表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
モールテナントと眷属の拡大編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/23

第21話 竜の鱗と物流の革命! 資材倉庫と鉄鍋炖鯉魚!

 まいど! Q20の正解は「② 旨味を吸い込んだ極太のエリンギ」だねぇ!

 骨まで丸ごと美味しく食べられるように工夫して、最後の一口まで無駄にしないのが、

ウチの下町中華の心意気さね。


 さて、五色商会が引っ越してきてウチの『無限連結国家群(メガロモールステーツ)』も大賑わいだけど、

モノが増えればそれを保管して運ぶ「力持ち」がもっと必要になる。

 今回は、冷酷な『人間の街(管理都市(ディストピア))』から切り捨てられてきた竜人(リザードマン)たちが登場

するよ。システムが作った無機質な街の不気味な噂もついに聞こえてくるみたいだけど……

どんなディストピアだろうと、わーしの鉄鍋でまとめて面倒見てやるさね!


【♪ 威風堂々たる中華の銅鑼

  (雄大な黄河の流れを思わせる、力強くも温かい旋律が響く) ♪】


「さあて、冷え切った鱗も心も、熱々の鉄鍋で芯から温めてやろうかねぇ!」

 五色商会という巨大な流通の血流を得たことで、無限連結国家群(メガロモールステーツ)の物流量は

爆発的な増加の一途を辿っていた。

 広大なトラックヤードには、巨大な魔獣が魔界全土から牽引してきた色とりどりの多軸

コンテナが、まるで巨大な山脈のようにそびえ立っている。

 それぞれのコンテナにはTRISON、COTCO、EVERQREEN、OMEなど既視感のあるロゴが

デザインされている。


「メッキー、ちょっとこれを見てくれ」


 ゴブリンのサトルが、頭を抱えながら手元の魔導板(ダッシュボード)を差し出した。


「ミノさんたちがせっかく巨大な資材倉庫を建ててくれたのに、

 搬入と仕分けが全く追いついてないんすよ」


「ちゅっ! 当たり前だちゅ!」


 ネズミ獣人のメッキーが、山積みのコンテナを見上げて、短い手足をバタつかせる。


「各地から集まった素材がヤードに溢れかえってるだちゅ!

 ウサミチさんの超速デリバリー網がいくら優秀でも、

 この物量を一時保管して仕分ける人員が圧倒的に足りないだちゅ!」


「ゴーリキさん一人じゃ、いくら自慢の筋肉があっても

 そのうち過労で倒れちゃうっすよ……。

 安全に、かつ迅速に重量物を運べる、タフなパワーと

 耐久力を持った種族が喉から手が出るほど欲しいところっすね」


 サトルがため息をついた、その時だった。

 ジッジーのいる警備室からのインカムが、緊迫した音を立てて鳴り響いた。


『……おい、サトル、メッキー。

 ちょっと手を止めて、大至急一階の従業員通用口に来てくれ』


「ジッジーさん? どうしたんすか、そんな血相変えて」


『全身ボロボロの服に身を包んだ集団が迷い込んできた。

 武装はしていないが、全員がまともに立っていられねぇほどの重傷だ。

 すでにエルザの医療班を向かわせたが……どうにも胸糞悪い予感がするぜ』


 急いで一階へ駆け下りると、そこは異様な熱気に包まれていた。


「みんな、しっかりして! すぐに手当てするから、横になって!」


 エルザの鋭い指示が飛ぶ。そこにいたのは、硬い鱗に覆われた巨体を持つ「竜人(リザードマン)」の

集団だった。本来なら魔界でも屈強な戦士として知られる種族だが、その姿はあまりにも

痛ましかった。自慢の鱗はひび割れ、全身は泥と血にまみれ、今にも崩れ落ちそうに肩で

息をしている。


 リーダー格の、ひときわ大きな体躯を持つ隻眼の竜人・ザンが、ヘナヘナと力尽きたように

床へ膝をついた。


「……頼む」


 ザンは掠れた声を絞り出し、サトルたちを見上げた。


「俺たちの……システムポイントは、もうほぼゼロだ……。

 どうか仲間たちに、水と……食料を与えてやってくれ……。

 無料(ただ)でとは言わねぇ。どんな仕事でもやる。

 重労働でも、何でも、だから……っ」


「ちょっと、そんな体で何言ってるのよ!」


 エルザがザンの傷口を診て、思わず息を呑む。


「これ、魔物と戦ってできた傷じゃないわ……。

 過労と、何度も激しくムチで打たれた痕よ!」


 サトルが這いつくばるザンの前にしゃがみ込み、真剣な目を向けた。


「あなたたちほどの強靭な種族が、一体どこでこんな扱いを受けたんすか?」


 ザンは差し出された水を喉を鳴らして一気に飲み干すと、悔しさに顔を歪めて床を叩いた。


「……ここよりずっと東にある『管理都市(ディストピア)』だ。

 システムが推奨する、高得点の『人間』たちのための、完璧で無機質な街さ。

 だが、ポイントが低い俺たち亜人の扱いは……ただの家畜、いや、それ以下だった」


管理都市(ディストピア)……?」


 メッキーのネズミ髭がピクリと跳ねる。


「あそこじゃ、効率と数字がすべてなんだ! 飯だって、味のいっさいしない

 『ニュートリ・ブロック』っていう冷たい合成食しか与えられない。

 俺たちはポイントを稼ぐために、寝る間も惜しんで重い資材を運ばされた!

 だが、少しでも効率が落ちればムチを振るわれ、ペナルティでポイントを

 削られる! そして……ポイントが完全に底をつきかけた俺たちは、

 『不要なリソース』として荒野にポイ捨てされたんだ!」


「……ひどすぎるだちゅ。文字通り、まんまディストピアじゃないでちゅか!」


 メッキーが短い毛を逆立てて憤慨する。サトルも眼鏡の位置を直しながら、冷たい怒りを

声に宿した。


「感情も味覚も排除して、システムに盲従する『いい子ちゃん』だけを優遇か……。

 クソだな。俺が前世で潰されかけた、最悪のブラック企業そのものっすよ」


 システムの冷酷な「理」が作り上げた、恐怖の管理社会。その生々しい絶望の影が、初めて

この人情のモールに落ちた。その沈黙を破ったのは、小気味いい金属音だった。


 ピシィィン! と、硬い床をお玉で叩く音が響き渡る。


「――まったく、どいつもこいつも、ふざけた話をしてくれるじゃないのさ!」


 マリアンだった。グレーのランドセルを揺らし、小柄な肩を怒りに震わせている。


「マリアンさん!」


「数字が減ったからって、ボロボロになるまでこき使ってポイ捨てだって?

 そんな血の通ってないシステムの街なんか、こっちから願い下げさね!

 あんたたち、よくぞここまで生きて逃げてきたね!」


 マリアンはザンの前に堂々と仁王立ちし、腰に手を当ててニカッと笑った。


「安心しな! ウチのモールじゃ、そんなポイントなんてただのゴミクズさね!

 あんたたちのその立派な鱗と力、ウチの『資材倉庫』で存分に振るってごらん!

 その代わり、わーしが責任持って、あんたたちの冷え切った魂の底まで温まる

 美味い飯を食わせてやるさね!」


 ザンが驚いて隻眼を見開く。


「……俺たちを、雇ってくれるのか? 飯まで……?」


「当たり前じゃないか! 腹が減っては仕事もできないだろ!

 神崎さん! 特大の鉄鍋を用意しな! 今日はありったけの川魚をぶち込むよ!」


 厨房の奥から、低く頼もしい声が響く。


「御意に。ちび女将、すでに準備は整っております」


「さあ神崎さん、豪快にやっちゃって!」


「お任せを」


 五色商会の流通網で仕入れた、丸々と太った魔界の巨大鯉。料理人・神崎の見事な包丁捌き

により、一瞬にして綺麗な筒切りにされていく。マリアンが真っ赤に熱した特大の鉄鍋に、

たっぷりの油を注いだ。


 ジュワァァァァァァッ!!!


「長ネギ、生姜、ニンニク! スパイスもケチらずたっぷりとさね!」


 激しい油の音と共に、強烈に食欲をそそる香りが一気に広がっていく。


「そこへ鯉を投入! 特製の醤油と、濃厚な味噌ダレを一気に流し込むよ!」


 鍋の中はグツグツと力強い音を立てて煮え滾り、濃密な湯気が立ち上る。


「ちび女将、トウモロコシ粉の生地が練り上がりました」


「よし、ここからが本番さね!」


 マリアンは黄金色の生地を手に取ると、煮え立つ鍋の「(ふち)」に、ペタッ、ペタッと

リズミカルに貼り付けていった。


 パチパチ、サクッ……。


「鍋の直火で焼きつつ、下からは鯉の旨味がたっぷり詰まった蒸気を吸わせるのさ!」


【♪ 豪快な中華太鼓と二胡が奏でる、熱気あふれる調理のASMR ♪】


「さあ、おあがり! 『鉄鍋(ティエグオ)炖鯉魚(ドゥンリーユー)』さね!

 旨味を吸い込んだ餅と一緒に、豪快にいきな!」


 ドン、とザンたちの目の前に置かれた巨大な鉄鍋。立ち上る熱い湯気と、暴力的なまでの

美味そうな香りに、竜人たちは息を呑んだ。


「これが……飯……? こんなにいい匂いのするものが、本当に俺たちの……?」


「あ、ああ、食べていいんだよな……?」


 一人の竜人が恐る恐るトウモロコシ餅をちぎり、濃厚なタレが染み込んだ鯉の身と一緒に

口へ運んだ。


「……っ!?」


「おい、どうした!?」


「つ、冷たくない……! サクッとして、中からじゅわっと……

 甘みと、信じられないほどの旨味が溢れてくる……!」


 ザンも慌てて大きな肉の塊を口に放り込んだ。次の瞬間、彼の大きな体が激しく震える。


「……う、美味い……ッ! 味がする、身体が熱い……!

 俺たちが毎日食わされていた、あの泥みたいな合成食とは何もかもが違う!

 身体の奥から、力が、温かい血が巡っていく……っ!」


 ザンの隻眼から、大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちた。


「美味い、美味いよ……! 俺たち、こんなに温かくて美味いものを食って……

 本当に生きてていいんだな……っ!」


「あったり前さね! 生きてていいに決まってるだろ!」


 マリアンが巨大なお玉を肩に担ぎ、胸を張った。


「美味い飯を食って、大きな声で笑う。

 これ以上の正義がこの世のどこにあるってんだい!」


 屈強な竜人たちが、子供のように声を上げて泣きながら、夢中で鍋をつつき合う。

 冷酷なシステムに否定され、すり減りきっていた彼らの心が、マリアンの人情の味によって

急速に満たされていく。乾いていた分厚い鱗に、みるみるうちに力強いツヤが戻っていった。


「……これで決まりっすね」


 その光景を見守りながら、サトルが静かに微笑んだ。


「ちゅっ。彼らの圧倒的なパワーと耐久力があれば、

 無限連結国家群(メガロモールステーツ)の『資材倉庫』は盤石だちゅ!」


 ザンは腕で乱暴に涙を拭うと、マリアンに向かって深く、深く頭を下げた。


「ちび女将……さま? いや、ちび女将! 俺たちの命と力、今日からあんたのモールの

 ために使わせてくれ! どんな重い荷物も、俺たち竜人族が絶対に守り抜いて運んでみせる!」


「期待してるさね! でも、話はその後さ。

 まずはその鍋を綺麗に空っぽにしな!」


「おうよ! 野郎ども、残さず食い尽くすぞ!」


「「「おおおおおっ!!」」」


 こうして、竜人族(リザードマン)という最高に心強い仲間が加わり、モールの物流網は

完全な形へと進化した。

 しかし、彼らの背後にある『管理都市(ディストピア)』の不気味な影は、着実にこの温かい人情の

街へと忍び寄りつつあった――。

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 今回は、大きな鉄鍋の縁でパンを焼く豪快な郷土料理『鉄鍋炖鯉魚ティエグオドゥンリーユー

を振る舞ったよ。ザンたち竜人族の冷え切った心も、これでポッカポカに温まったはずさね!


 これでウチの資材倉庫も物流も完璧!

 ……だけど、彼らをあんな目に遭わせた『管理都市(ディストピア)』ってのは、

どうにも胸糞の悪い場所みたいだねぇ。


 システム(閻魔)からの出題【Q21:管理都市(ディストピア)の食事事情】

 ザンたちリザードマンが、管理都市(ディストピア)で毎日食べさせられていた、

味のしない合成食の名前は何だったかな?


 ① ニュートリ・ブロック

 ② カロリー・メイト・ブロック

 ③ ロゴ・ブロック


「ヒントはねぇ、本文をよく読めばバッチリ書いてあるよ。

 栄養しか考えてない、冷たいブロックさね。

 ちなみにカロリーメイトにはリアルでいつもお世話になってます。m(__)m

 ……さあ、あんた達なら、どれが本当の正解か、もう分かってるよねぇ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ