第4話「ライバル」
ヴォイドスウォーム・デストロイヤー級の残骸が、ゆっくりと宇宙に散っていく。
破片は重力の流れに引かれ、軌道都市ユグドラシルの外側を漂っていた。
その中央に浮かぶのは二機の巨人。
白と蒼の機体――
GF-01 NOVA。
そしてもう一機。
黒と赤の鋭い機体――
GF-03 VEGA。
コクピットの中で、ソラはモニターを見つめていた。
「……かっこいい機体だな。」
通信が入る。
「褒めても何も出ない。」
冷たい声。
カガミ・レイ。
GF部隊のエースパイロットだった。
ソラは笑った。
「えー、でもほんとに強そうだよ?」
レイは短く答える。
「強い。」
一拍置く。
「少なくとも、候補生よりは。」
ソラは思わず吹き出した。
「うわ、はっきり言うね!」
そのとき管制から通信が入る。
「GF-03、GF-01、両機聞こえるか。」
司令官の声だった。
「戦闘は終了した。両機とも帰投せよ。」
だがレイは動かなかった。
VEGAは静かにNOVAを見つめている。
「司令。」
レイが言う。
「一つ確認したい。」
「その機体の性能を。」
管制が慌てる。
「待てレイ!それは――」
遅かった。
VEGAの背部スラスターが点火する。
一瞬で距離を詰める。
ソラが目を見開く。
「うわ、速っ!」
VEGAの蹴りが飛ぶ。
NOVAの腹部へ直撃――
その瞬間。
ソラの手が動いた。
NOVAが後退する。
重力を踏み、後ろへ滑る。
蹴りはかすめただけ。
レイが少し驚く。
「避けたか。」
ソラが笑う。
「そっちこそ、いきなり何!?」
レイは冷静だった。
「テストだ。」
「その機体。」
「本当に強いのか。」
ソラは操縦桿を握り直す。
「なるほど。」
「じゃあ……」
NOVAが前へ出る。
「テストしてみよっか!」
二機が衝突する。
拳と拳。
宇宙空間に衝撃が走る。
VEGAは高速格闘型。
鋭い連撃。
NOVAはそれを重力移動で回避する。
レイが驚く。
「……重力機動?」
ソラは笑う。
「これ便利なんだよ!」
NOVAが旋回。
重力を圧縮。
拳に青い光が集まる。
レイの目が細くなる。
「さっきの攻撃か。」
だがVEGAも動いた。
背部スラスター最大。
高速突進。
二機が激突する――
その瞬間。
警報が鳴り響く。
管制室が絶叫する。
「両機戦闘停止!!」
「新たなヴォイド反応!!」
宇宙の奥で。
空間がゆっくり裂ける。
そこから現れた影。
先ほどより、さらに巨大。
観測AIが震える。
《新規ヴォイドスウォーム確認》
《サイズ判定》
《リヴァイアサン級》
ソラが呟く。
「……え?」
レイも沈黙した。
巨大な黒い影。
全長数キロ。
惑星の欠片のような怪物。
そして。
その背後で――
さらに空間が裂け始めていた。
レイが言う。
「……来る。」
ソラが笑った。
「いいね。」
操縦桿を握る。
「今度は一緒にやろ?」
レイは静かに答えた。
「……ああ。」
二機のグラビティフレームが並ぶ。
そして。
銀河戦争の本当の始まりが訪れる。




