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異世界で実家代行を始めたら、魔王まで「ただいま」と言ってきた

最新エピソード掲載日:2026/09/06
「『おかえり』を一回、頼めますか」

最初の客は、夕飯より先に妙な注文をした。

冒険者を三日で辞めたトーマは、国境の町で小さな宿を開く。売り物は、温かい飯と風呂と、帰りを待つ明かり。名づけて「実家代行」。

疲れた青年を泊めたら、翌朝、その正体が勇者だと分かった。

それだけでも困るのに、次に来たのは、大きな魚を手土産にした魔王。敵同士が同じ食卓につき、食後の予定より先に、おかわりの鍋をのぞき込む。

帰る予定を言わない配達人。娘に会いに行けない行商人。自分の食堂を夢見る相棒。

事情を抱えた客を迎えるうち、宿には少しずつ「ただいま」が増えていく。

ただし、宿主自身は三年間、実家に帰っていない。

家族には、立派な冒険者として活躍していると嘘をついているからだ。

他人の帰る場所を作る青年と、そこで一息つく人々の、笑えて温かいお仕事ファンタジー。

本日の夕飯は煮込み。食卓での決闘は、お断りしています。
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