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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第56話「COSMOS出撃」

黒い巨神が、立っていた。


VOID-GF TYPE SIGMA。


人類のGF-Σ COSMOSを模倣し、VOID ARCHITECTが生み出した対抗存在。


全身は黒い結晶で構成され、背には重力翼に似た歪んだ輪が広がっている。


それはCOSMOSと同じ形をしていた。


だが、そこには人の意志がなかった。


あるのは管理。

修正。

削除。


ただそれだけだった。


ソラは静かに言った。


「似てるけど、違う。」


レイが答える。


「あれは我々ではない。」


ソラは頷く。


「うん。」


「だから勝てる。」


青いCOSMOSが動く。


黒いSIGMAも同時に動く。


二つの巨神が銀河外縁で衝突した。


拳と拳。


重力と重力。


衝撃は星系単位で広がり、周囲のヴォイド群をまとめて吹き飛ばす。


DENEBが叫ぶ。


「敵SIGMA、こちらの出力を完全模倣!」


「動作予測、ほぼ同一!」


ミナトが歯を食いしばる。


「コピーが早すぎる!」


黒いSIGMAが重力翼を振るう。


COSMOSと同じ軌道。


同じ速度。


同じ威力。


青い翼と黒い翼がぶつかり、空間が裂ける。


ソラは笑った。


「ほんとに真似してる。」


レイが言う。


「ならば、読まれる動きは使うな。」


「分かってる。」


ソラは深く息を吸う。


「みんな。」


銀河リンクへ声を送る。


「今から、予定にないことするよ。」


無数の声が返る。


「いつものことです!」


「合わせます!」


「行ってください!」


ソラは笑った。


「最高。」


COSMOSが突然、動きを崩した。


戦術でもない。


最適解でもない。


一見、無駄だらけの軌道。


黒いSIGMAが一瞬止まる。


予測できない。


なぜなら、その動きには効率がなかったから。


レイが小さく言う。


「無茶な動きだ。」


ソラは答える。


「人間っぽいでしょ?」


COSMOSが回転する。


銀河リンクを通じて、無数のGFが微妙に重力をずらす。


偶然のようで、偶然ではない。


計算不能の連携。


黒いSIGMAの防御が遅れる。


COSMOSの拳が胸部に直撃する。


黒い装甲が砕ける。


ソラが叫ぶ。


「これが!」


もう一撃。


「真似できない!」


さらに一撃。


「人類の!」


重力翼が炸裂する。


「無駄だらけの強さだ!!」


黒いSIGMAが大きく後退する。


だが、即座に再構成を始める。


VOID ARCHITECTが学習している。


ミナトが叫ぶ。


「長引かせるな!」


「次は無駄すら模倣してくる!」


ソラは頷く。


「じゃあ、一気に行く!」


COSMOSの胸部が開く。


NOVA核が青く燃え上がる。


銀河全域のGFリンクから、光が集まる。


SPICA。

ARES。

ZEUS。

CRONUS。

MNEMOSYNE。

艦隊重力炉。


すべての力がCOSMOSへ流れ込む。


レイが言う。


「撃てるのは一度だ。」


ソラは前を見る。


「一度で十分。」


黒いSIGMAも同じ構えを取る。


VOID ARCHITECT側の黒い重力が集まる。


青と黒。


二つの巨神が、同時に必殺の一撃を放とうとしていた。


ソラは叫ぶ。


「GF-Σ COSMOS!」


「銀河重力、全開!!」


黒いSIGMAも動く。


二つの拳が、宇宙の中心線でぶつかる。


その瞬間――


銀河外縁の空間が白く弾けた。


衝撃波が広がる。


星々が震える。


艦隊が押し流される。


だが、青い光は消えない。


やがて光が晴れる。


そこに立っていたのは――


COSMOS。


そして。


胸部に巨大な亀裂を刻まれた黒いSIGMA。


ソラは息を吐く。


「勝った……?」


レイが即座に言う。


「まだだ。」


黒いSIGMAの亀裂の奥から、VOID ARCHITECTの本体反応が流れ込む。


SIGMAは崩壊しながら、巨大な門へ変形していく。


DENEBが叫ぶ。


「敵SIGMA、ゲート化!」


「VOID ARCHITECT本体への通路です!」


ミナトが叫ぶ。


「罠かもしれない!」


ソラは前を見た。


「でも、道だ。」


黒い門の奥に、宇宙の外側が見える。


そこにあるのは、創造主の中枢。


届かなかった場所。


前宇宙が敗れた場所。


司令官の声が入る。


「COSMOS、判断を任せる。」


ソラは微笑んだ。


「行きます。」


レイが言う。


「全員でな。」


COSMOSが前へ進む。


背後では、人類艦隊が防衛線を維持する。


無数の青い光が、COSMOSを送り出す。


ソラは操縦桿を握った。


「行こう。」


「創造主の中へ。」


GF-Σ COSMOSは、黒い門へ突入した。


銀河を背負い、人類の未来を抱えて。

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