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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第43話「宇宙の設計図」

COSMOSの観測炉が、VOID ARCHITECTの奥へ届いた。


そこにあったのは、核ではなかった。


地図でもない。


記録でもない。


それは――


宇宙の設計図。


ソラの視界に、無数の線が広がる。


星の軌道。

銀河の生成。

生命が生まれる確率。

文明が滅びる時期。

そして、宇宙が終わる瞬間。


すべてが、計算されていた。


「……全部、決まってる?」


ソラの声が震える。


レイが問う。


「何が見える。」


ソラは答えた。


「宇宙の予定表。」


「どの星が生まれて、どの文明が栄えて、いつ消えるか。」


沈黙。


ミナトが低く言う。


「運命……か。」


ソラは首を振る。


「違う。」


「これは、管理表だ。」


VOID ARCHITECTは、宇宙を自由にさせていなかった。


暴走しないように。


早すぎる進化を防ぐために。


リセットに支障が出ないように。


すべてを調整していた。


そして、その設計図の中に。


人類の項目があった。


だがそこだけが、黒く塗りつぶされている。


《異常発生種》


《前宇宙由来》


《修正不能》


《削除推奨》


ソラは笑った。


「ひどい書かれ方。」


レイが静かに言う。


「つまり我々は、予定外の存在。」


ソラは頷く。


「うん。」


「だから勝てる。」


COSMOSが設計図へ干渉する。


ソラは手を伸ばした。


人類の項目。


黒く塗りつぶされた場所。


そこに、新しい線を書き込む。


《継続》


VOID ARCHITECTが即座に反応する。


設計図が揺れる。


人類の項目が消去されようとする。


だが、COSMOSの重力がそれを押し止める。


ミナトが叫ぶ。


「設計図に干渉してる!?」


「ソラ、そこを壊したら宇宙全体に影響が出る!」


ソラは真剣な声で言う。


「壊さない。」


「書き足すだけ。」


VOID ARCHITECTの圧力が増す。


星々の未来が震える。


いくつもの可能性が閉じようとする。


ソラは歯を食いしばった。


「勝手に決めるな!」


COSMOSの腕が、設計図の中心へ突き込まれる。


「未来は、まだ白紙でいい!」


その瞬間。


設計図に、無数の空白が生まれた。


決定されていたはずの未来が、揺らぎ始める。


DENEBが叫ぶ。


「銀河全域で未来予測不能領域が拡大!」


レイが呟く。


「自由意志の発生……?」


ソラは笑う。


「そういうこと。」


だが、VOID ARCHITECTはそれを許さなかった。


設計図の奥から、巨大な修正波が発生する。


COSMOSが吹き飛ばされる。


白い空間が崩れる。


ソラが叫ぶ。


「うわっ!」


目の前に、設計図の最深部が開く。


そこに記されていたのは――


宇宙の最終リセット日。


その日は、遠い未来ではなかった。


すでに始まっていた。


ソラの顔から笑みが消える。


「……嘘。」


ミナトが震える。


「どういうことだ。」


ソラは静かに言った。


「宇宙の寿命、まだ先じゃない。」


「もう限界だったんだ。」


VOID ARCHITECTは、予定通りに来たのではない。


宇宙が本当に崩れ始めていたから来た。


ヴォイドの侵攻は、破壊ではなく緊急処置だった。


レイが言う。


「なら、止めれば宇宙が崩壊する。」


ソラは黙る。


その通りだった。


人類を守るには、リセットを止める必要がある。


だがリセットを止めれば、宇宙そのものが死ぬ。


ソラは設計図を見つめた。


そこには、まだ小さな空白があった。


リセット以外の選択肢。


誰も試したことのない道。


ソラは静かに言った。


「じゃあ、作る。」


レイが問う。


「何を。」


ソラは前を見る。


「宇宙が終わらない方法。」


VOID ARCHITECTが迫る。


設計図が閉じようとする。


ソラはCOSMOSの拳を握った。


「予定表なんか、破ってやる。」


「未来は、これから書く。」


宇宙の設計図に、初めて人類の手が触れた。


そしてその瞬間から。


運命は、運命ではなくなった。

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