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婚約破棄の瞬間、前世が戻りました ~元女子高生、今世は自分のために生きます~

作者:楠木 悠衣
最新エピソード掲載日:2026/05/20
 前世は、受験勉強が唯一の取り柄だった地味な女子高生――神崎菜月。
 十七歳の冬、過労による心臓発作で突然死した彼女は気づけば、魔法が存在する異世界「アシュワール帝国」の伯爵令嬢「エレーナ・フォン・アシュフォード」として生まれ変わっていた。
 けれど前世の記憶は深く沈んだまま。
 「生まれながらの呪い持ち」と囁かれながらも、誰かに認められようとひっそり努力を続けた十七年間だった。
 そんなある春の日、婚約者・イグナーツ侯爵子息から婚約破棄を宣言される。
 その瞬間――封じられていた前世の記憶が、堰を切ったように溢れ出した。
 (あ。これ、よくあるパターンですね)
 泣くどころか、どこか冷静に、少し呆れながら状況を受け入れたエレーナは決意する。
 前世でも今世でも、ずっと誰かのために生きてきた。
 今度こそ、自分のために生きよう、と。
 婚約者を失い、社交界で嗤われても――「呪い」だと思われていたものの正体は、圧倒的すぎる魔力を封じるための封印だった。
 十七年間眠り続けた力が、今、目覚める。
 一方、帝国最強と謳われる公爵・ヴァルター・フォン・ケストナーは、長年追い続けてきたある「封印の気配」がこの夜、ついに消えたことを察知していた。
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