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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第70話「ソラの変化」

ソラの身体が、光り始めていた。


最初は指先だけだった。

次に腕。

胸。

そして瞳。


それは怪我ではない。

異常でもない。


人間の形が、重力へ変わり始めていた。


ミナトが叫ぶ。


「ソラの身体情報が不安定化!」


「肉体とINFINITYの炉心が同調しすぎてる!」


レイの声が鋭くなる。


「止められるか。」


「無理だ!」


ミナトは歯を食いしばる。


「もう、ソラ自身がINFINITYの制御系になってる!」


ソラは、自分の手を見つめた。


透けている。


皮膚の向こうに、星のような光が流れている。


怖くないと言えば嘘になる。


でも、不思議と落ち着いていた。


「……そっか。」


「こうなるんだ。」


レイが言う。


「戻れ。」


ソラは小さく笑う。


「戻りたいよ。」


少し間。


「でも、まだ戻れない。」


INFINITYはVOID ARCHITECTの真核へ進んでいた。


そこは宇宙創造領域。


星が生まれる前の場所。


時間が始まる前の場所。


人間の肉体で存在できる領域ではない。


ソラは理解していた。


ここへ進むほど、自分は人間から遠ざかる。


だが、進まなければ宇宙が終わる。


「ねえ、レイ。」


「なんだ。」


「私、変わってる?」


沈黙。


レイは答えた。


「ああ。」


ソラは笑った。


「そっか。」


レイは続けた。


「だが、君は君だ。」


その言葉に、ソラは少しだけ泣きそうになった。


「……ありがと。」


VOID ARCHITECTの真核が近づく。


巨大な光。


その奥に、次の宇宙の種が見える。


完璧で、静かで、管理された未来。


ソラは前を睨む。


「私は消えない。」


「変わっても。」


「ちゃんと私のまま、越える。」


INFINITYの背に、さらに大きな重力環が開く。


GF-Ωは、ソラの変化に応えるように進化していく。


人間と機体。


機械と宇宙。


境界が薄れていく。


ミナトが震える声で言う。


「これ以上進めば……」


「ソラは、人間として戻れないかもしれない。」


レイは静かに答える。


「それでも、止めれば宇宙が終わる。」


ソラは二人の声を聞いていた。


そして、優しく笑った。


「大丈夫。」


「終わらせない。」


「宇宙も。」


「私も。」


INFINITYが真核へ手を伸ばす。


その瞬間、VOID ARCHITECTが最後の防御を展開する。


無数の宇宙の記録。


滅びた文明の叫び。


終わりの記憶。


それらが、ソラの意識へ流れ込む。


普通なら壊れる。


だがソラは受け止めた。


泣きながら。


笑いながら。


「見てるよ。」


「全部。」


「なかったことになんかしない。」


その言葉に、記録の中の光が揺れた。


滅びた宇宙の記憶たちが、ソラへ道を開く。


レイが呟く。


「……彼らも、託したのか。」


ソラは頷く。


「うん。」


「みんな、続きが欲しかったんだ。」


INFINITYが真核の目前へ到達する。


ソラの身体は、もう半分以上が光になっていた。


それでも、瞳は揺れていない。


「トップを越えるって。」


「強くなることじゃないんだね。」


ソラは静かに言う。


「変わっても、自分で選び続けることなんだ。」


INFINITYの拳が輝く。


真核への道が開く。


だがその先には、さらに過酷な選択が待っていた。


人間として残るか。


宇宙を救うか。


ソラは笑った。


「選択肢が二つなら。」


「三つ目を作る。」


光の中へ、INFINITYが進む。


ソラはもう、ただの少女ではない。


けれど。


まだ、アマミヤ・ソラだった。

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