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五つの塔の城

作者:春凪とおる
最終エピソード掲載日:2026/07/15
朝、目を覚ますと、右足の親指だけが寒かった。

破れた五本指ソックスの中からこぼれたのは、小さな白い破片。
それに触れた瞬間、私は五つの塔を持つ城の前に立っていた。

親指の塔、人差し指の塔、中指の塔、薬指の塔、小指の塔。
そこに眠っていたのは、忘れたふりをしてきた痛みと、
捨てられなかった小さな我慢だった。

まだ使える。
まだ大丈夫。

そう言い聞かせて残してきたものが、いつの間にか私を冷やしていた。
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