第十六話『前期試験⑤』
——教諭サイド 控室
「ヴァグンの奴、やっぱり強いですね〜」
「デパート内のポイントがほとんどAチームに流れましたね」
「あと何人残ってます?」
ウルの問いにレグルスが素早く答える。
「Aチーム三人、Bチーム五人、Cチーム一人、Dチーム二人、Eチーム三人、Fチーム三人です」
「へえ〜Bチームまだ誰も落ちてないんですね」
「Cチームは残るはリーダーだけですか」
「レグルス教諭。ポイントの方はどうなんです?」
再びウルがレグルスに問うが、レグルスはすぐさま答える。
「Aチーム四点、Bチーム一点、Cチーム二点、Dチーム一点、Eチーム三点、Fチーム一点」
「AとEが少し先行してますけど、まだ逆転の余地はありますね」
「まだどこのチームもリーダーが落ちてないので、そこがぶつかり合って得点が変動してからが本番ですね」
「これからどうなるか楽しみですね」
——住宅街 橋付近
待ち合わせ場所にたどり着いたロベリアは、橋の現状を見て驚く。
「なんですの……これ……。橋が落とされている……」
――これはまずいですわ。これではチームの合流は不可。……となれば、するべきことはどちらか。
ひとつは川を渡り、砂漠地帯で残った敵を倒しつつ味方と合流。
もうひとつは、こちら側に残り全員で合流してから橋を渡る。
幸いにもこちらのチームは一人も落ちてない。カルミアさんがいれば川を渡るのに苦労しないでしょう。それに、わたくし一人だけでも行けなくはない。
チームの皆さまには申し訳ありませんわ。けど……
「アイナさんのほうへ行かなければなりませんわ」
ロベリアは川を渡り対岸へ行く覚悟を決めて渡り始める。
住宅街北部でアルベドと対敵し、勝利するも落とした橋の近くに戻ってきていたベルスは悩んでいた。
――先の戦闘でほとんど住宅街にいた人が脱落したはず。となると、残った大半はポイントを求めて砂漠地帯に戻るはず。そうなればやはり橋は落とすべきではなかったか?いや、橋を落とした目的は川を渡る敵を迎撃、または奇襲をしてポイントを取ること。それなら今のままでいい。だが、すでに砂漠地帯に渡ったものもいるだろう。なら私も砂漠地帯へ行くべき。
ベルスもロベリアから数分遅れて橋を渡るために橋へと向かいはじめる。
「なるほどねえ。それは面白そうな未来だね。わたしも砂漠へ行こうか」
その様子を影から見ていた、ミクトランの姿があった。なにかを見たミクトランも二人に続き川を渡り、砂漠地帯へ向かう。
——住宅街 西部
橋が落とされたところを見ていたカルミアは、本来の作戦である、橋での合流が難しいと判断した。そして、住宅街にいるチームメンバーと合流することを優先に動いていた。
そして、知っている人影を見つけて声をかける。
「ティティアさん」
声をかけられたティティアは振り返る。
「カルミアさん。よくこんなところまで来ましたね。橋と反対側なのに……」
「実は敵によって橋は落とされました。なので、こちら側で合流が最優先だと思い、近くにいたティティアさんに会いに来ました」
「えっ……。橋が落とされたって……」
突然のことに少し考え込む。
――アイナちゃんは生きてる?放送はなかったから無事かな。けど、合流出来ないってことは砂漠に一人。早く合流しに行かなきゃ。……そうか!だから、カルミアさん。
「カルミアさんが来たのは、川を渡って合流するには一人じゃ危ないから、みんなで渡りたいってことですね」
「ああ。それに空間魔法のキミがいれば私が川を凍らせなくても空間魔法で飛べるのではないか?と思ったというのもあるけれどね」
「そうなんですね。でも、ごめんなさい。私の空間魔法は私が実際に歩いて場所がわかるところでないと駄目なんです」
「なるほど。それは失礼した。それではとりあえず、サーシャさんとロベリアさんとも合流しましょう」
「そうですね。東側に向かいましょう」
——住宅街 南部
「ルージュダウン。Fチーム、リーダー撃破によりEチームに三点」
住宅街南部では、エルトナとルージュの戦いが起こり、エルトナの勝利で幕を閉じていた。
「くそっ……強かったな幻影魔法。だが、また一つ俺が最強と証明されたな」
倒したルージュを見下ろすと、そのまま北上を目指し歩きはじめる。
——住宅街 デパート一階
ヴァグンがデパート内の生徒をほぼ全員倒し、外へ出たあと、一階に隠れていたエリーとポルトスが動き出す。
そして、邂逅する。
「敵を発見!」
「……!」
二人は目を合わせると、ポルトスが先制して動く。
「毒魔法 毒独獨」
「水魔法 アクアリング」
ポルトスの魔法は、大量の髑髏が足元に広がりそこから毒手がエリーを襲う。だが、エリーも足元に平らな水の渦を作り髑髏の上に浮く。
「毒魔法 孤毒の金」
「水魔法 アクアスライサー」
固体による攻撃に対して斬撃で対応しようとするエリーにポルトスが声をかける。
「無駄だ。この魔法は水魔法を吸収する」
ポルトスの言う通り、エリーの放った水魔法はポルトスの攻撃に吸い込まれるように吸収される。そのまま勢いを殺すことなくエリーに向かって攻撃が飛ぶ。身体で受け止めるエリーだが、勢いに負けて吹き飛ばされる。
「……っ」
「君では勝てないよ。相性が悪い。降参したらどうだい」
「……こ、降参するわけにはいかないんです!わ……わたしもチームを……チームの一員としてチームを背負っているんです」
エリーは吹き飛ばされるも、諦めない姿を見せる。エリーは階段を登り三階へ移動する。ポルトスも追いかけて三階にたどり着く。戦闘は三階へ移る。
「水魔法 アクアスライサー」
「毒魔法 孤毒の金」
ポルトスは呆れた表情で、一歩、また一歩とエリーの元へ歩みを進める。
「効かないって分からなかったか?」
「水魔法 アクアスライサー」
効かない攻撃を幾度となく続けるエリーに、げんなりとしとどめを刺そうとさらに近づく。
「毒魔法 耐水毒嘴」
ポルトスが魔法を発動させると、エリーはそれを待っていたかのように走り出す。
「水魔法 ウォーターフォール」
エリーの水魔法は一つの水の塊として、ポルトスの進行方向手前に滝のように流れ落ちる。地面が崩落し、ポルトスは階下へ落下する。
――わ、わたしの……水魔法では倒せる可能性は低いから、上に逃げて地面に穴を開けて落とす作戦上手く行ってよかった。
階下に落ちたポルトスだが、落下の最中に魔法を使い再びエリーの前に戻ってきた。
「直接攻撃は効かないと踏んで、落とし穴とは感心するな。だが、その程度では私は倒せないよ」
勝利を確信したポルトスだが、油断はせず、今度はエリーに近づかないで倒そうとする。
「毒魔法 毒独獨」
「よ……ようやく警戒してくれた」
不敵な笑みと共に引っかかる言葉を残してエリーは手を前に突き出す。
「水魔法 ジャックナイフ」
すると、ポルトスの背後から鋭い水の刃が突き刺さる。
「ぐ……っ。はっ……。っ」
――これは、先程の……。効かない攻撃を続けたのは私の意識を逸らすためか!
「やるね」
ポルトスはそう言い残すと倒れ込む。
「ポルトスダウン。Dチームに一点」
「やった!!」
しっかりと敵を倒せた嬉しさに、喜びを見せていたエリーを背後からエンリルが強襲する。
「素晴らしい戦いだったね。だが……。天候魔法 鳴雷」
エリーは防げる体力がなく、そのままなす術なく落ちる。
「エリーダウン。Eチームに一点」
「……エリー」
放送を聴いたロベリアは、少し残念そうな表情をしていた。
春夏秋冬です。
第十六話ご覧いただきありがとうございます。
試験編も中盤になってきました。あいなの戦闘もそろそろ見れると思います。
間違えて、同じ第十五話を掲載していました。申し訳ありません。
これからも頑張っていきますので応援のほどよろしくお願いします。
感想等お待ちしております。




