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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第41話「ソラの適性の理由」

COSMOSの内部は、コクピットではなかった。


そこは、白い空間だった。


床も壁もない。


ただ、五つの光が浮かんでいる。


NOVA。

ORION。

VEGA。

ALTAIR。

DENEB。


そして中心に、ソラがいた。


レイの声が響く。


「ここは……」


ソラは周囲を見回す。


「五機の意識が繋がってる。」


ミナトの声も入る。


「正確には、重力炉同士の共有領域だ。」


「でも、中心にいるのはソラだけだ。」


ソラは、自分の胸に手を当てた。


「……分かる。」


「COSMOSが、私を見てる。」


その瞬間。


宇宙ログが開く。


前宇宙の記録。


ORIGIN FRAME。


最後の戦い。


そして――


一人の少女。


ソラは息を呑む。


「……誰?」


映像の中の少女は、ORIGIN FRAMEの前に立っていた。


顔は分からない。


だが、重力の波がソラとよく似ている。


いや。


似ているどころではない。


同じだった。


ミナトが震える声で言う。


「重力パターン一致……」


「ソラと、完全一致。」


レイが問う。


「前宇宙の人間か。」


ソラは映像を見つめる。


「……私?」


ログが答えるように再生される。


《未来選択核》


《継承者条件:自己同一性の再発生》


《対象確認》


《アマミヤ・ソラ》


ソラは目を見開く。


「自己同一性……?」


ミナトが呟く。


「魂、なんて言葉は使いたくないけど。」


「前宇宙の最後のパイロットと、同じ重力構造を持って生まれた存在。」


レイが静かに言う。


「だからNOVAが選んだ。」


ソラは黙っていた。


自分の才能は偶然ではなかった。


重力を感じる力も。


NOVAに呼ばれたことも。


宇宙に干渉できることも。


全部、前宇宙から続いていた。


映像の少女が、最後にこちらを見る。


声が響く。


《次の私へ》


ソラは息を止める。


《私は届かなかった》


《でも、あなたは届く》


《終わりを憎まないで》


《ただ、その先を選んで》


映像が消える。


白い空間に静寂が戻る。


ソラは小さく笑った。


「……重いなぁ。」


レイが言う。


「背負う必要はない。」


ソラは首を振る。


「ううん。」


「背負うよ。」


少し間を置く。


「でも、言いなりにはならない。」


COSMOSの重力が震える。


まるで、その答えを待っていたかのように。


ソラは前を見る。


「前の私は失敗した。」


「だから、今の私は別の答えを出す。」


そのとき。


外部で警報が鳴る。


《VOID ARCHITECT干渉増大》


《銀河外縁、空間圧縮開始》


スクリーンには、星々が黒い空白へ吸い込まれていく様子が映る。


レイが言う。


「来るぞ。」


ソラは頷く。


「うん。」


COSMOSが動く。


全高八百メートル。


五つのGFが統合された巨大重力機。


その背に、青い輪が展開する。


ミナトが叫ぶ。


「COSMOS、炉心安定!」


「ただしNOVA核の出力が高すぎる!」


ソラは笑う。


「大丈夫。」


「私、理由が分かったから。」


レイが問う。


「理由?」


ソラは答える。


「私は、同じ失敗をしないために生まれた。」


「でも。」


操縦桿を握る。


「同じ続きを書くためじゃない。」


COSMOSの目が光る。


宇宙の外側へ向けて、重力翼が開く。


ソラは静かに言った。


「私の答えで、越える。」


VOID ARCHITECTの黒い空白が広がる。


その向こうに、巨大すぎる影が見えた。


宇宙の設計者。


終わりの管理者。


COSMOSは、その前へ進む。


初めて人類は、宇宙の外側の存在と同じ高さへ手を伸ばす。


ソラの適性の理由。


それは、血でも才能でもない。


前宇宙から続く問いへの、もう一度の回答権だった。


そして今。


その回答が始まる。

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