16.そしてハッピーエンド
真実の公表から間もなく。
私とヘンリー様は「白い結婚」を円満に解消した。
「ハハハ!
寂しくなるが、これからも仕事上の協力者としてよろしく頼むぞ、エリーゼ嬢!
……いや、未来の大魔術師夫人殿かな?」
「もう、ヘンリー様ったら!
これからも企画者として、しっかり商会を支えさせていただきますわ」
ヘンリー様は「義心あふれる名商人」として益々評判を高め、ボールドウィン商会は王国随一の大商会へと発展していった。
一方で、名声も資金も、社交界での居場所も失ったオルセン伯爵家は完全に没落。
屋敷も差し押さえられ、伯爵夫妻とアメリアは落ちぶれた身で静かに王都を去っていった。
自業自得の結末を迎えた彼らの消息を辿る者は、もう誰もいなかった。
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そして、晴れ渡る秋の日のこと。
王都の大聖堂にて、私とルカの結婚式が執り行われた。
国王陛下をはじめ、王立魔術師団や商会の人々、そして王都中の人々からの温かい祝福に包まれる中、私たちは夫婦となったのだ。
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そうして式の日の夜。
新しく建てた屋敷の夫婦の寝室でふたりきりになると、ルカが少し照れくさそうに私を引き寄せた。
「……ねえ、エリーゼ。
前世の記憶がある君から見たら、僕なんてまだまだ頼りないかもしれないけど……」
「そんなことないわ。
今のあなたは、世界で一番頼もしくて素敵な私の旦那様よ」
「っ……!
そんなこと言われたら、我慢できなくなるじゃないか……」
真っ赤になったルカは、かつて黒猫の姿で私の膝に飛び込んできた時のように、ぎゅっと愛おしそうに私を抱きしめてきた。
けれど、私を包み込む腕はたくましく、触れる唇は熱い一人の男のそれだった。
「もう黒猫のフリをして忍び込む必要もない。
……これからはずっと、この手で君を抱きしめられるんだね」
「ふふ、そうね。
……大好きな私の騎士様」
前世の記憶があっても、やっぱりルカの前では素直に甘えてしまう。
物置小屋の寂しい夜から始まった私たちの物語。
けれど、ここから始まるのは――ふたりで紡いでいく、甘くて幸せな永遠のハッピーエンドだ。
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