第十四話『前期試験③』
——砂漠地帯
あいなは砂漠地帯を走り続け、合流地点へと向かっていた。
――もう少しで合流場所の橋に着く。他の人達はもう着いてるかな?最後だったらどうしよう。
「……!」
考えごとをしながら走り続ける。砂漠地帯の端には森林があり、そこを抜けると、ようやく橋が見えてくる。
あいなが橋を視認したその時、川と並行移動する形で橋へと走っていく人物の姿が見える。そして、別方向の森林側からその先の橋に向かっていく、もう一人の姿も見える。
――敵が二人か。同じチームの人かな?一旦様子見したいな。下手に突っ込んで戦闘になって負けるわけにもいかないし。
森林に姿を隠すあいな。そうこうしているうちに、先程あいなが視認した二人がぶつかる。
森林側から現れた人物が先制で仕掛ける。
「光魔法 裁きの光雨」
いくつもの光が雨のようになって降り注ぐ。だが、相手側も奇襲を読んでいたのか、巨大な盾で攻撃を防ぐ。
「武器創生魔法 巨人の大楯」
防いだのも束の間、光魔法の使い手ベルスは次の手を仕掛ける。
「光魔法 裁きの光鞭」
光が収縮し、一本の長い鞭へと変化する。
武器創生魔法の使い手であるサファは、再び盾を創り出すと、そのまま橋を渡ろうと試みる。だが、そうはさせまいとベルスも攻撃の手を増やす。
「光魔法 ――――」
ベルスが魔法を発動させると、橋全体とその周囲一帯が、まるで巨大なレーザービームが落ちるかのように空からの光に包まれる。次の瞬間――もの凄い地響きと共に橋が完全に崩落する。ベルスは圧倒的な力の差を見せつけてサファを倒すと、崩落した橋を飛び越え、そのまま光魔法で住宅街側へと向かっていった。
その様子を見ていたあいなは、作戦を考える。
――まずい。合流予定だった橋が落とされた。とりあえず、放送では一人分のポイントしかなかったから、皆はまだ来てない。それは良かった。
けど、どうするべき?完全に分断されちゃった。魔法で渡れないこともないだろうけど、絶対に目立つし、一人じゃ敵に見つかった時に迎撃ができない。
わたし以外チームの皆は住宅街側に居るから、向こうに行かずにわたしが砂漠地帯で点を取って、みんなには向こうで点を取ってくれることが一番いいかな。
向こうにはカルミアちゃんが居るから川の水凍らせて渡ることも出来るだろうし、皆集まれば問題なく突破してくれるはず……。
あいなは、抜けてきた森林地帯を逆戻りし、砂漠都市へと向かう。
——時は遡り、あいなが橋へと向かい森林地帯を走り抜けている頃。
住宅街南部では、イヴ・ミューズ(Aチーム)とサーシャ・ケレリタス(Bチーム)が戦闘を開始する。
「これはこれは……瞳魔法のイヴ・ミューズじゃないか」
「サーシャ・ケレリタス……」
お互いは相手を見据えると同時に地を蹴り、イヴは建物内に入り、サーシャはそれを追う。
「どうした!逃げてばかりでは勝てないぞ」
――速度魔法のサーシャが相手なら、勝つ方法は一つ。逃げ回って隙をつくって瞳魔法で拘束して倒す!
「逃げ回るのも作戦のうちかもよ?」
「ならば、捕まえて見せよう。速度魔法 変速ニ速」
一気に加速して、逃げるイヴを勢いよく抜かして、前方に回り、捕らえようとする。
――……やっぱりはやい!!
「……っ。……瞳魔法 アングルウェアの瞳」
イヴが魔法を発動させると、サーシャが前方に立った時の床の破片がその場で止まる。
サーシャはイヴが魔法を発動させるよりも、ほんの一瞬速くイヴの視界の外へ避ける。
「やはり厄介なものだな。瞳魔法」
――完全に動きが止まったと思ったけど、そこからでも避けられるのか……。すごい。
それに、ニ速ってことは、全力はまだこれよりも速くなるのか……。
「そっちもだけどね。速度魔法に限界はないのかな?」
――もし、限界がないならだいぶまずい。
「さあ。どうだろうね」
イヴの質問をさらりと流すと、再び床を蹴り、音を置き去りにするほど加速してイヴを蹴り飛ばす。
「……ぐっ…………っ」
――目に見えなかった……。やば……内臓が……。
「瞳……まほ……」
「変速三速」
先程よりも速い速度での攻撃をして、イヴを地面に叩きつけ勝利したと確信したサーシャであった。
だが、叩きつけたはずのイヴが姿を消す。驚き周囲を見渡す。
「……!」
すると、叩きつけられたはずのイヴが背後から声を掛ける。
「倒したと思った?残念。私の魔法の掌の上だよ。
瞳魔法 インキュラムの残像」
「一体いつから……」
「さあ。いつだろうね」
形勢が逆転したと感じたイヴは先ほど自分がした質問にサーシャの答え方を真似して答える。
――さぁ今度こそ決めてあげる。
「アングルウェアの瞳」
今度は確実に決まり、サーシャは完全に動きが止まる。それをみて勝利を確信してサーシャに近づき魔法を放とうとする。
「瞳魔法 オ……」
サーシャの両頬を触り、自分の眼とサーシャの眼を合わせた瞬間、サーシャはにやりと笑う。
「変速五速」
身体が拘束されていたはずのサーシャは、変速で無理やり自らの身体速度を急速に高めて、力ずくでイヴの魔法を破り、今までで一番速い加速をしてイヴの腹部にパンチをめり込ませる。イヴは通常のパンチに速度が掛け合わされた、馬鹿げた威力のパンチに沈む。
こうして、あいな達Bチームに初の得点があがる。
春夏秋冬です。
第十四話ご覧いただきありがとうございます。
そろそろ前期試験も動き出しました。これからどんどん面白くなっていきます。
これからも頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いします。
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