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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第49話「恒星崩壊」

VOID ARCHITECTの腕が、銀河外縁へ伸びた。


それは腕と呼ぶには巨大すぎた。

山脈でも、大陸でも、惑星でもない。


星系をまとめて掴むための構造体。


COSMOSはその前に立った。


全高八百メートルの巨神。

だが創造主の腕の前では、あまりにも小さい。


DENEBが叫ぶ。


「本体構造、重力圧上昇!」


「周辺恒星が引かれています!」


遠くの恒星が、軌道を外れる。


巨大な光球がゆっくりと歪み、黒い腕へ吸い寄せられていく。


ミナトが青ざめる。


「恒星を……燃料にする気か!」


ソラは前を睨んだ。


「させない!」


COSMOSが突撃する。


青い重力翼が展開し、創造主の腕へ拳を叩き込む。


衝撃。


銀河外縁が震える。


だが、腕は止まらない。


レイが言う。


「硬い。」


「いや、これは物質じゃない。」


ソラが歯を食いしばる。


「存在の厚みが違うんだ……!」


VOID ARCHITECTの腕が恒星を掴む。


恒星表面が崩れ、光が黒へ変わる。


観測官が叫ぶ。


「恒星核崩壊!」


「超新星化します!」


司令官が即座に命じる。


「全艦、退避――」


だが言葉は途中で止まった。


逃げれば、防衛線が崩れる。


逃げなければ、艦隊が焼かれる。


ソラは叫んだ。


「私が止める!」


COSMOSが恒星へ向かう。


崩壊寸前の星。


その前に立ち、両腕を広げる。


青い重力場が恒星を包み込む。


ミナトが叫ぶ。


「無理だ!恒星崩壊を抑え込める出力じゃない!」


ソラは笑う。


「抑えるんじゃない。」


「受け止める!」


恒星が爆ぜる。


超新星爆発。


銀河外縁を焼き尽くす光が広がる。


その中心で、COSMOSは崩壊エネルギーを受け止めた。


装甲が砕ける。


重力翼が軋む。


五つの炉心が悲鳴を上げる。


ソラの視界が白く染まる。


「くっ……!」


レイが叫ぶ。


「ソラ、出力を分散しろ!」


ORIONの砲撃炉がエネルギーを逃がす。

ALTAIRの防御炉が衝撃を受ける。

DENEBの観測炉が崩壊軌道を読む。

VEGAの機動炉が位置を支える。


そして中心で、NOVAのビッグバン炉が燃える。


ソラは叫ぶ。


「恒星一個くらいで――」


「終わるわけないでしょ!!」


COSMOSの重力場が反転する。


超新星の光が一点へ集まる。


破壊ではなく、収束。


散るはずだった星の死を、ひとつの槍へ変える。


レイが息を呑む。


「使う気か。」


ソラは笑う。


「返す!」


COSMOSが右腕を引く。


集束された恒星崩壊エネルギーが、拳に宿る。


「スター・グラビティ――」


拳を突き出す。


「リターン!!」


恒星の死が、創造主の腕へ叩き込まれた。


黒い構造体が大きく裂ける。


VOID ARCHITECTの腕が、初めて後退する。


艦隊から歓声が上がる。


だが。


勝利の光は一瞬だった。


裂けた腕の奥で、別の恒星が暗くなる。


さらに遠く。


別の星も。


また別の星も。


DENEBの声が震える。


「敵、複数恒星を同時吸収!」


「銀河外縁の恒星群が……崩壊していきます!」


ソラは息を呑む。


一つ止めても、次が来る。


VOID ARCHITECTは銀河全体を燃料にしている。


レイが低く言う。


「このままでは銀河が持たない。」


ソラは拳を握った。


「だったら、中心を叩く。」


黒い亀裂の奥。


VOID ARCHITECTの本体へ続く道。


そこへ行かなければ、星は消え続ける。


司令官の声が響く。


「COSMOS、進め。」


「艦隊が道を開く。」


ソラは目を見開く。


「でも――」


司令官は静かに言った。


「この銀河は、君一人のものではない。」


「だから、我々全員で守る。」


艦隊が前へ出る。


崩壊する恒星の光を背に。


消えるかもしれない未来へ。


ソラは涙をこらえ、前を見る。


「分かった。」


COSMOSが再び拳を握る。


「行こう。」


背後では、恒星が次々と崩れていた。


銀河の光が、少しずつ失われていく。


だがその中で、人類の艦隊だけは前進していた。


宇宙を終わらせる者へ。


星の死を越えて。

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