設定②:魔力関連・魔術名・魔眼 (第1章終了時点)
2023/10/10 連載開始致しました。
初投稿になりますのでゆるく読んで頂ければありがたい限りです。
前回の続きとなります。なにとぞよろしくお願いいたします。
〈 魔 力 〉
心臓にある操魔核が体内に取り込んだ魔素を変換したもの。生物には必ず存在する。例外なし。常に生み出され続け、体内を巡っている。生命力とは別物。枯渇しても死にはしないが体力と紐づいてはいるため疲労には関わる。
魔法、魔術行使に用いるエネルギー源としての役割及びそれそのものを変容させることで火器扱いすることが可能。
・魔素:大気中に存在する魔力の源。魔術鍵語に用いる以外には特筆すべき効果はなし。
・操魔核:心臓下部にある器官。体外から取り込んだ魔素を魔力へと変換し続けている。心臓と同じく止まることはない。操魔核の付近が最も魔力が厚い。
本人以外の膨大な魔力を充てられる(本人の生み出す魔力による層を突破する)ことで一時的な暴走変換が起こる。
変換暴走時の魔力生成量は平時のおよそ3倍。ただし一気に消費するか拡散させなければ自家中毒に陥る可能性大。
・属性変化:属性魔力を生み出す技術。魔力をその属性へ変換すること。その状態のまま投げるだけでも現象は起きる。というより魔力の多い魔族にとってはそれが常套手段。
また属性魔力による魔術の起動は不可。水系統の術×水属性魔力=威力増大、というようなことにはならない。
・特質変化:魔力の形状や粘性を変えること。液体、固体、気体状にまで訓練次第では可能。アルクスの火炎弾は硬質なガワに液体状の炎属性魔力を込めた二重構造のため、着弾地点でガワが割れて爆発する。
ちなみにアルクスが投擲動作を行うのは幼い頃はイメージが掴めずただの放射では飛距離が伸びなかったせいで癖になっているだけ。(例:火炎弾、蒼炎弾、冰柱、・・・etc)
・闘気:体内の魔力を燃焼させることで作り出される。魔力を燃焼させること自体そこそこ難易度が高い。属性魔力を打ち出せる程度では習得不能か一気に魔力が枯渇する。
燃焼による魔力の消費速度が早いうえ、魔力量もある程度必要。そのため人間や獣人族より使用比率は魔族の方が高いが他種族に使えないということは決してない。訓練次第。
また纏わせるだけでもかなりの強度を誇り、体内に巡らせることで身体能力を爆発的に上げることも可能。戦闘民族に属する魔族が魔法と併用で扱う技術として有名。
慣れた者は武器や装身具、爪に送り込むことで硬度を上昇させて扱う。
また種族によって呼び名が変わる。人間は闘気固定だが聖国の者のみ聖気と呼ぶ。その他例:龍気(龍人)、霊気(森人、吸血族)、魔気(人狼)、鬼気(鬼人)等。
〈 魔 術 〉
魔術鍵語を用いて術式を描くことで自然現象や物理法則を捻じ曲げる技術。術式が自然界へ提出する書面、通貨としての魔力、正確に伝えるコミュニケーション能力としての想像力や意思という3要素が重要とされている。
属性魔力による起動は不可。無属性魔力のみに反応して起動する。
術名を声に出すのは意思や想像力を働きやすくさせるための魔術師及び魔導師たちの古くからの知恵。
完全な口頭での術式、つまり詠唱式は廃れてしまっている。
元々は水属性への適性が低く生活に困った魔族が生み出したものだが、技術として発展させたのは人間。魔力量の多寡が主な要因。
作ってしまえば豊富な魔力を持つ魔族は特に困ることもなく同じものを使い続けたのに対し、魔力がそこまで多くない人間は効率化や最適化を模索し続ける姿勢を取った結果、今の発展に繋がることとなった。現在は魔族の中でも有用なものだという認識になっている。ヴィオレッタの影響も大きい。
またヴィオレッタやアルクスの使う魔術は構成に空間がわざと空けてあり、拡張性や意思・想像力を多分に発揮させて扱う術式が多い。展開速度を意識しつつ洗練・昇華を繰り返した形式。魔導師が扱う術式の特性が強い。
帝国や王国で主流なのは術の範囲や規模、威力、投射速度すら固定化しているみっちりと埋まった術式。どちらも実用的だが使用条件が異なる為にこの差異が生まれている。定型術式という呼び方は学術的で、軍用術式が一般的。
魔力が多く、一人ひとりの役割や責任が重いアルクスたちのものは速度と威力を重視した、術師にある程度威力管理を任せている。
それに反し、帝国や王国の者たちは魔族ほど魔力がない者も多いため効率と規格、(集団で用いる前提の)扱いやすさを重視した特性を持つ。
軍人ではない武芸者の魔術師たちは両者の特性を併せ持った術式が多い。その為威力偏重、速度偏重とバランスの悪い式が多かったりするが、これは正しく知識を学ぶ場が少ないことにも起因している。
・魔術師:攻性、防性魔術を扱えるもの、またその総称。細かい分類として、あくまで扱えるだけで術理を理解したり、自分で魔術を組むといったことは知識量的に不可能という部類の者を指す。一般人からすれば魔術師も魔導師も変わりない。
・魔導師:術理を理解し、また理解しようとする魔術師。通常であれば研究者や教授といった単語がその位置に当たるが、戦闘魔術に関する実力試験と論文や研究結果、その双方がなければ王国と帝国、共和国で名乗りは許されていない。
かつて魔導師を語る詐欺が横行した為、国際法として策定された経緯がある。聖国は魔術に関心が薄いため当時から無関心を貫いている。
・魔術鍵語:体内に集めた魔力で魔素を集めて描くことが出来る魔術用の言語。発光しているが、明かりにするには弱い。色味は白、赤、黄、緑、青と様々。この発行色に関しては様々な議論がなされているが不明。
アルクスの『炎気刃』は刀身に薄っすらとオレンジ色の術式が、『蒼炎気刃』では薄い青色が浮かぶ。
また使われる鍵語のそれそのものに意味があり、既存の言語体系とは大きく違っている為、鍵語を専攻している研究者たちがいるほど。
魔術を発明した古い魔族が作ったとする説、元々存在していたものの活用方法として魔術が発見されたという説の2つが有力なものと目されているが真実は不明。
〈 魔 術 名 〉
〇念動術:物体を浮かせ、移動させる。自分の魔力を持っている者には種族問わず無効。術をかける対象に魔力を流し重力を1/3~1/5程度まで相殺して、見えない手で動かす。『念動術』によるこの質量軽減効果が発揮されるのは対象の物体のみ。それ以上は術師への負荷が高くなる。
アルクスが刃鱗土竜戦で自分を軽く出来たのは、術師と掛けられた対象が同一であること、『念動術』ではなくその基礎術式をくり抜くことで重力を操る術式として使用したため。
またこれ以降、アルクスの使う『念動術』は質量軽減効果を完全にマニュアルで操作できるものへと改造されている。
〇幻惑の術:隠れ里の周囲に張り巡らされている魔術。ヴィオレッタの独自。この術が掛かけられている箇所は1歩歩くごとに見える景色が違って見えるという魔術。隠れ里の周囲一帯にかけられているため踏み込めば抜けるまでわけのわからない景色を見続ける羽目になり、心身の弱い者は恐慌状態にすら陥る。
しかしあくまでそれは副次効果。この世界には所謂精神を直接乱す魔術というものはない。考案されていないわけではなく、対象の脳や精神を弄ろうにも弾かれることの方が多く、魔導師が練りに練った干渉術式でも何の訓練も受けていない子供一人にすら効かない。
〇風切刃:風を一直線の刃にして打ち出す。属性魔力ではなく物理的な風である為、魔力耐性の高い相手でも一定の威力を出すことが可能。
・ 派生>>鎌鼬:アルが自分用に改造した『風切刃』。三日月状の弧をした風の刃。『累』と呼ぶ術で連なって飛ばすことが可能。『鎌鼬』へ変えて以降、アルクスは一度も『風切刃』を使っていない。
〇落穽の術:穴を掘る術。元は井戸を掘るために創られたもの。術式単体で棺桶一つほどの土を掘る。ただそれだけの非常にシンプルな構成だった故アルクスが何重にも重ねることができた。
〇治癒術:対象の魔力に自分の魔力を同調させて発動する癒療魔術。魔力の活性化によって自己治癒能力を大幅に底上げする。扱いが難しい。死者には当然無効。
〇時限逆行術式:ヴィオレッタの独自治癒術式。対象の身体状態の時間を巻き戻す術。巻き戻せるのは3日前まで、それ以上はヴィオレッタの魔力でも不可。死者にも作用するが、戻るのは身体状態のみ。
○水鏡:水でできた鏡。それ自体に発光機能はなし。女性が種族問わずコンパクト扱いしている一般的な術。
○八針封刻紋:アルの独自。龍血を完全封印する多重封印術。段階的に解くことが可能。完全封印状態はほぼ人間。蜘蛛の巣を模した時計型の紋章になっている。
解くためには左掌に焼き付けてある『鍵』が必要。
針の位置で段階的にアルクスの龍人としての力が解放・封印される。見た目はそれに釣られて変化していく。
8~6の間:青黒い髪、赤褐色の瞳。戻していくと段階的に明度が上がる。ほぼ人間。
6~3の間:アッシュブラウンの髪、暗紅色の瞳。上記同様、明度が上がっていく。龍爪と龍眼もどきが解除・封印。
3~0の間:灰色の髪、緋色の瞳。1時を越えた辺りで白髪に近くなる。完全な龍眼が解除・封印。
0:銀髪に真紅の瞳。完全解放状態。現状解除した途端暴走する為、実質使用不可。かつて使えていた龍人由来の全てが問題なく使える。龍気が解除・封印。
○拡声の術:そのまま声を大きくする術。メガホンくらいの音量に上げられる。非常に一般的。
○連血水鏡:ヴィオレッタの独自。自分の血を経由させた使い魔とリンクさせることで使い魔の視界を水鏡に映す。無線ドローンと中継モニターのようなもの。
○気刃の術:アルの独自。魔力から闘気、闘気を物理現象へ具象化する術。威力そのものは高い代わりに燃費が悪い。その種族、個人が最も得意とする属性によって何が出るかは変わる。属性に変換しないことも一応は可能。
・ 派生>>炎気刃:最初にアルクスが創った『気刃の術』。刀身を闘気と豪炎で纏う術。刀身の身幅がおよそ1.5~3倍まで広く出来る。豪炎は噴き出し続けているが時折炎が波打つ程度でしっかりとした刀身の形を保っている。アルクスがその熱量そのものと武器本来の切れ味をどちらも生かす為に調整している。騎士盾程度なら軽く斬り裂けるほどの威力を持つ。炎自体も強力な龍焔。
刀身に浮かぶ術式の色はオレンジ。
・ 派生>>蒼炎気刃:炎気刃に使われていた龍焔の代わりに普通の炎が出るようになったアルクスが改良して炎の温度を上げたもの。『炎気刃』の頃にあった闘気を無理矢理に吸収させる術式はなくなっている。最適化してある蒼炎だが龍焔には届いていない。
刀身に浮かぶ術式の色は薄い青色。
・ 派生>>雷光裂爪:マルクがヴィオレッタに頼んで最適化してもらった『気刃の術』。狼爪すべてに薄く闘気と青白い雷を纏う。その熱量と鋭さで厚さ9mmの鉄板、3mmの鋼板を難なく引き裂く。突き刺すことで感電させることも可能。
爪に細かく浮かぶ術式は紫。
・ 派生>>冰気槍刃:凛華が発動させた『気刃の術』。マルクと違ってそのまま『気刃の術』を使用した形に名をつけたもの。重量の増加に見合わない威力を持つ。代わりに取り回しそのものは悪くなるが、この『気刃の術』は最初期に開発されたものであるため瞬間的にしか使えないほど魔力の食いが酷い。
剣身に浮かぶ術式は透き通った青色。
・ 派生>>闘気刃:『気刃の術』の具象化部分を抜いて起動させたもの。単純に闘気を刀身に流すよりは効率的かつ形状の安定化という意図もある。繊細な闘気操作をしないで済む利点もある。
シルフィエーラが強弓に纏わせたのもこれ。
刀身に浮かぶ術式は白色。
○蛇の目:アルの独自。熱探知機能型片眼鏡を形成する。蛇本来のピット器官とはまた別だが、やっていることは似たようなものであったため仕合後にアルがそう名付けた。
〈 魔 眼 〉
魔力を込めることで様々な効力を発揮する瞳。効果は千差万別。人によって全く違う。正気を失うほどの強い感情が脳を内部から強く刺激することで無意識に魔力を用いて法則を歪め、それが眼に宿ったもの。魔眼に覚醒することを発眼するという。
また3タイプに分類可能。
①魔力消費、極大。ただしそれに見合う効果を必ず外部へ齎す。
②魔力消費、小~中。発動し続けることで己の身体能力へ作用する。人間が魔法を使っていると錯覚されるほど。
③魔力消費、極低。本人の認識以外に一切効果がない代わりに視えるものを利用できれば強力。
・釈葉の魔眼:所持者、アルクス。右目の魔眼。魔術鍵語を解読するもの。魔力消費は低。自身の知らない術、鍵語、複雑すぎる術式を視ると一時的に失明する。また情報量の多さから頭痛を引き起こすこともある。虹彩が押し広がり、青白い光が瞳孔へ向けて流れ込む。
・時明しの魔眼:所持者、ヴィオレッタ。左目の魔眼。魔力消費、低。術式を発動させずとも結果がわかる魔眼。逆算的な術式構成を行うのに非常に便利なもの。金色の蜘蛛の巣が虹彩に広がる。実際に時を明かしているわけではない。
・冥瞳:所持者、ヴィオレッタ。右目の魔眼。魔力消費、極低。死者の魂が見えるが、死んだばかりの者以外は魂がどこかへ行ってしまうので非常に短い間しか効果を発揮しない。声が聞こえるようになるわけでもない。瞳は灰闇色に雲がかる。
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