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シャンテル王女は見捨てられない〜虐げられてきた頑張り屋王女は婚約者候補たちに求婚される〜  作者: 大月 津美姫
5章

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91 ロマーフ公宛の手紙

本日より、5章スタートです!

 それは突然のことだった。


「シャンテル様、ジョセフ様よりお手紙のお返事が届きました」


 シャンテルはジョセフと話をする場に関して、ニックを通して伝えるとしていたが、日程調整に手紙を選んだ。


 この方が彼と話すまでの時間も少しは稼げるし、文面からジョセフの気持ちが少しは落ち着いたかどうか、把握できるかもしれないと思ったからだ。


 食事会もいつまでも休んでいるわけにはいかない。そのため、手紙の返事次第で明日にでも参加しようと決めていた。


 ドキドキしながら封を切ると、ジョセフの丁寧な文字が飛び込んでくる。走り書きの文字は見当たらない。少しは落ち着いたようだ。

 そう思ったシャンテルだったが、手紙の宛名を見て固まった。


 これ、ロマーフ公宛のお手紙だわ!


 シャンテルは思わず封筒を確認する。だけど、宛名には確かにシャンテルの名前があった。もしかすると、同じタイミングで手紙を書いていて、入れる封筒を間違えたのかもしれない。


「どうかされましたか?」


 シャンテルの様子を不思議に思ったニックが尋ねてくる。


「ジョセフ様がご自身のお父様に宛てた手紙と中身を間違えてしまったみたいなの」


 他人に宛てた手紙を読むのはよくないと、シャンテルは慌てて閉じようとした。


 だけど、とある一文が目に入って、手が止まった。



 ──ロマーフ王国を実現するため──


 ロマーフ王国??


 いけないことだと思いながらも、シャンテルの視線は手紙の文字を追っていた。


「っ、……なに、これ……」


 シャンテルの手紙を持つ手が震える。


「シャンテル様?」


 ニックの声にシャンテルは顔を上げた。だけど、どう伝えていいか分からない。


「……これを、読んでみて」


 シャンテルはそう言って、彼に手紙を渡した。




 ─────



 拝啓、父上様。

 時間は掛かっていますが、シャンテル様と上手くいきそうです。必ずシャンテル様と結ばれて、王配となり、父上が望むロマーフ王国を実現するため、尽力いたします。

 それから、現王家の血筋は例外なく葬れとのことでしたが、私たちの子が産まれてもシャンテル様のことは見逃していただけないでしょうか。

 私が彼女を説得してみせます。ですから、彼女の命を奪うことだけはお許しください。

 最後に、最近の他国の王族のご様子をお伝えします────



 ─────



 ◆◆◆◆◆



「シャンテル様、手紙には『いつでもいい』と書きましたが、まさか返事を出したその日にお誘いいただけるとは思いませんでしたよ」


 賓客室にやって来たジョセフが嬉しそうに笑う。だけど、シャンテルは彼に笑顔どころか、まともな視線を向けることすらできなかった。

 それでも話を進めるため、なんとか口を開く。


「ジョセフ様、本日お呼び立てしたのは、貴方が送ってくださった手紙を読んだからではありません」

「えっ? もしかして、届きませんでしたか?」

「いえ。……正確に言うと、お手紙は受け取りました」

「それは、どういうことですか?」


 室内の壁際に控えているカールと、珍しく同室しているニックが険しい表情を浮かべている。それに気付いたジョセフもこれまでの交流とは違う雰囲気を感じたようだ。

 彼の瞳が不安げに揺れる。


「ジョセフ様、同じタイミングで他の方にもお手紙を出しませんでしたか?」


 シャンテルがそう伝えた途端、ジョセフの顔がみるみる青くなった。


「……ま、まさか」

「私は……ロマーフ公宛のお手紙を受け取りました。本当は、中身がロマーフ公宛だと気付いてすぐ閉じようとしたのですが、気になる一文が目に入ってしまって──」

「っ、シャンテル様! 違うのです! あれは父上が勝手に!!」


 焦ったジョセフがガタッと立ち上がった。駆け寄ってきたカールとニックが「ジョセフ公子、落ち着いてください」と、宥めて席に座るよう促す。


「ここからは私がお話ししましょう」


 そう言って、ニックが落ち着いた声でジョセフに語りかける。


「ジョセフ公子、貴方には……いいえ、ロマーフ公国にはルベリオ王国王家に対する乗っ取りの疑いがあり、国家侵略の容疑が掛かっています」

「っ!? こ、国家侵略!? 私は! そんなつもりじゃ!!」


 再びジョセフが取り乱す。だけど、先ほどのように立ち上がることはなかった。


「つきましては、今から謁見の間にお越しいただけますか? 弁明はそちらでお聞きします」

「……分かり、ました」


 ニックに促されて、ジョセフは立ち上がる。シャンテルも手紙を受け取った当事者として、彼らの後に続いた。


 そうして謁見の間に入ると、既に国王が玉座に座っていた。

いつもお読みくださりありがとうございます!

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5章開始を記念して本日から6日間、毎日更新します!

その後は一日置きの更新頻度になる予定です。


【更新時間の目安】※変更の可能あり

月→17時台

火~土→23時台

日→午前中


よろしくお願いします!

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