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お師匠様はお留守です!  作者: 瀬名 杏子
11/11

お師匠様はお留守です!

今回も魔法が出せなかった…。

レイアの恋占いは、三日間だけだったので、四日目の午後から薬局を再開させた。


体力回復ドリンクを、デッセ商会の従業員達にも差し入れしたので、在庫が無い。


「レイア、疲れてない?」


「ほとんど体調は戻ったわ。活力鍋でも作ってロベールに差し入れしようかしら?」


「活力鍋は、俺は旨いと思うが食べなれてないと無理だろ?」


「エヴァンもそう思う?自分の分だけにするわ。」


「ネギ抜きにしてくれたら、僕も食べるよ。」


「俺も食べる。体力回復ドリンクの下準備が済んだら、早めに店を閉めて買い出しに行こう。」


今月に入ってから、薬局を一時閉店したり、デッセ商会に体力回復ドリンクを差し入れして、大赤字なんだけど、エヴァンもレイアも大丈夫なの?


お人好しのアリシアに、レイアもエヴァンも似てきたよね~。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



デッセ商会の新店は、開店から一週間が過ぎても、お客さんが結構入っていた。


忙しそうなので、ジェニーに手だけ振って帰って来た。


レイアが、台所で活力鍋の用意をしている。


エヴァンも手伝って、食器を運ぶ。


ドォーン!


「何、今の音?」


「誰か、結界にぶつかったみたい?」


「イタタタ…。」


「この声、ロベールに似てるな?」


エヴァンが様子を見に行くと、やはりロベールだった。


結界にぶつけたロベールのおでこが赤い。


「結界の説明してなかったかしら?」


「うっかりして、忘れてた。」


「ロベール、お店はいいの?」


「あぁ、従業員を交替で休ませる為に、本店から手伝いに来て貰ってるんだ。」


「それなら、いいけど。ロベールは晩御飯はまだよね?」


「何この真っ赤なスープ?」


目の前で、グツグツ煮立つ真っ赤な活力鍋を恐る恐る見ている。


「唐辛子が入ってるの。」


「唐辛子って何?」


「レッド・ペッパーは聞いたことないかしら?」


「レッド・ペッパーは、知ってる。もしかして、ククダラ国の料理?」


活力鍋は、天空の魔女カミーユがククダラ国から持ち帰ったレシピの一つである。


豆腐は、ククダラ周辺国でしか手に入らないので、本場の味とは程遠いが、豚肉と野菜ときのこと薬草と香辛料をたっぷり食べられる料理だ。


「辛いから、喉渇くけどね。身体がポカポカ温まるんだよ!」


「ライアンも食べるのか?」


「この真っ赤なスープが豚肉に合うの。でも、初めて見たらビックリするわよね。時間少しかかるけど、何か作るわ。」


「これから、食事なんだよね。ごめん、食事時に訪ねて来て。」


「ロベールは、忙しいから仕方ないだろ?まだ蒸しパンの残りがあったはずだ。」


薬局の隣に住むマイヤール未亡人に貰った手作りの蒸しパンは、味がなかった。


裏庭で密かに小鳥に食べさせてたよね、エヴァン。


「一口食べてみたら?」


「ライアン、辛い料理が苦手な人もいるんだ。」


「お茶を淹れるわね。」


「それなら、豚肉だけ食べてみるよ。」


エヴァンが取り皿に、豚肉を入れて渡す。


ゆっくり咀嚼している。


「思ったより、おいしい!もっと食べていい?」


ロベールは、育ちがいいせいか、素直だよね。


「後で店に戻るのなら、お酒は無理だね。」


エヴァンも護衛だから、普段は飲まない。


「いいお酒が揃ってるんだけど、残念だな。」


「……?」


「冒険者時代の知り合いやアリシアの友人に各国のお酒を貰うんだよ。」




僕達は、ロベールがデッセ商会の商売について、愚痴(相談)に来たと思っていた。


バザール商会との集客バトルは負けなかったが、カフェの制服や無料配布したチョコチップ入りクッキーにお金をかけ過ぎた為、ロベールは父親から叱責されていた。


その代わり、王都で話題になって国内外から旅行客が新店に立ち寄るようになったから、元は取れたはず。


堅実なデッセ商会のイメージが大きく変わり、女性従業員の意見が取り入れられ、生き生きと働ける職場と認知されるようになった。


レイアとジェニーに一方的に推されていたことは、秘密だ。


ロベールの父親は、ロベールにもっと活躍して欲しかったんだろう?


レイアは、まだ子供なので配慮が足りなくても許して欲しい。


「相談に乗って欲しいんだ。」


「何か、困り事でも?」


「本店の年上の従業員と隠れて付き合っていたけど、父にバレて別れさせられそうなんだ。」


「従業員と付き合っていたの?」


ジェニーもその相手を知ってるのか?


「それは、やっぱりエヴァンにお願いするわ。」


レイアはジェニーの味方だよね。


「どうして反対してるんだ?」


「彼女は賃金のいいデッセ商会でどうしても働きたかったから、経歴詐称したんだよ。」


「いい働き口は少ないからな。」


魔力のない女性の働き口はまだまだ少ない。


「商売は信用が第一だから、彼女は跡取りの妻として相応しくないと言われて…。」


「結婚の約束してたの?」


レイアの声がいつもより低い。


「いや、まだ。」


「「「まさか、子供が?」」」


「子供なんていないよ。彼女は子供好きだから、早く子供が欲しいとは言っているけど…?」


「一人前になってからでしょ!」


それを、まだ子供のレイアが言う?


「エヴァンが友人としてロベールの相談に乗ればいいよ。」


まだ、レイアの謝礼受け取ってないんだよね。


「アリシア様はお留守だし、魔法で解決出来る問題じゃないわね。」


レイアが取り皿に、豚肉と野菜をてんこ盛りに入れる。


「レイア、僕もお代わり。」


「豚肉と野菜いっぱい買ってあるからね。」


僕とレイアは、食事に専念することにした。































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