1−4.判決
1−4.判決
新王国暦一四五三年五月二十九日宣告
救国総省書記官 エトワール・ヒルベルト 署名
新王国暦一四五三年 (ユ) 第五三五二九号
○判決
コウザイ・アキラ
上記の者に対する救国行為妨害事件について、当王国軍法会議は、救国軍大将ヨハンナ・パンルヴェ、審理官ハンナ・ドュ=ダランベール・パンルヴェ各出席の上審理し、次のとおり判決する。
○主文
被告人を拘禁十五年に処する。
併せて、この裁判確定の日から二十年間、全ての特権を停止する。
(罪となるべき事実)
被告人は、
第一 新王国暦一四五三年四月二日、救国総省本庁舎において、救国部統括官の明示的命令に違背し、救国作戦を妨害した。これにより、統制の混乱を招き、作戦遂行に重大な支障を生じさせた。
第二 同日、王国貴族たる統括官に対し、公然と命令の妥当性を否定し、職務上の権威を毀損する発言を行った。
(証拠の標目)
救国作戦(ミ号)実行中につき、救国軍法第五十九条(守秘義務)により、証拠の詳細は別紙(ミ号補一)に記載し、本書においてはその表示を省略する。
(法令の適用)
被告人の判示各行為は、次の罪に該当する。
一、王国および救国総省に対する反逆
刑法第七十七条(内乱)
一、救国作戦妨害
刑法第九十五条(王務執行妨害)
一、貴族に対する不敬
救国軍法第五十八条(品位保持義務)および旧王国刑法第七十四条(不敬)
(量刑の理由)
被告人の本件行為は、戦時統制の根幹を揺るがすものであり、その影響は重大である。
特に、個人的信念に基づき命令系統を逸脱した点は、救国軍規の維持に対する明白な脅威であり、看過することはできない。
よって、本軍法会議は厳正なる処断をもって臨むものとする。
(求刑 拘禁十五年)
新王国暦一四五三年五月二十九日
王国軍法会議第七刑事部
救国総省審理官 ハンナ・ドュ=ダランベール・パンルヴェ 署名
*
同日深夜。
壁の魔術式通りに、ジョシュアが魔力を流し込んだ。
カチャ。
静かな解除音。
宝珠の赫い光が消えていく。
「さて、どうするか……」
目に包帯を巻いた香西が、微笑んだ。
月影に、囚人は消えた。




