっている。
・交叉輪舞:あえて引きやすい一撃を放つことで相手の攻撃を誘い、最速のカウンターを放つ回転剣技。大剣術にはこういったカウンター技や出鼻を挫く剣技が多い。大剣による動きが大きくなることを利用した誘い技。
〈 現 在 の 装 備 〉
○アルクス・シルト・ルミナス:紅桜色の鞘に納まっている龍牙刀(トリシャの牙を使った太刀)。黒蝋色の鞘に納まっている刃尾刀(刃尾を使った打刀)。龍鱗布(龍鱗と蜘蛛人族の撚糸を使って編まれた真紅の織物、幅広のターバンくらいの長さ)。
○イスルギ・凛華:革帯で吊り下げる尾重剣(刃尾と槍尾を使って打たれた重剣)。直剣(刃尾を使って打たれた直剣)。裾丈の短いジャケットと羽織が合わさった短裾羽織。
○マルクガルム・イェーガー:タンクトップ型の胴防具。『人狼化』しても破れない。腹部と胸部を刃鱗土竜の鱗と鋼を鍛錬した胴で覆われている。変化時、腹部がスライドする。
○シルフィエーラ・ローリエ:3種の樹木(梓・真竹・紫檀)を用いて造られた複合弓。頭巾のついた深い緑褐色の短外套。
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