第十五話『前期試験④』
——時は戻り、現在。住宅街側デパート内。
六階で隠れていたアサプティは、同じ階にいるヴァグンが北西側階段へ向かう隙を見て、南東側階段から四階へと降りる。
四階に居たメネズとファイズは、同じ階に居たダリアと遭遇する。お互い距離を保ち、牽制を続ける。
一階では、ポルトスとエリーが隠れ合っていた。そこへ南東側からセルピナが、北西側からアイパルが到着する。
セルピナとアイパルは到着するなり、そのまま目の前にあった階段で上の階へと駆け上る。
——教諭サイド 控え室
デパートに続々と生徒が集まる様子を見ていた、教諭達が互いに意見を交わす。
「予想通り、九人ほどの生徒がデパートに集まりそうですね」
「メネズ、ファイズ(Cチーム)、アサプティ、セルピナ(Eチーム)、ヴァグン、ポルトス(Aチーム)、ダリア、エリー(Dチーム)。どこも最低二人ずつ揃ってますから、あとは合流と戦闘をどうするかですね。しかも、今アイパル(Cチーム)も向かってます。Cチームだけ一人多い状況で戦闘が出来るのは有利ですからね」
「案外面白いですねぇ。同じチームメンバーが集まっているグループもある。ですが、六階にはあのヴァグンが居ますからね。どうなることやら」
「他のチームが共闘すればですが、ヴァグンを落とせる可能性もありますし、メネズの魔法で一度視認しておいて後で自分のチームみんなで倒すって言うのもありですね」
各教諭の意見を聞いていたレグルスが口を挟む。
「むしろ、ヴァグンを無視して他の生徒同士で点の取り合いをして点を稼いだらデパートから脱出。なんて手を取るチームが出てくるでしょう」
レグルスの意見に感心する教諭達だが、どの意見もあくまで予想や願望にすぎないと一蹴して笑う。
だが、その中で一人レグルスだけは、ほんの少し険しい表情をしていた。
――この試験、デパートの結果次第で全ての戦況が動くかもしれないな……。
——デパート四階
「メネズどうする?」
「今、アイパルも建物内に入ってきた。上の階に向かってきてる。二対一だけど、戦闘面で言えば実質一対一。目の前の敵以外にも、建物内に敵はいるし、ここで合流までの時間を稼ぎたい。ファイズには出来れば勝ってほしいけど」
「お安いご用だ。あんまり離れすぎるなよメネズ!」
ファイズはダリアに向かう。ダリアも迎撃態勢に入る。
「五行魔法 森林の加護」
ファイズの身体を覆うように草木が生えて、まるで鎧のように纏う。そして続けざまに魔法を使う。
「五行魔法 爆炎の加護」
すると、ファイズの身体を覆ってた草木が鎧から普通の草木は戻り、ダリアに向かって草木が伸びる。その草木が炎へと変化する炎は燃え広がりダリアを包み込む。
炎が消えると、結界のようなものが現れる。その結界の一部が変化して刃状の攻撃がファイズに向かって飛んでいく。
「五行魔法 土遁壁の加護」
炎が燃え尽きたところから壁が突き出し、刃状の攻撃を防ぐ。
ファイズとダリアがお互い攻撃と守備を交互に続けていた。それを見守っていたメネズを六階から降りてきたアサプティが捉える。
アサプティはファイズとダリアの方を一瞬みると、隙があると判断してメネズに向かい一直線で加速する。
「獣魔法 獣化脚」
「獣魔法 獣化腕」
そのまま腕も獣に変化して、メネズに攻撃する。それを目の端で見たファイズはメネズを守るためにアサプティに攻撃をしようとするが、ダリアが攻撃してそれを防ぐ。
対抗手段がないメネズは、そのまま落とされる。そしてアサプティは二人の合間を縫って再び南東階段へと抜けようと企む。
次の瞬間、建物内のどこかから、ズドンという音が響き渡り、全員が一瞬その場で固まる。
最初に動き出したアサプティは上手く南東階段へ抜ける。
次にダリアはその隙を逃さず、ファイズを倒そうと背後へと回り込み、死角から魔法を発動させようとする。が、しかし、消え去ったはずの土壁が再び形を成す。
その壁から放たれた攻撃がダリアの背中を捉える。
「……っ!」
ダリアの身体が吹き飛び、床を転がる。
そこに追撃をくらい戦闘不能になる。
「五行魔法 金塊の加護」
――危なかった……が、近寄ってきてくれて助かったな。しかし、メネズを落とされたのは痛手だな。
「メネズダウン。Eチームに一点、ダリアダウン。Cチームに一点」
レグルスからの放送が続けざまに入る。
「さらに、アイパルダウン。Aチームに一点。」
……先程の音はアイパルとヴァグンが闘った音か。……まずいな。早く逃げなければ、ヴァグンがこちらへ来るはず。
ファイズは建物の外へ逃げようと、吹き抜けを飛び降り一階へ着地する。外への出口へ向かおうと走ると、再び轟音が鳴り響き、上から瓦礫が落ちてくる。
――まずい。……ヴァグンがこっちに来た。脱出が間に合うか……?
落ちてきた瓦礫を避け、上を向くとヴァグンと目が合う。急いで脱出しようと、出口へと向かおうと体勢を直した瞬間。
「その未来は見てたよ」
――……っ。……もう一人いたのか。
「"閃光” 乱れ打ち」
声に反応し、反射的に魔法で防ごうとするが、それよりも速く木刀による連続攻撃がくる。ファイズは防ぎきれず、壁へと激突し、そのまま戦闘不能に陥る。
ファイズを倒したミクトランは上階を見上げる。上階から見下ろしているヴァグンの姿があった。
二人は視線を一瞬交わすと、ミクトランは何も言わず上階の一角を指すと外へ出る。
ヴァグンはミクトランに指された方向に向かって魔法を放つ。その先には、アサプティとセルピナが居た。
ヴァグンは二人を目視すると、続けざまに魔法を使い、攻撃を仕掛ける。セルピナは硬化魔法で自身の身体の硬度をあげ、アサプティは耐久性のある獣へと変化して防御態勢に入るが、ヴァグンの魔法攻撃は二人の防御すら超えてダメージを与え戦闘不能へと追い込む。
「……っ。ぐっ……。」
――こいつ……まじか……。強すぎる。
「ファイズ、アサプティ、セルピナダウン。Aチームに三点が追加される」
ミクトランとヴァグンでデパート内の敵をほぼ一掃し、ヴァグンは全員倒したと思い外へ出る。
春夏秋冬です。
第十五話ご覧いただきありがとうございます。
ヴァグンは作中でもかなりの強さを誇っている(今後の成長含め)ので、扱いにとても困っています。。
これからも頑張っていきますので応援のほどよろしくお願いします。
感想等お待ちしております。




