【設定】第2部3章の新規地名、登場人物、魔術名まとめ
2部3章時点での設定となります。
【 新 地 名 】
〇 ドラッヘンクヴェーレ:武芸都市〈ウィルデリッタルト〉から北西方面。馬車で6時間ほど進んだ先の街道沿いにある大きめの村。
不忍大沼という大きな湖があり、「村が興る以前から棲んでいた」とされる推定250年以上を生きる十叉大水蛇という竜種が有名。
また、この十叉大水蛇は帝国が興る以前、小国同士の争いで村が戦火に呑まれて村民らが半ば生を諦めかけた際に顕れて兵らを撃退した、との逸話が脈々と受け継がれている。
それ以来、十叉大水蛇は”水神様”や”蛟様”と呼ばれ村民らから愛され、親しまれている。
尚、村の規模で言えば街とそう変わらないが、頑なに開発を進めないのは件の”蛟様”の棲み処が荒らされたり、汚れたりせぬよう恩神を慮ってのことである。
> 不忍大沼:前述の”蛟様”が棲んでいる湖。全長およそ16km、深さは最長18kmほど。
付近の細々とした河川と繋がっており、水質が非常に良い。村が出来る切っ掛けになったほど。周囲の森から流れ込んでくる栄養も豊富な為、”蛟”が成長するのに十分なほどの生態系も存在している。
【 新 規 登 場 人 物 ( 魔 物 含 め ) 】
〇 十叉大水蛇:現在は八頭八尾を持つ竜種の魔物。
凛々しい蛇のような面立ちに、白く長い髭と鬣、金色の巨大な瞳。胴体は1つで長い首と尾を持ち、鱗は淡い水色で透き通っている。神話から抜け出てきたような威容のおかげかファンも多く、この魔物見たさに訪れる者も多い。
長月が”ヤマタノオロチ”を連想している通り、巨体で水の扱いに長けているが、これは魔法ではない。人種が操る属性魔力と同等のもの。
強力な魔物であるがゆえ、元来の好奇心は旺盛で気性は穏やか。湖に落ちた村民を救けたという話が今もある。
また、この魔物をひと目見た生物学者は「現代基準で”竜種”と呼ぶのは不敬だ」と口を揃えて言う。
これは、太古に存在した”龍種”が疾うに絶滅しており、現代に於ける飛竜や地竜と言えば即ち『竜種=偽龍種』という生物学的常識が成り立っているからである。
ゆえに”蛟”の神秘的造形にすっかり惚れ、熱の入った生物学者などであれば「竜種と偽龍種とで分けるべきだ」と言って憚らない。
そういう経緯もあって、この〈ドラッヘンクヴェーレ〉に棲息する”蛟”は竜種との表現以外で語られない魔物である。
事件が起こった際は、”叛逆騎士”の投げた『魔封輪』によって体内魔力の遅鈍化と一部放出不可の苦しみから大暴れすることとなってしまった。
アルクスによって解放された後、村の火事を消し止めたり、止めてくれた彼へ謝るような仕種を見せたりと、非常に感情豊かである。
〇 ”叛逆騎士”ハインリヒ・エッカート:生粋の戦闘狂。しかし、武道家のように強さを追い求める戦闘ではなく、命を奪うことそのものを好む。人間の原始的欲求は殺戮と闘争であると信じて疑わず、報酬を二の次にそれを求めて後ろ暗い仕事を請け負う帝国人。
十叉大水蛇捕獲に関しても本来は村を火事にする必要はなかったが、『そちらの方が楽しい』という理由だけで襲わせた。
帝国の伯爵家に仕えていた元騎士であったが、同僚の何の気ない「何か面白いことはないか?」という雑談を発端にして、謀反を起こす。
伯爵家の使用人、子供、主君を皆殺しにし、止めようとした騎士達も尽く殺して回った。その際も手段は一切選ばず、人質を取ることに一切の躊躇もなく、また軍の装備品であった兵器類もくすねて使用した。
生存者1名――先の同僚のみを残して事を終え、哄笑を上げながら「どうだ? 面白かったろう?」と血塗れの臓物を差し出したと言う。
また、それ以来”叛逆騎士”と呼称され、指名手配犯となった。
尚、同件の同僚は心神喪失の末、精神を著しく損壊し、自害している。
【 新 規 魔 術 】
〇 燐晄:シルフィエーラ専用の独自魔術(第2部1章設定にて解説)。
専用派生> 燐晄驟墜:シルフィエーラの武器、複合弓を長弓型で扱う際に特化させた『燐晄』。3つある内の最後の1つ。
より長距離に矢を翔ばすべく、空気抵抗を減らすよう矢尻に行けば行くほど尖筆の芯のような形状で『燐晄』を纏う。
シルフィエーラは基本的に上空や斜め上へ向けて放っているが、通常の扱い方でも発射可能。その際は『燐晄一矢』より破壊力は低く、『燐晄縫駆』より貫通力は高い。しかし、複合弓を3つに変化させられる関係上、帯に短し襷に長しといった状況になるので殆どやらない。
『燐晄驟墜』そのものの軌道は弾道ミサイルのような軌道で上昇、上空で風に乗って急速反転。シルフィエーラの思い描く軌道を描きながら真上から燦々と降り注ぐ。
落下の重力も乗る為、貫通力は『燐晄縫駆』を大幅に凌ぐ。対象を射貫いても尚地面にめり込み、指ではとても引き抜けない深さにまで刺さる。
使用者:シルフィエーラのみ。
〇 蒼火撃:ラウラが『釈葉の魔眼』で視てもらいながら、改造に改造を重ねて調整した『火炎槍』。
改造に丸々ひと月要したことに加え、アルクスの指導を受けて弄っているので『火炎槍』の原型はほぼない。また、名付けもラウラ。
杖剣で使用した際は、アルクスの蒼炎杭とそう変わらぬ威力を発揮する。
杖剣なしで使用した場合は、アルクスが指鉄砲状態で蒼炎を撃ち出した際とほぼ同等。元が定型術式であった為、威力が素で高い。当たった瞬間に爆ぜる。
言わずもがな、ラウラが彼の蒼炎を模して改造した独自魔術。再現された当人は気付いていないが他の仲間達にはしっかりバレている。
主な使用者というか、創った当人専用の魔術。
専用派生>> 鋲螺ノ蒼火撃:『蒼火撃』を銃弾サイズに圧縮し、解放した瞬間に爆発力を利用して突き進む。前世の銃弾(この大陸では戦時代の)と同じ原理を利用しているので初速が尋常でない。
籠められた魔力で爆発力を調節可能だが、最低出力でも拳銃並の弾速で飛翔する。
その為、視認できる距離で撃たれれば反応する頃には弾着しているほど。
これを撃ち込まれた”叛逆騎士”は反応こそすれ、異常な熱量と着弾の衝撃によって引き千切られるように右腕を紛失することとなった。
当然、こちらもラウラ専用の魔術。
〇 蒼炎刃:以前囚われた際に鎖を灼き切るべく、ソーニャが使用することになった放出範囲と火力を弄った『火炎槍』。名付けはソーニャがアルクスにあやかってつけた。青いバーナーのような炎を手元に発動させる。
『魔封輪』に刻印されている魔術鍵語のつなぎを削り取る為にラウラが使用した。
【 道 具 】
〇 魔封輪:帝国で30年以上前に使用廃止が決められた手錠。凶悪犯罪者や魔力を多く持っている者、魔術師の犯罪者を拘束するものとして開発されたものだが、実際には拘束力が殆どなく(※)、長期間嵌め続けていると己の魔力で自家中毒に陥るという問題点があった為、廃止されている。
※ また魔力の体外放出を止めるだけであり、体内では扱える。要するに闘気は使える為、嵌めたところで大して効果も上げられなかった。
数年で廃棄処分が決定されたシロモノのはずである為、『魔封輪』について知識を持つ者はそう多くなく、また元の魔力が多い森人のケリアとプリムラは魔法が使えない困惑と閉塞感に苦しめられることになった。
人用のものは前述通りだが、大型魔獣用に開発された方は仕様に致命的な欠陥がある。
というのも、魔獣の動きを鈍らせようとして魔力の動きが鈍くなるようになってしまっているのである。また、複数使用でようやく魔獣側の魔力放出を止めることが可能となる仕様であった為、こちらは公的には一度も世に出ていない。
実験段階で魔獣が大暴れした挙句、人死を出した曰く付きのもの。
アルクスはこの魔力の動きを鈍らせる仕様のおかげで『八針封刻紋』を全て解いたにも関わらず暴走せずに済んだ。
【 等 級 ・ 二 つ 名 】
◯ 二つ名:武芸者や騎士につけられる異名のこと。
◯ 等級:現在、一党は5等級。また今回の事件以降、”鬼火”の一党と呼称されるようになる。認識票のガワは黒鉄。
> アルクス:個人4等級。認識票の中心部は銅。
二つ名:”鬼火”、”灰髪”、”幽炎”、”焦血刀”、”鏖の灰”。
> 凛華:頭目と同様。
二つ名:”冰剣”、”雪獄の舞姫”。
> シルフィエーラ:頭目と同様。
二つ名:”煌夜の精霊”、”天弓”。
> マルクガルム:頭目と同様。
二つ名:”狼騎士”。
> ラウラ:個人6等級。認識票中心部は水宝玉。
二つ名:”炎髪の乙女”。
> ソーニャ:ラウラと同様。
二つ名:”姫騎士”。
> 夜天翡翠:使い魔の三ツ足鴉。普通の鴉より二回りは大きな三本脚の魔獣。十叉大水蛇に刺激を受けたのか、魔力を淡く発することができるようになった。
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