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転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
モールテナントと眷属の拡大編

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17/21

第17話 蒼天を翔ける風の使者! 診療所開設と白衣の天使!

 まいど! Q16の正解は「③ メガ盛り骨付き肉の甘辛煮込みと手作りジャンボ餃子」だねぇ!

 種族も体格もバラバラな魔物たちが、一緒に餃子を包んで同じ食卓を囲む。

 ウチのモールはそうやって、レゴブロックみたいにガチッと人情で繋がって大きくなってきたのさね。

 だけど、店が巨大になればなるほど、新しい問題も出てくる。休みなく働く従業員たちの

「健康」と、巨大な厨房の「衛生管理」さ。

 同時に、現世(地球)のモニターでは、ついにあの『管理都市』の不穏な噂が流れ始める……。

 それじゃあ、第17話、元気いっぱいにいってみようかねぇ!

 新装開店から数週間。レゴブロックを組み合わせるように増築を重ねた『杏』を中心とする

巨大モールは、いまや魔界中の注目を一手に集め、連日凄まじい熱気と喧騒に包まれていた。


「女将さん、3番からイーガー、スーソーハン、ナーホ」


「はいよ! 3番テーブルさん、スタミナ炒飯持ち帰りだね!

 ウサミチ、東区画への出前頼んだよ!」


「了解! 爆速で届けてくるよ!」


 ちび女将・マリアンのお玉が火を噴く。

 能力・お玉の舞の力で、魔力の手が背中のランドセルのようなパーツから何本でも自由に

出し入れできたので、料理の速度も幅もますます広がって、今では転生前以上の仕事がこな

せるようになっていた。

 そんな訳で、中華屋(あん)は転生後の方が、お店もかなり大きくなっていた。


 ウサミチはデリバリーの注文を受けるとあっという間に、オカモチを背負って風のように駆け

抜ける。

 活気に満ちあふれる中華屋(あん)だったが、またたく間に店が大きくなり、体格も文化も違う

様々な種族が一緒に働き始めたことは、確実に従業員たちの身体へ、本人たちも気づかないほど

の疲れを溜め込ませていた。


 二階の事務所では、サトルが大量の魔導画面に囲まれながら、目の下に濃いクマを作って机に

突っ伏していた。


「あー、ダメっす……。

 各テナントの売上データ集計で、目がかすんで

 数字がゲシュタルト崩壊してきたっす……」


 一階の作業場でも、ペンジがスパナを握る手を小刻みに震わせている。


「ワイも腰が限界や……。

 連日の厨房機器の増設で、東大阪のプライドにかけて

 徹夜で溶接しとったんやけど、立っとるのもキツイわ」


「ジッジーさんの警備網のおかげで外からの脅威はないだちゅが、

 内側の『体力』が先にショート寸前だちゅな……」


 メッキーがネズミのヒゲを力なく垂らしてため息をついた。

 その様子を見たマリアンは、眉をひそめて腰に手を当てた。


「こーらあんたたち!

 売上も大事だけど、商売の基本は体が資本さね!

 リスケしたアジェンダのコンセンサスをコミットするとか何とか、

 いつも難しいことばっか言ってる癖に、勤務時間の管理もできないなら

 名ばかり管理職って言われちゃうよ、全く!」


 その時だった。

 バサバサバサッ!!

 モールの巨大な天窓から、一陣の突風と共に、純白の羽根を持つ美しい影が舞い降りてきた。


「全員、そのまま動かないで!

 バイタルサインがレッドゾーンよ!!」


 凛とした声とともに着地したのは、鳥の翼と人間の女性のしなやかな肢体を併せ持つハーピー

族のエルザだった。

 彼女は前世、現世の過酷な救急救命(ER)病棟で、夜勤と激務に追われながらも無数の命を

繋ぎ止めてきた、凄腕の『救急ナース』である。


「そこのゴブリン! 眼精疲労と重度の睡眠不足よ!

  今すぐモニターから離れて30分の強制仮眠!」


「えっ!? いや、でもまだ集計が……っす!」


「言い訳は聞かないわ! 倒れてからじゃ遅いのよ!」


 エルザは手にしたバインダーにペンを走らせながら、次々と的確な指示を飛ばしていく。

 彼女の後ろには、同じく清潔な白衣姿のハーピー族の看護師部隊がズラリと並んでいる。

 実に美しく荘厳な光景は、まるで材全教授の総回診である。


「厨房の換気ダクト、湿度が高すぎるわ!

 雑菌が繁殖しやすい環境よ。滅菌消毒魔法使える者前へ」


「ハイ、エルザ様」


「ペンジさん!

  腰痛をかばって変な姿勢で溶接してるわね。

 コルセットを巻きなさい!

 あと、1時間ごとに、このボールを腰と背中に使って、筋膜剥がしも!」


 まるで緊迫した救急救命室さながらの見事な差配と、有無を言わせぬ圧倒的な迫力に、

元エリート商社マンのメッキーすら気圧されて口をパクパクさせている。


「あんた……空からウチの連中の様子を見ててくれたのかい?」


 マリアンが目を丸くして尋ねると、エルザはふっと表情を和らげた。


「ええ。この冷酷な魔界で、唯一温かい匂いがするこの街を上空から見守っていたの。

 でも、熱気に任せて走り続ければ、いつか必ず体が壊れるわ」


 エルザは美しい翼を広げ、マリアンにまっすぐに向き直った。


「ちび女将。私と私の部下たちを、このモールに雇いなさい。

 厨房の徹底した衛生管理と、働くみんなの体調管理……

 私がこの街の『診療所』になって、みんなの命を完璧に守ってみせるわ!」


「ヒヒッ! そいつは百万人力さね!

 ウチの二階に一番日当たりのいい部屋を用意して、

 今日から『診療所』の開設だよ!

 シュン、シュンちゃん、聞いてるんだろ、返事しな」


 蜘蛛の獣人シュンのネットワークは、ちび女将の言葉を常にモニタリングできていたので

当然のごとく返事がすぐに返ってきた。


「ハイ、モールマネージャー、御用でしょうか」


「あー、シュンちゃん、さっきの診療所の件だけど、聞いてたでしょ、

 ミノさんに増築伝えておくれよ」


「了解っす、承りっす」


 マリアンは嬉しそうに巨大なお玉をドンと床に突いた。


「そいじゃ、新しい仲間の歓迎と、ヘトヘトに疲れたあんたたちのために、

 わーしからとびきり元気が湧く『処方箋』を出してやるさね!

  神崎さん、火力MAXでいくよ!」


「御意!!」


 厨房に戻ったマリアンと神崎が、凄まじいスピードで中華鍋を煽り始める。

 カンカンカンッ! と小気味よい鉄鍋の音が響き、やがて甘く、酸っぱく、八角、花椒、唐辛子を

散りばめた鮮烈なスパイスの香りがフロア全体に充満した。


「さあ、おあがり!

 疲労回復とミネラル補給の特効薬、『怪味花生(ガイミファンシェン)』だよ!」


 ドン!とテーブルに置かれた大皿には、カラリと揚げられたピーナッツが、琥珀色に輝く

とろみのある濃厚なタレにねっとりと絡められていた。


怪味ガイミ……? 初めて聞く名前っすね……」


 サトルがおそるおそる一粒を口に放り込む。

 カリッ!


「――ッッ!!? な、なんだこの味は……!?」


 サトルが目を見開いて立ち上がった。


「甘味、塩味、酸味、辛味……そして花椒の痺れ(麻味)!

  全く異なる強烈な味覚が、口の中で喧嘩するどころか、

 ピーナッツの濃厚なコクと混ざり合って、

 信じられないほど深い『旨味』に進化しているっす!」


「だちゅ! 噛めば噛むほど、脳髄を直接マッサージされているような

 強烈なスパイスの刺激が弾けるだちゅ!

  疲れた体に、エネルギーの塊が直接注入されていくみたいだちゅ!」


 メッキーもペンジも、無言で次々とピーナッツを口に放り込み、先ほどまでの疲労が嘘の

ように顔色を赤くして活力を取り戻していく。


「ふむ……。複雑怪奇な味覚のプロトコルが、

 体内の細胞一つ一つを完璧に再起動させている。

 まさに至高のサプリメントだな」


 ジッジーも満足そうに目を細めていた。

 エルザは驚きと共に、そのピーナッツを見つめた。


「砂糖に黒酢、醤油、芝麻醤ごまペースト、ラー油、そして花椒……。

 これほど複雑な味の要素を、一つにまとめるなんて……」


「ヒヒッ。甘いも酸っぱいも、いろんな味が合わさって最高の美味さになる。

 種族も前世もバラバラな連中が集まるウチのモールと同じさね」


 マリアンがニヤリと笑うと、エルザもたまらず一粒を口に運び、ふわりと美しい笑顔を咲かせた。


「ええ……本当に、最高の処方箋ね。

 これからよろしく、ちび女将!」


 こうして『(あん)』のモールに、エルザ率いるハーピー族の「診療所」が開設されることとなった。

 彼女たちの厳しい衛生管理と、優しい手当てにより、従業員たちはかつてないほど万全の体調

で業務に打ち込めるようになった。

 その活気に満ちいた映像は、閻魔モニターを通じて現世(地球)の視聴者たちにも生中継され、

絶賛のコメントが次々と届いていた。

 しかし、そのコメント欄の片隅で、少しずつ不穏な噂が広がり始めていた。


『なぁ、杏の街は最高に温かいけど……

 システム側が作った【管理都市】って、最近ヤバくないか?』


『ああ。ポイントを稼ぐために表面だけ善人ぶってる「いい子ちゃん」ばかりで、

 裏では足の引っ張り合いと蹴落とし合いが横行してるらしい』


『効率と数字だけで作られた、冷酷で息苦しいディストピア……。

 いつか、あの管理都市の連中が、杏の街に目をつけなきゃいいけどな……』


 泥臭い人情と美味しい飯で繋がり、独自の発展を遂げるマリアンたちのモール居住区。

 商売の熱気で膨らむその場所の裏側で、システムが作り上げた効率至上主義の灰色の管理都市

が、静かに牙を剥きつつあった。

 相反する二つの思想が、やがて来る大きな激突に向けて、静かに運命の歯車を回し始めていた――。

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 エルザの登場で、ウチのモールに欠かせない「衛生・医療部」が立ち上がったよ!

 どんなに立派な店でも、働くみんなが元気じゃなきゃ意味がないからね。

 怪味花生(ガイミファンシェン)の複雑でスパイシーな味、現世のみんなも疲れた時にぜひ試しておくれな!

 さて、次回はついにエルフ族が登場するみたいだよ。


 システム(閻魔)からの出題

【Q17:遠佐(えんさ)さん(エルザ)が、転生前に好きだった作品はどれ?】


 ① 外科医エリーザ

 ② 異世界の薬局

 ③ 異世界カフェ~裏メニューは勝者への道

  ~現代ストレスからの逃亡者たちが勇者パーティとなって異世界を救う件


「ヒントは、あれだね!作者に注目! さあ、どれが正解か分かったかい?」

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