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転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
第二章:モールテナントと眷属の拡大編

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22/23

第22話 コボルトと鉄板焼きバランス栄養ジャンボ餃子!

 まいど! Q21の正解は「① ニュートリ・ブロック」だねぇ!

 味もそっけもない冷たいブロックなんて、腹は膨れても心はちっとも満たされないさね。

 カロリーメイトは忙しい現代人の味方だけど、魔界のディストピア飯と一緒にしちゃダメだよ!


 さて、モールの規模が大きくなってきて、毎日消費する食材の量もとんでもないことになって

きたのさね。自給自足の基盤を作らなきゃいけないんだけどね……。

 今回は、あの冷酷な『管理都市(ディストピア)』の周縁部で大飢饉が起きているって話さ。

 システムに見捨てられたコボルトたちを、わーしの鉄鍋と鉄板で救いに行くよ!


【♪ 魂のオアシス

 (BGM:アコースティックギターと哀愁漂うブルースハープが、乾いた荒野に染み渡る旋律) ♪】


「さあて、冷え切った管理社会の壁を、熱々の肉汁でぶち壊しに行こうかねぇ!」


 メガロモールステーツの発展は留まるところを知らず、連日押し寄せる数万の客によって、

飲食エリアの食材消費量は天文学的な数字に跳ね上がっていた。


「ちゅっ……ダメだちゅ!

 どんなに五色商会の流通網をフル稼働させても、

 近隣の集落からの買い付けだけじゃ、

 新鮮な野菜と穀物が完全にショートするだちゅ!」


 二階の中央モール事務所で、ネズミ獣人のメッキーが、積み上げられた発注書の山に埋もれ

ながら頭を抱えていた。


「俺たちがどれだけ効率的に在庫を管理して、

 ウサミチさんの物流網で運んでも、

 そもそもの『作物』が枯渇すればどうしようもないっすよ。

 この巨大な胃袋を満たすためには、近隣に『農業生産工場』を

 立ち上げないと、遠からず兵糧攻めで自滅するっす」


 ゴブリンのサトルも、魔導板(ダッシュボード)の赤い警告ランプを見つめて深く息を吐いた。


「栄養管理の観点からも、新鮮な野菜は必須よ。

 ビタミンが不足すれば、従業員の免疫力が落ちてしまうわ」


「せや!ワイらブルーカラーワーカーは特にスタミナが要るんや。

 メシがまともに出んかったら、ウチらの工場もストップしてまうで!」


 エルザとペンジも口々に危機感を露わにする。


 そこへ、情報収集に出ていた蜘蛛の獣人・シュンが、静かに天井から降りてきた。


「……悪い知らせです。東の『管理都市(ディストピア)』の周縁部で、

 大規模な飢饉が発生しています。土壌の魔力枯渇による不作ですが……

 システムは、救済措置を一切行う気配すらありません」


「なんと!? それは、なんでだちゅか!」


「……周縁部に住んでいるのは、システムから『低ポイント』と判定された

 亜人や転生者たちだからです。システムは彼らを『維持コストの無駄』

 と判断し、食料の配給プロセスを完全に遮断しました。

 ……厳しい言い方をすると、文字通り彼らは、見捨てられたんです」


 シュンの無機質な報告に、事務所の空気が凍りついた。


「……ふざけんじゃねぇ!」


 怒声を上げたのは、資材倉庫を束ねる竜人族(リザードマン)のザンだった。


「俺たちを使い捨てたのと同じやり方だ!

  その周縁部ってのは、俺のダチだったコボルト族の集落がある場所だぞ!」


「ザンさん、落ち着くっす!

 気持ちは分かるが、管理都市(ディストピア)のすぐお膝元に介入するのはリスクが高すぎるっす。

 あそこは閻魔の直轄地だ。システムの警備網と直接衝突すれば、

 今のモールの警備部門の防衛力程度じゃタダでは済まないっすよ!」


 サトルが必死に制止するが、その横から、床を叩く硬質な音が響いた。


 ピシィィン!


 巨大なお玉を杖代わりに、背中にグレーのランドセルを背負ったちび女将・マリアンが

立っていた。


「リスクだのラスクだの、また頭の冷える言葉を並べてるねぇ。サトル」


「ち、ちび女将……ラスクは言ってませんが……

 で、でも、これはウチの商圏外の……」


「商圏外? 腹を空かせて死にかけてる奴らがすぐ近くにいるのに、

 数字の計算をして見殺しにするのかい?

 あの胸糞悪い『システム』と同じやり方だって、なんで気付かないんだい!」


 マリアンの真っ直ぐな怒りに、サトルはハッとして言葉を詰まらせた。


「いいかい。ウチの店は『はらぺこを笑顔にする』のが絶対のルールさ。

 システムの連中が切り捨てるってんなら、わーしたちが全部拾ってやる!

 ザン! ウサミチ! ペンジ! エルザ! 出張炊き出しの準備だ!

 石原プロの連中にも杉様にも負けんじゃないよ!

 神崎さん、ありったけの肉と小麦粉を用意しな!

 売名行為だの何だのっていう奴には好きに言わせときゃいいのさね!」


「「「御意!」」」


 数時間後、管理都市(ディストピア)の周縁部――第7スラム区画。

 かつては緑豊かな農村だったであろうその場所は、今はひび割れた赤茶けた大地が広がり、

乾いた風が吹き抜けるだけの死の大地と化していた。


「……母ちゃん、お腹空いたよぅ……」


 道端で、犬の獣人であるコボルトの子供が、力なく母親の腕の中でうずくまっていた。

 母親もまた、骨と皮だけになるほど痩せ細り、ただ涙を流すことしかできない。

 コボルト族の長である老犬獣人のバウは、天を仰いで絶望の声を漏らした。


「我らは、先祖代々の土を耕し、命を育むことが全て。

 だがシステムは、我らの農業を『非効率な旧時代の遺物』と切り捨て、

 魔法による、冷めた、味気ない合成食に切り替えた。

 そしてなお、我らを不要なゴミとして見捨てた……。

 これが、真面目に土と生きてきた我らの末路なのか……!」


 その時だった。


 ズドドドドドンッ!!!


 大地を揺るがす轟音とともに、巨大な魔獣トレーラーの車列が土煙を上げて村の広場に

乗り込んできた。


「な、なんだ!? システムの執行部隊が来たのか!?」


 怯えるコボルトたちの前に現れたのは、冷酷な兵士たちではなかった。


「遅くなってすまねぇ、バウの爺さん!!」


 荷台から飛び降りたのは、かつて彼らと共に底辺で苦しんでいた竜人族(リザードマン)のザンだった。


「ザ、ザン!? お前、生きていたのか……!?」


「ああ! 今は最高の場所で働かせてもらってる!

 爺さんたちを助けるために、ウチの『大将』を連れてきたぜ!」


 ザンの背後から、真っ白な割烹着姿の神崎玲二と、グレーのランドセルを背負った

ちび女将・マリアンが颯爽と降り立った。


「「「おー、大将さまー」」」


 コボルトたちは、一斉に割烹着姿の神崎玲二に擦り寄って感謝を伝えようとした。


「そっちじゃねー、うちの大将は、そっちのちび女将だぜ!」


 ザンの大声で、コボルトたちは首を傾げながらも、今度はちび女将のほうへ擦り寄ったが、

あちこちで、見た目は自分たちより小さいマリアンをいぶかしむ声が聞こえてきた。


「あんな小さいのに大将?」

「子供だろ?」

「何しに来たんだ?」


「さあ、あんたたち、お仕事の時間だよ!」


 マリアンが、周囲の不安をかき消すような、おばちゃんのような図太い声で、自分より大きな

者たちに的確な指示出しをして動かしている様を見て、コボルトたちは「うおー、さすが」と

感心する声をあげていた。


「周囲の警戒は任せろ。システムの監視ドローンが近づけば、

 私の防犯プロトコルで瞬時に叩き落とす」


 猫獣人のジッジーが鋭い眼光で周囲に警戒網を張り巡らせる。

 すぐさま、エルザ率いる医療部隊が展開し、倒れているコボルトたちに応急処置を施していく。


「ひどい栄養失調よ! すぐに点滴代わりの特製スープを飲ませて!」


 一方、オークのペンジが「よっこいしょ!」と巨大な特製極厚鉄板を広場の中央に設置し、

ミノが魔力バーナーで一気に火を入れる。


「さあさあ、こんなところで干からびてる場合じゃないよ!

  腹が減っては泣くこともできないからね。

 まずは、わーしの飯を食いな!」


 マリアンが巨大なお玉を掲げると、神崎が流れるような手つきで、子供の頭ほどもある

巨大な餃子を次々と熱した鉄板の上に並べていく。


【♪ 魂のオアシス

 (BGM:テンポが上がり、力強い手拍子とアコースティックギターのリズムが重なる) ♪】


 ジュワァァァァァァァァッッッ!!!


 鉄板の上で、分厚い皮に包まれた『バランス栄養ジャンボ餃子』が焼き上げられる凄まじい音が、

死に絶えていた村に爆発的に響き渡った。

 香ばしく焼ける小麦の匂い、そして溢れ出す豚肉とニラ、ニンニクの強烈な香りが、コボルト

たちの鼻腔を暴力的に貫く。


「こ、この匂いは……っ!」


「さーあ、水溶き片栗粉、いくよ!」


 マリアンが鉄板に豪快に水を差し、すかさず巨大な木の蓋を被せる。

 パチパチ、チリチリチリ……ッ!

 蒸し焼きにされる音は、まるで乾いた大地に降る恵みの雨のようだった。


「……よし、焼き上がりさね!」


「ちび女将、この餃子、すごいわ!

 七大栄養素、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、フィトケミカル

 が全て詰まってるわ!」


 匂いに釣られてやってきたエルザが、特技の栄養素チェッカーで、バランス栄養ジャンボ餃子の

成分組成を解析して、みんなにその有用性を説き始めた。


 そんなことはお構いなしに、マリアンが蓋を開けた瞬間、もうもうと立ち昇る湯気の中から、

見事なきつね色の「羽根」をまとったバランス栄養ジャンボ餃子が姿を現した。


「さあ、遠慮せずに熱いうちに食らいな!」


 バウをはじめとするコボルトたちは、震える手でバランス栄養ジャンボ餃子を受け取った。

 ガブッ!

 サクッ、ジュワァァァ……ッ!!


 分厚くもっちりとした皮を噛み破った瞬間、中に閉じ込められていた熱々の肉汁が、

滝のように口の中へ溢れ出した。


「う、美味ぁぁぁいっ!!!」


 バウの瞳から、大粒の涙がボロリ、ポロリと流れ落ちた。


「なんだこの旨味は……!

 豚肉の強烈なコクに、シャキシャキとした野菜の甘み。

 それに七大栄養素?全てが盛り込まれている、だと。

 それらが分厚い皮に包まれて、一つの完璧な『生命』になっている……!

 まさに、鉄板焼きバランス栄養ジャンボ餃子だ!」


 子供たちも、顔を油まみれにしながら夢中で餃子にかぶりついている。


「美味しい! 美味しいよぉ……!」


 絶望の淵にあったコボルトたちの顔に、みるみるうちに血の気が戻り、生きる活力が満ちて

いく。

 その光景を見て、サトルもメッキーも、自分たちが「計算」で彼らを見捨てようとしていた

ことを恥じ、深く頭を下げた。


「……俺たちの完敗っす。やっぱり、ちび女将には敵わないっすよ」


 サトルが苦笑する。


 マリアンは、餃子を食べて涙を流すバウの前にしゃがみ込んだ。


「コボルトの爺さん。あんたたち、土をいじって命を育むのが得意なんだろ?

 システムが非効率だって笑うなら、わーしたちのところで存分に土を耕しな!

 あんたたちの力があれば、ウチのモールは誰にも頼らずに、

 自分たちで美味い食材を自給自足できるからね!」


 バウは、マリアンの小さな手を、土にまみれた大きな荒れた手でしっかりと握りしめた。


「……ちび女将殿。我らの『土への愛』を、価値があると言ってくださるのか。

 ……ならば、喜んであなた様の傘下に入りますぞ。

 この命に代えても、あなた様の街を豊饒の大地に変えてみせよう!」


 コボルトたちが一斉に地面に膝をつき、マリアンに深く頭を下げる。

 ここに、コボルト族の持つ卓越した農業スキルと、モールの生ゴミから極上の肥料を生み出す

手法が合わさった、一石二鳥のテナントが誕生したのだ。

 メガロモールステーツに『堆肥・循環農業工房』が、レゴブロックのように組み込まれた。


 それは、システムに依存しない完全なる「自給自足の独立国家」の基盤が完成したことを

意味していた。


 そして、この大規模な「炊き出し」の熱狂は、シュンのネットワークを通じて現世のモニター

にも中継されていた。


『システムに見捨てられた村を、餃子で救うおばちゃん……最高かよ!』


『やっぱりマリアン食堂がナンバーワンだ!

  管理都市(ディストピア)の連中、ざまぁみろ!』


 現世からの圧倒的な「いいね」と「ブックマーク」の嵐が、シンクロバフとなってコボルト

たちの枯れた大地に魔力を注ぎ込み、枯れ木に一瞬で緑の芽を吹かせた。


 だが、この大規模な介入を、管理都市(ディストピア)のシステムが黙って見過ごすはずもなかった。

 遠く離れた巨大な灰色の壁の向こうから、不気味な警告のサイレンが鳴り響き始めていた。

 泥臭い人情の国と、冷酷なシステムの街。

 二つの相容れない世界が、ついに直接的な激突へと向かうカウントダウンが、静かに始まっていた。

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 システムの冷たいルールで切り捨てられようとしていたコボルトたち。

 でもね、土を愛し、命を育む彼らの力は、絶対に無駄なんかじゃないのさね!

 わーしらの鉄板焼きバランス栄養ジャンボ餃子の肉汁で、彼らの心もポッカポカに生き返ったよ。

 これでわーしらのモールも、自分たちで美味しい野菜を作れる『循環農業』の基盤ができたさね!

 でも、管理都市(ディストピア)のすぐそばで派手にやっちまったから、いよいよシステムの連中も

黙っちゃいないみたいだねぇ。


 システム(閻魔)からの出題【Q22:コボルト族の誇り】

 システムからは「非効率な旧時代の遺物」として切り捨てられてしまったけれど、

マリアンが「モールの宝」として認めた、コボルト族が得意としているスキルは何かな?


 ① 土壌改良と農業技術

 ② 高速タイピングと暗号解読術

 ③ 仮想通貨のデイトレード


「ヒントはねぇ、彼らの泥だらけで優しい手にあるよ。数字じゃなく、命を育てる力さね。

 ……さあ、あんた達なら、どれが本当の正解か、もう分かってるよねぇ?

 応援の評価☆☆☆☆☆やブックマークを忘れるんじゃないよ!」

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