第9話「巨神」
宇宙に、巨大な影が広がっていた。
ヴォイドスウォーム・コロッサス級。
全長十キロ。
小さな都市ほどの巨体。
その表面は黒い結晶構造で覆われ、無数の赤い光が脈動している。まるで巨大な生物の鼓動のようだった。
GF部隊の五機は、その前に並んでいた。
GF-01 NOVA
GF-02 ORION
GF-03 VEGA
GF-04 ALTAIR
GF-05 DENEB
だが、相手のサイズは圧倒的だった。
ソラが思わず言う。
「……これ、ロボットが戦うサイズじゃないよね?」
レイが冷静に答える。
「艦隊戦レベルだ。」
司令艦アルゴスから通信が入る。
「GF部隊、聞こえるか。」
司令官の声。
「コロッサス級は通常戦艦では止められない。」
一瞬の沈黙。
「お前たちが唯一の戦力だ。」
ソラが笑った。
「なるほど。」
「責任重大だね。」
そのとき。
コロッサス級の表面が動いた。
黒い装甲が開く。
そこから無数の小型ヴォイドが飛び出す。
DENEBの声が響く。
「敵ドローン大量発生!」
「数……三百以上!」
宇宙が黒い群れで埋まる。
レイが指示する。
「各機、迎撃。」
戦闘が始まった。
VEGAが高速突入。
赤い閃光。
ドローンが次々と切り裂かれる。
ORIONが後方から砲撃。
巨大な光線。
敵をまとめて消し飛ばす。
ALTAIRが重力シールド展開。
ドローンの攻撃を受け止める。
DENEBが電子戦を展開。
「敵制御を乱す!」
そして。
NOVA。
ソラが操縦桿を握る。
「いくよ!」
NOVAが重力加速。
敵の群れの中心へ突入する。
拳に重力を集中。
「重力バースト!」
青い衝撃波。
敵が一瞬で吹き飛ぶ。
ソラは笑った。
「これ、慣れてきた!」
だがそのとき。
巨大な影が動いた。
コロッサス級。
その巨大な腕のような構造がゆっくり持ち上がる。
レイの声が鋭くなる。
「ソラ!」
「避けろ!」
遅かった。
巨大な重力波が放たれる。
NOVAが直撃。
機体が吹き飛ばされる。
「うわぁ!」
宇宙空間を転がる。
警報が鳴る。
《機体損傷》
《重力炉出力低下》
ソラが歯を食いしばる。
「やっぱり強い……!」
そのとき。
DENEBの声。
「待って!」
「敵コア発見!」
コロッサス級の中央。
巨大な赤い光。
「そこが制御核!」
レイが言う。
「了解。」
VEGAが加速する。
だが。
その前に。
巨大な壁のような重力場が展開された。
レイが呟く。
「……突破できない。」
ソラが静かに言う。
「じゃあさ。」
NOVAがゆっくり起き上がる。
「ぶち破ればいいんだよね。」
レイが少し驚く。
「何をする気だ?」
ソラは笑った。
「この機体。」
「まだ本気出してない気がする。」
操縦桿を握る。
NOVAの重力炉が唸る。
青い光が急激に強くなる。
AIが警告する。
《未確認モード検出》
《システム名称》
《NOVA Burst Mode》
ソラが目を輝かせる。
「……来た。」
NOVAの全身が青い光に包まれる。
出力が急上昇する。
レイが呟く。
「まさか……」
ソラが叫ぶ。
「いくよ!!」
NOVAが突撃する。
コロッサス級へ。
次の瞬間――
宇宙戦場のバランスが
変わろうとしていた。




