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【ノベル8巻10/7発売!】悪役令嬢の矜持〜婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。〜  作者: メアリー=ドゥ
第六部/裏 濯ぐ手向けの花束を。

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225/226

濯ぐ手向けの花束を。【前編】

 

 ーーー父コビャクとの会談から、数日後。


 レオは、王都の南にあるキルレイン公爵領内にある、飛竜便で数時間程度の距離にある領主邸に向かった。

 飛竜便を随行させて、麒麟とは別の愛騎である王獅子(キングレオン)で赴くと、入り口の前で待っていたガワメイダ伯爵が頭を下げる。


「国王陛下。わざわざ足をお運びいただき、誠に恐縮です」

「こちらこそ、わざわざ出迎えさせてすまない」

「お呼びいただければ……」

「いや、少し用事もあったのでね」


 彼はあの事件以降、徐々に痩せて隈の消えない顔をしていたので気に掛けてはいたのだ。

 が、ガワメイダ伯爵が働き詰めな事情も知っており、何度かさりげなく声を掛けたのだが改善は見られなかった。


 なので関係者の現状も鑑みて、今回彼が倒れたのを契機とすることを決めたのである。


「起き上がって大丈夫なのか?」

「ご心配をお掛けして、誠に申し訳ございません……特に大事はないのですが」

「大事がない者は、倒れたりしないよ。私は長居をするつもりはない。妻も心配なのでね」


 レオニールは、恐縮しているガワメイダ伯爵にこれ以上気を使わせないよう、妊娠しているイオーラの話を出してから、本題に入る。


「我が弟ティグが次の法務卿に内定していたのは、ご存じかと思う」

「はい」

「此度、正式に引き継ぎの日程が決まった。同時に、キルレイン公爵の地位も継承されるそうだ」

「……」

「貴方の役割は終わりだ、ガワメイダ伯爵。今まで王国の為に努めてくれたことに感謝する。少しゆっくりするといい」


 レオがそう伝えると、ガワメイダ伯爵は目を見開いた。


「いえ、ですが」

「父上の許可もいただいた上での決定だよ。貴方は責務を全うしたと、私は判断した。もう、十分に償っただろう?」

「陛下……」

「それを伝えるのと別に、用事がある。公爵邸の執務室に、額縁に入れて法務卿の証明書が飾ってあると思うんだが」

「あ、ええ」


 レオがウェルミィの話を思い出しつつ言葉を口にすると、ガワメイダ伯爵は頷いた。


 どうやらローレラルの夫であるラウドンは、彼が倒れた、と聞いた直後に〝夢見の力〟を使ったらしく、様子を確かめたという。


 その際、ガワメイダ伯爵が執務室で倒れた様子が見え、その時に眺めていたものに違和感を覚えたそうだ。

 ラウドンがウェルミィに、ガワメイダ伯爵の現状と共にそれを伝えたところ、どうやらこちらの探し物の一つらしく、レオはそれもあって出向いたのである。


「その証明書には、|読めない文字(強調点)が書かれているんだろう?」


「はい。それがどうかなさいましたか?」

「前・アバッカム王国時代から、代々の法務卿に受け継がれているもの、とキルレイン法務卿から伺った。近日ティグに譲渡されるそれを、一足先に受け取りに来たんだ」


 レオ自身も、各省庁の全てを把握している訳ではないので知らなかったが。

 どうやら『法務卿の証明書』として使われるものらしく、王家の所有物として登録されているらしい。


 内容については『女神の教えが書かれている』と言われているようだが、内容が読めないので正確なところは分からないと。


「すまないが、渡して貰えるだろうか?」

「それは勿論、陛下のご下命とあればすぐにご用意させていただきますが……」

「どうした?」


 何か言いたいことがありそうなので、レオがそう尋ねると、ガワメイダ伯爵はここ最近の事件に関わっていそうなことを口にした。


「いえ、それに関して奇妙な夢か、あるいは過労の幻覚なのか分かりませんが……倒れる前に、死んだ筈のルトリアノがあの額縁の前に立っているのを見たので、不思議な符合もあるものだと」

 

「!? ……貴方は、何故その人物がルトリアノだと?」


 レオの記憶では、ヘーゼルの事件にガワメイダ伯爵が関わったことはない筈である。


 ローレラルの件はその後、オルミラージュ侯爵家本邸に行ってから起こったことだ。

 しかし彼が語った答えは、レオにとって意外なものだった。


「私は、ルトリアノやクラーテス伯爵と同級生でした。貴族学校時代に彼らと交流がありまして、アルガ・オルミラージュ氏の遺した論文について意見交換をしたこともございます。それなりに親しくしていた彼がこの家を訪れた際に、紙片に興味を示したのです」


 ルトリアノにはそれが『読めた』ようで、ガワメイダ伯爵に読めないのを不思議がっていた、と。


 ―――まぁ、自分が編者の『宿命』を持っていることは知らなかったんだろうしな。


 しかしその話と合わせて、この家にある紙片が【旧詩篇(アウゴサーム)】であることは、ほぼ確実だろう。

 心の中でそう思いながら、レオは話を続ける。


「紙片の内容に関しては?」

「どうやら、複数の女性の名前と議論の様子が書かれているとのことで。『確かに内容は法の成立に関するものではあるが、太古に書かれた絵空事の類いじゃないか』と口にしておりました」

「貴方はそれについて、誰かに話したか?」

「いえ、そんなことがあったことすら忘れておりました。当時から、ルトリアノは私より魔導文字に造詣が深かったので、読めるのだろうと。何か重要なことだったのでしょうか?」

「いや……気にしないでくれ」


 確かに、証明書の内容が分かるか分からないか程度の話であれば、学生が気にするようなことでもない。


「取ってきて貰えるか? 私は受け取ったらすぐに発つ」

「はい。少々お待ちください」

 

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10/7にノベル版8巻が発売されますので、宜しければお手に取っていただけると嬉しいです♪


今回もがっつり加筆しておりますー♪


どうぞ宜しくお願い致しますー♪

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