表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった  作者: 鳥助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/38

19.王女の権限(1)

「お風呂、どうだった?」

「とても気持ち良かったです。色々とありがとうございます」

「なら良かった。もし、嫌な思いをさせてしまったら、どうしようかと思ったわ」


 ルティアの私室に戻ると、すぐに椅子に座らされた。そして、渇いた髪をルティアの手で丁寧にブラッシングされる。


「ふふっ、いつもよりも綺麗になっているわ。この髪の触り心地は最高よ」

「ルティア様が使っているものを使わせてもらったので、具合がいいです」

「だったら、これからは一緒に入りましょう! マナには気持ちよく過ごしてもらいたいし、お世話をしてあげたいし。それがいいわね」


 上機嫌そうそう言ったが、流石に毎日は申し訳ない気持ちになる。だけど、ここで断ればルティアは曇ってしまうし……。何かいい方法はないだろうか。


 すると、ピタリと手が止まる。


「……マナ、もしかして嫌だった? 私なんかに世話をされるのは気持ち悪いって思った?」

「えっ、いや、それはないですよ!」

「でも、マナの気配が……。やっぱり、私なんかはダメよね……。マナに嫌な思いをさせることしかできない、ダメな王女よね……。でも、それでも傍にいたいの。私を嫌わないで……」


 ルティアは曇ってから、少々の事で自虐的になってしまう。それだけ不安にさせてしまっているのだろうが、中々うまくいかない。やっぱり、曇らせたままではだめだ。ルティアを元に戻さなければ。


「だ、大丈夫です。ルティア様を嫌っていませんよ。ただ、まだ慣れていないだけなんです。こんなに優しくしてくれた人がいなかったから……」


 スラムではこんなに優しくしてくれる人なんていなかった。だから、ルティアの優しさには救われている。


 そう、素直な気持ちを吐き出すと、ルティアはハッと何かに気づいたような顔をした。それから、私の体を抱きしめてくれる。


「これからは私が傍にいるから、安心して。どんなことがあっても、マナを傷つけたりなんかしない。絶対に守って、マナが幸せに生きられるようにするから」

「そういってくれて、嬉しいです。ルティア様が傍にいてくれるお陰で、とても心強いです」

「もっと頼ってくれてもいいのよ。マナには何でもしてあげたいから、どんな要望でも言って。絶対に叶えるから」


 その強い言葉を聞いて、自然と心が安心する。


「何か困っていることはない? 仕事が大変だとか、食事が質素だとか、服が着ずらいとか。どんな些細な事でもいいの。私はマナの力になりたいの」

「十分な物を与えてもらっていますよ」

「いえ、まだマナの顔が幸せじゃない。だから、まだ足りない。ねぇ、何でも言って。遠慮なんてしないで、もっと私を頼って……」


 縋りつくような目で見つめてきて、私の手をギュッと握る。ここまで言われたら、何か言わないとルティアは引き下がってくれない。


「そ、それじゃあ……もう少し自分の時間が欲しいです」

「自分の時間?」

「はい。やりたいことがあるので」

「やりたい事って何?」


 じっと強い眼差しでルティアが見てくる。その強い圧に押されるように、つい言葉をこぼす。


「体を鍛えたり、メイドさんたちに話を聞いたり」

「……メイドに話を聞く?」


 その言葉にルティアが冷ややかな顔をした。表情は抜け落ちて、その目は絶望の闇に染まっている。


「なんで、どうして? 私がいるのに、どうして他人を頼ろうとするの? 私……いらなくなった? ねぇ、どうして。ねぇ、ねぇ、ねぇ」


 そんな目を真っすぐ向けて、私の体を揺すってくる。その手は震えていて、ルティアの戸惑いが良く分かる。


 すると、自然と涙が零れ落ちた。


「マナの力になれるのは私だけ……マナが頼りにする人も私だけ、だよね? 嫌いになったから、頼らなくなったの? 嫌わないで、お願い……。どんなことでもするから、マナのためならどんなことでもするからぁ……」

「お、落ち着いてください。ルティア様がいらなくなったっていうことじゃないんです」

「でも、マナの口から他人が出てきた。私がここにいるのに、他人の話題が出てきた。きっと、傍にいるのが嫌なんでしょ? 私の事、恨んでいるんでしょ? 恨んでもいい、恨んでもいいから……傍にいさせてっ」


 どうして、こうも曇った会話しか出来ないんだ! 私はそんな辛い思いにさせたくないのに!


 とにかく、ルティアを落ち着かせるためには事情を話さないと……。


「ルティア様が頼りないからじゃないんです。少し、調べたいことがあるんです」

「調べたいこと? ……私に教えられないこと?」


 本当のことを伝えると、涙をためて首を傾げた。そのお願いの仕方にグッと心が揺れる。


「えっと……もしかしたら、メイドの中に暗殺者がいるかもしれないんです。だから、その人物を割り出したいんです」

「それは、本当なの? どうして、そう思ったの?」

「暗殺者の服装が体にピッタリ合っていたんです。ということは、衣装を盗んで着たわけじゃないと思うんです」

「……そうだったのね。私はてっきり盗んだものだと思っていたわ。でも、そうなのね……」


 私の話を聞き、ルティアは落ち着いて考え始めた。顎に手を当てて、しばらく熟考する。


「それだったら、いい案があるわ」

「いい案、ですか?」

「えぇ。王女の権限を使うのよ」


 そう言ってニッコリと微笑む。一体、何を考えているんだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった


この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ