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トップを越えろ!2  作者: たむ


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第39話「ビッグバン炉の真実」

NOVAの心臓部には、人工特異点炉が積まれている。


人類はそう信じていた。


だが――

それは間違いだった。


銀河防衛機構・第七格納庫。


NOVAの胸部装甲が開かれ、内部の炉心が露出していた。


青く輝く小さな球体。


ブラックホールにも、恒星炉にも見えるそれを、ミナトは長い間見つめていた。


「……違う。」


彼の声は震えていた。


ソラが首を傾げる。


「何が?」


ミナトは解析結果を表示する。


「これは人工特異点じゃない。」


「じゃあ何?」


ミナトは一度言葉を止めた。


そして言う。


「宇宙の始まりの欠片だ。」


沈黙。


レイが眉をひそめる。


「ビッグバンの残滓ということか。」


ミナトは頷く。


「いや、もっと直接的だ。」


「これは“過去のビッグバン”じゃない。」


「内部で、極小規模の宇宙誕生が繰り返されている。」


ソラが目を丸くする。


「え。」


「じゃあNOVAって……」


ミナトは静かに言った。


「小さな宇宙を、心臓にして動いている。」


その瞬間、格納庫全体が静まり返る。


NOVAは兵器ではない。


機械でもない。


宇宙創生機関を抱えた存在。


前宇宙が残した、最後の希望。


ミナトは続ける。


「だからVOID ARCHITECTの法則に干渉できた。」


「同じ“宇宙創生側”の力だからだ。」


レイが言う。


「つまり、こちらも宇宙を作る力を持っている。」


ミナトは険しい顔で頷く。


「使い方を間違えれば、銀河どころか宇宙そのものを壊す。」


ソラはNOVAの炉心を見つめた。


青い光が、静かに脈打っている。


怖いとは思わなかった。


むしろ、懐かしい。


まるで遠い昔から、そこにあったもののように。


「……これが、私を呼んだんだ。」


小さく呟く。


「前の宇宙から。」


そのとき、司令官の通信が入る。


「COSMOS計画の起動準備に入る。」


「各GFは炉心同期を開始せよ。」


ミナトが即座に振り向く。


「待ってください!」


「NOVAの炉心は通常同期できません!」


司令官は低く答える。


「分かっている。」


「だがVOID ARCHITECTの影響範囲は拡大している。」


「時間がない。」


格納庫の奥。


ORION、VEGA、ALTAIR、DENEBの炉心が順に起動する。


それぞれの重力炉が光を放つ。


だがNOVAだけが違う。


青い光は、他の炉心を飲み込むように深く揺れていた。


ミナトが叫ぶ。


「同期を強行すれば、NOVAのビッグバン炉が暴走する!」


レイがソラを見る。


「危険だ。」


ソラは頷く。


「うん。」


「でも、やる。」


レイは沈黙した。


ソラは笑った。


「だってさ。」


「これ、私たちだけの力じゃないんだよ。」


NOVAを見上げる。


「前の宇宙から、ずっと繋がってきた力。」


「ここで止めたら、申し訳ないじゃん。」


ミナトは歯を食いしばる。


そして端末を叩く。


「分かった。」


「暴走させない。」


「俺が制御式を書き換える。」


ソラが笑う。


「頼んだ。」


その瞬間。


警報が鳴り響く。


《外縁第五星系、因果削除》


《VOID ARCHITECT影響範囲、銀河内側へ侵入》


スクリーンには、消えていく星々が映っていた。


爆発ではない。


破壊でもない。


存在しなかったことにされていく。


ソラは操縦席へ向かう。


「NOVA。」


「起きて。」


青い炉心が強く光る。


まるで返事をするように。


五機のGFが円環中枢へ接続される。


COSMOS計画、起動直前。


人類初の宇宙外干渉兵器。


だがその中心にあるのは、兵器ではなかった。


小さな宇宙。


始まりの火。


ミナトが叫ぶ。


「炉心同期、開始!」


五つの光が重なる。


そして。


NOVAのビッグバン炉が、初めて本当の鼓動を打った。


宇宙の始まりが、機械の胸で目を覚ます。


それは希望か。


破滅か。


まだ誰にも分からない。


ソラは操縦桿を握る。


「大丈夫。」


「私が、越える。」


青い光が格納庫を満たした。


そして人類は、宇宙創生の炎に手を伸ばした。

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