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転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
モールテナントと眷属の拡大編

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16/21

第16話 レゴブロック流建国! テナントと異種族の壁!

 まいど! Q15の正解は「③ 魔力電源制御パネルと中央防災盤」だねぇ!

 一階の警備室でジッジーさんが背負っていた、モールの物理セキュリティを司る要の設備さね。

 自動お釣り両替機や入金機は二階の事務所にあるから、引っかかっちまった人はおばちゃん特製の

杏仁豆腐でも食べて頭を冷やしなさい!


 おかげさまで、15話で一階の鉄壁の物理警備・出前と、二階の強固な統括事務所という、

巨大モールの骨格をガチッと完成させたウチの『(あん)』だけどさ。

 13話で現世(地球)のバズによって「アクセス制限」が解除された影響が、ついに本格的な

大津波になって押し寄せてきたんだよ!

 

【♪ 恋のフーガ

 (BGM:重厚なストリングスと情熱的なドラムが刻む、昭和歌謡ポップスの大名曲) ♪】


「さあて、種族の壁も規格の違いも、美味い鉄鍋の熱量でレゴブロックみたいにガチッと

 連結していこうかねぇ!」

 ズズズズズ……と、地鳴りのような足音が、聖域の荒野を絶え間なく揺るがしていた。

 先日のアクセス制限解除、そしてみんなで手作りした『(あん)』の温かいデコレーションランプ

の灯りに誘われ、魔界全域から噂を聞きつけた群衆が、文字通り怒濤の勢いで押し寄せていた

のである。地平線の彼方まで続く色とりどりの魔物の列は、まるで巨大な竜のようだった。


「サトル社長!

 入口の行列、現在進行形で三キロメートルを突破!

 周辺道路のトラフィックが完全にバーストしてるだちゅ!」


 事務所からインカムを通じて、メッキーの悲鳴のような声が響く。

 従業員通用口では、黒猫獣人のジッジーが鋭い眼光で何十画面もの魔導モニターを睨みつけ、

不審な武器を持った者をマニュアル通りに一瞬で識別して弾いていた。

 トラックヤードからは、ウサミチ率いるランナー部隊が特製オカモチを担ぎ、シュンの糸の

ナビゲーションに従って弾丸のように出撃を繰り返している。

 マリアンの組織化された部下たちの歯車はフル稼働していたが、それでも処理能力の限界を

遥かに超えつつあった。


 そんな熱狂と大混乱の渦中、店の外の凄まじい行列から少し外れた一角で、泥と埃にまみれた

小さな影たちが、おそるおそる『(あん)』の敷地に足を踏み入れた。


「あ、あの……もしかしてあなたが、ちび女将さん?……っ」


 マリアンは朝の仕込みも終えて、店頭の行列の様子を見ようと、珍しくひょっこりと店の前に

顔を出していた。

 そこへ進み出たのは、戦闘スキルを一切持たず、魔界の冷酷なシステムから「価値なし・0点」

の烙印を押されて飢えていた、ゴブリンの生き残りや小さな獣人、そしてひょろひょろに痩せ

細った転生者たちだった。

 彼らの手元にある魔導板(ダッシュボード)のLPポイントは、どれも消えかけの電球のように

細く、今にも途絶えそうに明滅している。


「うん?

 どうしたんだい?

 わーしがここ中華屋(あん)の女将だけど?」


 見た目は完全に少女なのに、その口から飛び出す言葉は、まさに女将、いやおばちゃんのそれ

であり、そのギャップに脳内がバグってしまうのは日常茶飯事となっていた。


「あ、よ、良かった。やっと会えた」


 彼らは口々に喜びを顔に出しながら、手を取り合って頷いていた。


「ト、トオルさんが……あんなに温かくて美味い飯を、

 死に際の一歩手前で爆速で届けてもらったって聞いて、

 ボ、僕たち、どうしてもここに来たくて……っ。

 ここは、システムの冷たい数字に縛られない、本当の天国だって……!」


 一人の小さなゴブリンの子供が、ボロボロにひび割れた手でマリアンの白い割烹着の裾を、

すがるように掴んだ。


「ねえちゃん、お願い!

 僕たちをこのお店の近くに住まわせて!」


 それは、システムに切り捨てられた弱者たちの、切実な魂からの直訴だった。

 彼らの目には、恐怖と、それ以上の必死な希望の光が宿っていた。


「私たちからも、お願いします。

 もちろん、無料(ただ)飯を乞いているのではありません。

 お店の手伝いでも何でもしますし、もし仕事が無いのなら

 自分たちの知恵と前世の経験を駆使したお店を近くに

 置いて欲しいのです。」


 他の大人の魔物やもちろん転生者の魔物たちも、マリアンの庇護下に入るために、毎日

マリアンに直訴するために、セキュリティーが堅牢な従業員口ではなく、一般のお客様が

通れる店頭で、ここ数日、毎日待ち構えていたのであった。



「――絶対にダメっす。

 猛反対っすよ、ちび女将」


 舞台を二階の中央モール事務所へ移し、緊急の経営戦略会議が開かれた。

 サトルがノート型魔導板(ダッシュボード)をパシッと叩き、青いゴブリンの顔を厳しく

歪める。画面には、聖域の魔力許容量とセキュリティリスクを示す赤いアラートが激しく

明滅していた。


「マーケティングとリスクマネジメントの観点から言って、

 これ以上の無計画な外部人員の受け入れは自殺行為っす。

 僕たちが先日完成させた警備システムは、あくまで『(あん)』の

 スタッフと既知の業者だけを対象にした精密な歯車なんすよ。

 そこに規格外の他種族や、素性の知れない0点転生者たちを混ぜたら、

 管理コストとセキュリティのリスクが指数関数的に跳ね上がる。

 最悪、張りぼてのシステムとなってしまう原因にもなるっすよ!」


 隣で腕を組んだメッキーも、ネズミの髭をピンと尖らせてサトルのビジネスライクな正論に

激しく同意した。


「データは嘘をつかないちゅ。

 今のキャパで彼らを受け入れれば、数日以内に聖域の防衛シールドがパンクして、

 全員共倒れだちゅよ! ボランティアじゃないんだちゅ!」


 現世のビジネス最前線で泥水をすすってきたエリートたちの冷徹な数字が、応接室の

ガラステーブルの上に冷たく突きつけられる。ぐうの音も出ない正論だった。システムに

徹底管理されたこの魔界で生き残るためには、冷酷な線引きが必要不可欠なはずだった。


 だが、その張り詰めた冷たい空気を切り裂くように、ピシィィン!と乾いたお玉の音が響く。


「――こーら、あんたたち!

 難しい数字や管理コストなんて横文字で、

 困っている人を弾くんじゃないよ!」


 背中にグレーのランドセルを背負った小さな『ちび女将』マリアンが、身の丈ほどもある

巨大なお玉を絨毯にドンッと突き立て、サトルとメッキーを仁王立ちで睨みつけた。


「前世の地球で、うちら下町の中華屋『(あん)』が

 どうして30年以上も愛されてきたか、忘れたのかい?

 『お腹を空かせたはらぺこ達を、一人残らず笑顔にする』。

 それがウチの商売の絶対のルールさね!

 お店のキャパが足りないならさぁ、レゴブロックみたいに、

 みんなの店や家をウチの横にガチッと繋げて、

 どんどん大きくしていけばいいじゃないのさ!」


「レゴブロックみたいに……増築するっすか!?」


 サトルが目を丸くした瞬間、応接室のソファーからドガァッ!と凄まじい勢いで立ち上がった

男がいた。


「……ただの増築じゃねえ!

 それだ、それしかねえ、ちび女将ッ!!」


 元・ゼネコン一級建築士、ミノタウルスのミノが、周囲の人を吹き飛ばすほど鼻息を荒くして

大興奮の声を上げた。その目は、かつて数々の巨大プロジェクトを手がけた男の熱い輝きを

取り戻していた。


「どんな種族の規格も、どんな歪な店舗も、美しく機能的に包み込んで連結する……!

 マリアンの『(あん)』を絶対的な『核テナント』として配置し、

 周囲に他種族の市場や住宅区画を、レゴブロックのようにモジュール化して連結していく。

 これこそが、俺が前世で夢見た、システムに縛られない手作りの巨大複合都市

 ――『Woven City』の真髄だ!

 よし、建築家としての俺の美学のすべてを注ぎ込んで、

 100年先まで揺るがねえ設計図を引いてやるぜ!」


 ミノの建築魂が完全にハイドロポンプ状態に突入し、巨大な斧と羊皮紙の図面を抱えて、

雄叫びを上げながら一階へと駆け下りていった。彼の頭の中では、すでに壮大な巨大モールの

フレームワークが組み上がっていた。



「さあさあ、難しい話はそこまでさ!

 ミノたちが外でガリガリ土木工事をやってくれている間に、

 わーしらは厨房で最高のまかないを完成させるよ!

 神崎さん、あのデカい肉を豪快にやっちまいな!」


「御意、女将!!」


 一階の厨房では、白い割烹着姿の神崎玲二が、魔界巨獣の「メガ盛り骨付き肉」を巨大な

中華鍋に投入した。八角や山椒、特製の醤油を効かせた濃厚な甘辛タレで、ゴトゴトと凄まじい

熱量で煮込み始める。厨房全体が、暴力的なまでに食欲をそそる香気で満たされていく。


 さらに、厨房の前に急設された巨大な大テーブルには、集まってきた他種族の魔物や0点転生者

たちが、マリアンの呼びかけで一堂に会していた。


「言葉が通じなくたって、体格が違ったって関係ないさね!

 みんなで一緒にこの極厚の皮を持って、具をたっぷり詰めて、

 ひだを折って、ぎゅっと包む!

 ほら、みんな、こーやって、やってみな!」


 マリアンが手本を見せると、ミクやスライムアイドルたちも「楽しいー!」と身体をプルプル

揺らして手伝い始める。最初は怯えていたゴブリンや獣人たちも、おそるおそる大きな手や

小さな爪を使って、マリアン特製の「ジャンボ餃子」を包み始めた。

 不器用ながらも、一つの料理をみんなで作る。その地道な共同作業の中で、冷え切っていた

彼らの心に、手作りの温かい人情の熱がじんわりと伝染していった。


「おおお……ほら、ほら、こっちは焼けたで!

 ほんでもって、こっちは蒸し上がったで!」


 ペンジが東大阪の技術で火力調整した特製コンロから、凄まじい白煙と共に、焼き上がった

ばかりのジャンボ餃子と、飴色に輝く骨付き肉の煮込みがドカンと大皿で運び込まれた。


「さあ、全員でガブッとやりな!」


 マリアンの号令で、異種族の群衆が一斉にジャンボ餃子を口へ放り込んだ。


 パリクゥッッッ!!!


 極厚の皮が小気味よく弾け、中から溢れ出たジューシーな肉汁と、骨付き肉の濃厚な旨味が、

労働で疲れ果てた彼らの脳細胞を完全にハイジャックする。


「う、美味すぎるしゅ……!

 こんなに温かくて、みんなで笑いながら食べる飯、

 生まれて初めてだし……っ!」


 涙を流して肉に噛みつくゴブリンたちの姿を見て、二階から降りてきたサトルもメッキーも、

静かに眼鏡を拭って微笑んだ。


「……負けましたよ、ちび女将。

 これが、数字や効率を超えた本当の『核テナント』の集客力っすね」


 翌日にはもう、ミノの指揮のもと、新しく仲間になった異種族たちが従業員となって、

店舗や住居の建築が始まっていた。それはまるでレゴブロックのように『(あん)』の横へと

美しく、強固に増築・連結され始めていた。

 ただの下町中華だった『杏』は、異種族の規格の壁やさまざまな難題を、泥臭い人情で突破し、

世界で唯一の巨大な無限連結国家群(メガロモールステーツ)へと、その最初の一歩を力強く

踏み出したのだった。

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 文化も体格も違う異種族の魔物たちが、みんなで一つのテーブルを囲んで「ジャンボ餃子」

を包み、大皿の「骨付き肉」を回し食いする姿、最高に温かくて胸が熱くなっちまったよ!

 効率的なシステムや冷たい数字で人を弾くのは簡単だけどさ、困った時はお互い様。

 レゴブロックみたいに、みんなの店や家をウチの『杏』の横にガチッと増築して繋げていけば、

どんな大津波だって乗り越えられる巨大な国(Woven City)になるのさね。

 ミノの一級建築士としての美学も大爆発して、これからの建国内政がますます楽しみになってきたよ!

 あんた達のブックマークや評価(☆)が、ミノの引く設計図をさらに頑丈にする最高の資材

(バフ)になるんだ。これからも『杏』のレゴブロック建国を応援しておくれな!


 システム(閻魔)からの出題

【Q16:異種族の心の距離を一瞬で縮めた、マリアン食堂特製のまかない料理は?】

 ① 黄金乱舞炒飯と極旨頑固天津飯

 ② 最高級スキンの北京ダックと五平餅

 ③ メガ盛り骨付き肉の甘辛煮込みと手作りジャンボ餃子


「ヒントはねぇ、言葉が通じなくても、みんなで『ひだを折って一緒に包んだ』

あの人情中華の真骨頂さね。さあ、どれが正解か分かったかい?」

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