第11話「銀河防衛機構」
コロッサス級撃破から、三日後。
軌道都市ユグドラシルは、まだ戦いの余韻に包まれていた。
宇宙港には巨大な戦艦が何隻も停泊し、整備ドックでは破損した機体の修理が続いている。
その中央にある巨大施設。
銀河防衛機構 前線司令部。
人類がヴォイドスウォームと戦うために設立した、銀河規模の軍事組織だった。
その司令室で、重苦しい会議が行われていた。
巨大スクリーンには、先日の戦闘データが映し出されている。
司令官が言った。
「コロッサス級の撃破は、奇跡に近い。」
一人の将官が答える。
「しかし問題はその後だ。」
画面が切り替わる。
宇宙の深部。
そこに映るのは、巨大な重力異常。
惑星のような影。
観測士が報告する。
「推定サイズ……直径三十キロ以上。」
部屋が静まり返る。
「コロッサス級の三倍……」
「いや、質量はそれ以上だ。」
司令官が低く言った。
「新種だ。」
「ヴォイドスウォームの……」
「上位個体。」
その頃。
格納庫。
巨大な整備ドックの中央に、白と蒼の機体が立っていた。
GF-01 NOVA。
その足元で、整備班が忙しく動いている。
「右腕フレーム交換!」
「重力炉安定化!」
その中で、ソラは機体を見上げていた。
「なんかさ。」
整備士に話しかける。
「すごいことになってない?」
整備主任の青年が苦笑する。
「そりゃそうだ。」
彼の名前は――
ミナト。
NOVAの開発チームの一人だった。
「君はコロッサス級を倒したんだ。」
「軍の中でも伝説になりかけてる。」
ソラは困った顔をする。
「えー……」
「そんなつもりじゃなかったんだけど。」
ミナトは笑った。
「まあ、英雄ってそういうものだ。」
そのとき。
格納庫の巨大扉が開いた。
赤い機体が歩いてくる。
GF-03 VEGA。
コクピットハッチが開く。
そこからレイが降りてきた。
彼女はソラを見る。
「司令が呼んでいる。」
ソラが首をかしげる。
「私?」
レイがうなずく。
「正式な辞令だ。」
「君は今日から――」
少し間を置いて言った。
「GF部隊の正式パイロットになる。」
ソラが目を丸くする。
「えっ。」
「ほんとに?」
そのとき。
警報が鳴った。
《緊急警報》
格納庫のモニターが一斉に点灯する。
観測室からの通信。
「重力異常発生!」
「例の巨大反応です!」
宇宙の彼方。
巨大な影がゆっくり動いていた。
惑星のような怪物。
観測AIが言う。
《新規個体確認》
《クラス判定》
《ベヒモス級》
司令官の声が基地に響く。
「GF部隊、出撃準備!」
ソラが笑った。
「休む暇ないね。」
レイが静かに言う。
「……これが。」
「戦争だ。」
そして。
NOVAの重力炉が、再び光り始めた。




