表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
72/73

第67話 うおォォォォい! お嬢様!

(うおォォォォい! お嬢様! 監督帽子を斜めに被られたそのお姿、あまりに神々しい! 美しさのメガマックス! 世界の真理! 神の領域でございますわぁぁぁ!!!)


 脳裏に渦巻く絶叫を、私は鉄仮面の裏側へとミリ秒単位で厳重ロック!

 現在、ボレアス領主邸の中庭は大惨事の一歩手前となっております!


 目の前には、大工のガストンさんが上半身裸で削り出した「1/100スケールの超精密大理石ビル群」。

 国家予算レベルの美術品を、お嬢様のために惜しげもなく破壊する、あまりにもデンジャラスで文化的な現場。

 すべては、エレナ様(6歳)のおねだりからスタートしました!


「おっきな特撮映画を作りたいの!」

「素晴らしい芸術活動ね! 私が監督を務めますわ!」


 お嬢様のメガホンの角度は完璧な45度。一ミクロンのズレもありません。

 これだけで私の網膜は消滅・浄化されますが、メイドの職務がそれを許しませんわ!


 今回のお題は「旧王都を襲う巨大怪獣シロvs 薄幸のヒロイン(私)& 宇宙怪獣ハミィの強襲」。


「それでは、アクションですわ!」


 ゴゴゴゴゴ……!!!

 地鳴りと共に、初代怪獣王シロがお嬢様の視線が逸れたコンマ一秒の死角で神性を大解放!


 『わ、わおぉ〜〜〜〜んっ』(※重低音の咆哮)


 短い後ろ足だけで「スクッ」と立ち上がると、徹夜明けの相撲取りのように小刻みにプルプル震えながら必死の二足歩行を開始!

 一歩踏み出すたび、足元から吹き荒れる風圧だけで大理石ビルが木端微塵に粉砕!

 背中の毛が青白くチャージされ、神々しく明滅を開始します!


(お嬢様に可愛がっていただくための営業努力に余念がありませんわね、あのクソ犬ゥゥッ!)


 フルチャージしたシロは、口から『放射冷線コールド・アトミック・ブレス』を照射! ビル群を一瞬で氷の彫刻に変え、粉砕・蒸発させます!


 宇宙怪獣ハミィも負けてはいません。お嬢様のカメラが外れた瞬間、裂けたお腹から綿の触手を「三つの首」のようにシュバッと展開! ビルをへし折り、踏み潰す!


 しかし、お嬢様のカメラが向いた瞬間——

 シロは「きゅぅん♡」とハミィを抱きしめて完璧なぬいぐるみポーズを決め、ハミィはただのふかふか人形として一瞬で沈黙!

 これぞ奇跡の二大怪獣決戦(あざとい営業スマイル付き)!


「まぁ! シロちゃん、プルプル二本足で立って……! さすが、伝統的な大怪獣の演出ね!」


 お嬢様、あれは特撮の演出ではなく、ただの「国家予算ビル群のリアル放射冷却爆破」でございます!


 しかしここで最大の問題が発生。「怪獣に襲われるヒロイン(=お嬢様に顎クイされ、優しく抱きしめられる座)」を巡り、私と金髪泥棒猫アリスの血みどろの聖戦が始まりました!


「……抜け駆けは許しませんわよ、メイドさん」


 泥棒猫が不浄な『神罰の光槍』をマシンガンのように乱射!

 私のスカートの陰から放たれた『虚空断ちの銀糸』が光を遮断し、その手首を空間ごと縛り上げます!

「お嬢様のヒロインは私です! 野良聖女はそこらで日傘の台座にでもなっておいでなさい!」


 キンッ! カキンッ! ズバババババッ!!!


 目にも留まらぬ光のレーザーと鋼糸の嵐が吹き荒れ、ビル群の上に『つららシャンデリア』が降下して大爆発!


「きゃあああっ! 助けて、白銀の王子様ぁっ!」

 自分で仕掛けた爆発に巻き込まれたフリをして、お嬢様の足元へ美少女スライディング(※鼻血つき)をキメる泥棒猫!

 だがその卑劣なスライディングを、私の『絶対捕縛』の糸が綺麗に顔面から地面へ叩き伏せます!


 私がすかさずお嬢様の足元へ膝をついた、まさにそのコンマ一秒のこと!

(……温かい。お嬢様が、私の髪を、優しくよしよしと撫でてくださる……っ!)


【メイド脳内システム:警告】

  尊熱量が許容量をギガオーバーフロー! 臨界突破まであと、三秒!


 脳みそが融解! 私は世界の真理に到達し、神の国へ成仏……

 ——しません! ここで終わる私ではありません!


「クランクアップですわ!」


 お嬢様の合図と同時に、マスコットもヒロインも事務官もまとめてベッドへホールド!

 お嬢様直々の「お行儀お仕置き骨格矯正マッサージ&膝枕」が大炸裂!


「「「——ッッッ!!!!」」」


 究極の恩寵を浴びた私たちは、「セレスお嬢様即ち宇宙……」と念仏を唱えながら黄金の光の柱となって昇天しかけました。まさに魂が召されました。


 「わぁ! きらきら光る風船さんだぁっ! 待って待って、エレナといっしょに遊ぼう?」


 横で見守っていたエレナ様が、私たちの魂のしっぽ(紐)を両手できゅっ!

 幼児の無邪気な超握力(※物理拘束)で、天国へ向かう光の柱をグイッと現世(お嬢様の膝の上)へ力任せに引きずり戻してしまいました!


「ゲフッ!? 汚魂が、幼児のピュアな握力で現世に生き返されるぅぅっ!」

 三途の川の門前で強制Uターンさせられる一同!


 その傍らで、宇宙猫のような顔でバグり散らかしたヴィクトリア様が絶叫します!


「ちょっとぉぉッ! 私のことも忘れないでくださるーーッ!?」


 大気圏外まで届きそうなツッコミが木霊する中。

 お嬢様は「ニッコリ」と微笑みながら、紅茶を傾けていらっしゃいます。尊死。


 今日もボレアス領は、とっても平和で、文化的な一日でしたとさ。ちゃんちゃん♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ