表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった  作者: 鳥助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/38

7.情報共有

 ルティアが床に膝を付き、私を抱きしめる。その体は震えていて、感情の揺れが良く分かった。


「どこにも行かないで、ずっとそばにいて、ずっとずっとそばにっ……。独りにしないで、マナと一緒じゃなきゃダメ。一緒、これから一緒……ずっとずっと一緒……」


 どうして、ルティアはこんな風になってしまったの? ちゃんと守ってきたはずなのに、こんなに曇って……。とにかく、ルティアを落ち着かせなくっちゃ。


 ルティアの体に精一杯腕を伸ばして、背中を撫でてあげる。


「ルティア様、大丈夫です。これからもお傍にいますから」

「ほ、本当? 嘘じゃないわよね。ずっと、ずっと傍にいてくれるの? 傍でずっとお話をして、声を聞かせてくれる? 傍じゃなくてくっついて、体温を感じられる? ずっと、ずっとマナに触っていたいの。マナの体温を感じたいの」

「それでルティア様が落ち着くのであれば、いいですよ」

「あぁ、マナマナマナマナマナッ! マナがいる……こんなに近くに……ずっと、ずっと一緒……。もう離れない、傍にいる、体温を感じる……匂いも……」


 ギュッと抱き寄せられ、体に顔をこすり付けられる。スゥッと鼻で息をする音が聞こえると、少しだけ恥ずかしい気持ちになる。あんまり良い匂いじゃないと思うんだけど……。


 トン、トン、トンと背中を叩いてあげると、体の震えも止まってくれる。これで少しは落ち着いたかな?


「ルティア様にも戻る前の記憶が残っていたんですね」

「……えぇ、しっかり覚えているわ。私が暗殺者に殺された時の記憶から、その……マナが何度も死んだ記憶も……」

「そうですか。だったら、お互いにずっと記憶があったことになりますね」


 なるほど、そういうことか。だったら、お互いに記憶があることを知らずに、ずっと死に戻っていたという訳か。


 それは辛い思いをさせてしまった。暗殺者に殺された記憶があるということは、その痛みを知っているということ。その痛みを知りながら、時が戻っていたのなら相当辛いはずだった。


 そうか、ルティアはその時の記憶が辛かったんだ。その痛みを知っているから、私が痛い思いをしていることに同情してくれたのか。やっぱり、ルティアは優しい。私のことを思ってくれている。


 でも、大丈夫。その痛みもルティアを守っている代償。喜んで受けて立つ。だったら、これからも平気だと笑顔で言おう。そうすれば、きっとルティアも安心するはずだ。


「ルティア様は記憶があってお辛いですが、私は平気です。ほら、見てください。この笑顔」


 体を離して笑顔を見せる。そうしたら、きっとルティア様も安心してくれる。そう思ったのに――ルティアの顔が悲し気に歪んだ。


「どうして、そんなに笑っていられるの……。あんなに酷い目にあったのに、あんなに痛い思いをしたのにっ……。無理しなくてもいいんだよ。無理に笑わなくてもいいんだよ。どうして、そんなに優しいの? もっと、私を頼って……。私を罵ってくれてもいいんだよ……」


 ……あ、あれ? どうして、そんなに悲しい顔をするの? 安心させようと笑顔をみせたつもりなのに。


「辛かったよね、本当に辛かったよね。私のせいでなんども死ぬ思いをしたんだから……。だから、今度は私がマナを癒させて。マナが気持ちよくなるように頑張るから。……あっ、頑張るって私如きがおこがましいわよね。努力するから、いっぱい努力するから……だから、私を見捨てないで」


 両手で私の両頬を包み込み、真っすぐに見つめてきた。その目はやっぱり曇っていて、いつものキラキラしたルティアの目じゃない。


 そんな目をさせたくて、何度も死に戻ったわけじゃないのに。私はいつもの過保護なお姉ちゃんみたいなルティアがいいのに。


 ……きっと、また暗殺者に殺されるかもしれないっていう恐怖があるから、ルティアは狂ってしまったんだ。だから、暗殺者をどうにかしないと、ルティアは元には戻らない。


 だったら、暗殺者をどうにかするしかない。まだ力が足りないから、もっと力をつけないと。


 ルティアが死に戻る前の記憶があるというのなら、協力してくれそう。


「私もいっぱい努力します。なので、沢山修行の時間が欲しいのですが……」

「そ、そんなっ! マナが頑張る必要なんてないのよ! 全部、私が悪いんだから! マナは何もしなくてもいいっ、私が……私がどうにかするから! お願い、何もしないで!」


 協力を訴えると、ルティアは困惑したように首を振った。まさか、何もしないでと言われるとは……。流石にそれは出来ない。だって、ルティアを守れるのは死に戻りが出来る自分なのだから。


「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさい。私が生きているだけで、こんなにマナが苦しい思いをするなんて……。でも、マナからは離れるのはいや。私、マナに迷惑ばかりかけている……。どうか、私を嫌いにならないで。どうか、傍にいて。声を聞かせて……」


 ルティアは私にしがみつくと、すすり泣く。ようやく落ち着いたと思ったのに、泣かせてしまった。そんな姿を見るだけで胸が痛む。


 泣いて欲しくないのに、私が泣かせてしまった。ルティアには笑って欲しかっただけのに……。


「そんなに悲しまないでください。どうしたら、あなたを泣きやます事が出来ますか?」

「私の事なんでどうでもいいのよ。マナが一番大事。マナの気持ちが一番大事。だから、私はどうすればいい? 何をすれば、マナは満足してくれる?」

「えっと、ルティア様が笑ってくれるなら……」

「私が? そんなことでいいなら、笑うわ」


 そう言って、ルティアは笑う。だけど、涙の痕が残っていて、目は曇っていて……。とてもじゃないけど、私が望む笑顔ではなかった。


 こんな風にさせるつもりはなかったのに! どうすればいいの!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

ド陰キャ聖女に百合キスは荷が重すぎる!~唇への祝福が最強だとバレてしまい、キラキラ王子様系姫騎士と包容力おばけな女傭兵に迫られています~

魔力1令嬢と欠陥王女は魔法が使いたい! ~誰も使えない古代魔法で人生逆転します~

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった

この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ