第十三話『前期試験②』
——砂漠地帯。砂漠都市上側
「敵を発見。しかも二人とはついてるね」
「エンリル!?厄介なやつが来やがった」
途中乱入してきたエンリルとジュートが対峙している中、ヘカトは隙をついてエンリルに仕掛ける。
「隙がでかいんじゃねえのか?土魔法……」
ヘカトが魔法を発動する前に、エンリルは魔法を発動させる。すると、何もないところから竜巻がおき、ジュートとヘカトを襲う。
「天候魔法 颪」
エンリルは攻撃の手を緩めず、続けて魔法を使う。
「天候魔法 鳴雷」
すると、二人が体勢を立て直すよりも早く、先ほどの竜巻から周囲に雷が迸り、二人へと襲いかかる。
「君たち二人程度なら隙があっても勝てるよ。それに、あえて隙をつくるのも大事だよ」
エンリルの猛攻に耐えきれず、ジュートとヘカトは戦闘不能する。
二人を倒したエンリルは砂漠都市を離れて、橋を渡り、住宅街側に移動しようとしていた。
その様子を見ていたレグルスは、マイクを通じて試験会場全域に伝える。
「ジュート(Dチーム)並びにヘカト(Fチーム)戦闘不能。Eチームに二ポイント」
合流地点へ移動していたあいなは、放送を聞いて焦りを見せる。
――もう戦闘が起きてるの!?まずい。早く合流しなきゃ敵もどんどん減っていくし……。作戦変えるべき?でも皆と連絡取れないし、どうするべきか。……一旦、合流にしよう。
エンリル達と同様に各所で戦闘が始まろうとしていた。
そして、既に住宅街北部では三つ巴の決着がついていた。
——住宅街北部
アルベド、ウルカ、アマルはそれぞれチームとの合流を目指して移動していた。だが三人は偶然にもこの場所で遭遇し、三つ巴となる。
「アルベドちゃんじゃん!」
アルベドの姿を見るなり嬉しそうに近寄るウルカ。
「ウルカ!……アマルもいるのか。少し面倒だな」
アルベドはウルカを視認すると同時に住宅街の塀裏に身を隠すアマルにも気がつく。塀裏にいたアマルはアルベドに気取られたことに驚きを隠せず、先制攻撃を仕掛ける。
「鋼魔法 巨人の鋼腕」
攻撃を防ぐため、ウルカとアルベドは防御態勢に回る。
「岩石魔法 岩窟壁」
「宝石魔法 カルサイトの盾」
土煙が三人の周囲を覆う。その土煙を利用して、今度はウルカが攻撃する。それを見て、アルベドも攻撃へと移る。
「宝石魔法 フルオライトの槍」
「岩石魔法 砂漠牢」
アルベドの展開した砂漠の檻に阻まれ、アマルは逃げ場を失いそのまま、ウルカにフルオライトの槍の集中攻撃を受けダウンする。
だが、アマルへの攻撃に意識を向けていた、ウルカの一瞬の隙を逃さず、アルベドがウルカへ攻撃を仕掛け、倒しきる。再び放送が流れる。
「アマルダウン。のちにウルカダウン。Fチーム、Cチームに一点ずつ入る」
——住宅街南部
「これはこれは……瞳魔法のイヴ・ミューズじゃないか」
「サーシャ・ケレリタス……」
——住宅街中央部デパート内
デパート内六階にはヴァグン(Aチーム)、アサプティ(Eチーム)、四階には、メネズ(Cチーム)、ファイズ(Cチーム)、ダリア(Dチーム)が、一階にはエリー(Dチーム)、ポルトス(Aチーム)がいた。
デパート外でも、デパートへと向かうアイパル(Cチーム)、セルピナ(Eチーム)の姿があった。
「ふむ……どいつもこいつも隠れてやり過ごす気か、それとも……隙を狙っているのかな?」
静かな空間で、ただ普通の声で喋るだけで響き渡り、まるで大きな声のように聞こえる。
ヴァグンと同じ階にいるアサプティは、隠れて悪態をつくしかなかった。
「……動けるわけねえだろ。下の階に索敵魔法のメネズが居るんだぞ。見られりゃ最後。どこまでも追いかけられる双互観測だぞ。イカれてんのかあいつ」
——教諭サイド。控え室
「いやあ……だんだんと戦闘が増えてきましたね」
「デパートなんて特に凄いですよ。たくさんのチームと人が集まってきている。どこか一つで戦闘が始まれば他も始まりそうな勢いですね」
「デパートに集まることは初期マップから予想は出来ていたはずだ。それに対してチーム内でどういう作戦を立てたのかは楽しみではある……が、あまりにも集まりすぎたな」
何か思うところがありそうなレグルスに、クーベラは質問を投げかける。
「集まりすぎるのはだめなんですか?点の取り合いで面白そうですけど」
「多少なら、クーベラ教諭の言う通りだろう。だが、集まりすぎたせいで、どのチームも作戦の変更を余儀なくされるだろう。そうなると逃げる者、残り戦う者、あるいは……。チームの地力が試されるな」
「……?結論としては駄目じゃないってことですか?」
「駄目ではない。だが、そこで大半の決着がついてしまっては、あまり味気ないだけだ」
改めまして、春夏秋冬です。
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