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未完の大魔導士――俺の近くでは何も完成しない――  作者: 勇者ヨシ君
第10章「眠らない聖女」

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第161話「ふわぁぁ、眠いですが」

 傷を閉じる手が早くても、見落とした痛みまでは消せません。

 治療は、魔法を放つ前に、相手の身体と返事を待つところから始まります。

 治療生命科の実習室には、血の匂いがなかった。

 白い壁。洗浄済みの診察台。薬品棚。骨格模型。複数の水盆。窓際には乾燥させた薬草が種類ごとに吊られ、机の上には負傷模型と魔力経路図が並んでいる。

 清潔で静かな場所なのに、レイルは上級風圧の訓練場より緊張していた。


「ふわぁぁ……では、始めましょうか」


 ミレアは診察台の横で小さく欠伸をした。

 銀灰色の長髪は今日は一本の三つ編みにされ、胸の前へ流れている。目の下の薄い隈はいつもどおり。紫の瞳も眠そうだが、手袋を外した瞬間、指先の動きだけが変わった。

 実習対象は、生体に近い反応を示す学院製の治療模型だった。表面には三センチほどの切創。内部には血管、筋肉、神経を模した魔力糸が入っている。


「レイルさん。何をしますか?」

「出血量を確認して【止血】。傷口を洗浄。異物がなければ【治癒(ヒール)】」

「順番は悪くありません。何が足りませんか?」

「模型だから本人同意は不要」

「実習では、模型にも同意確認を入れます」

「返事をしないぞ、模型は」

「返事がない対象へ、どう判断するかを練習します。習慣にしなければ、身に付きませんから」


 ミレアは模型の胸元へ付いた札を示した。


【意識あり/会話可能】

【既知の薬物アレルギーなし】

【治療魔法受諾済み】


「この札が本人の返事です。現場では、フィアさんの記録、家族の証言、医療札、本人の言葉を照合します」

「分かった」

「では、触れる前に言ってください」


 レイルは模型へ向き直った。


「傷を確認します。止血と洗浄の後、治療魔法を使う。痛みが強ければ止める」

「続けてください」

「触れるぞ」


 指先で傷の周囲を探る。

 表面の切創は浅い。だが左側だけ弾力が違う。内部の血管糸が一本切れ、魔力液が模型の奥へ溜まっている。


「内側に出血がある」

「見つけましたね。表面だけ閉じると?」

「出血が見えなくなる」

「それから?」

「内部圧が上がる。感染か壊死の原因になる」


 ノアが実習台の反対側から身を乗り出した。

 肩甲骨までの淡い金髪を片側へ流し、細い赤縁眼鏡の奥で深紅の瞳が模型内部の術式を追う。豪華な魔導衣には焦げ跡と薬品染みを繕った跡が残り、袖口には白環制式語を書き込んだ細い布札が並んでいた。首元では、父から受け継いだ銀製の小型術式筒が揺れている。


「術式上は、表面治癒だけでも完成率百%へ到達します。完成してしまうから危険なのです」

「九十九%で止めるのか?」

「この模型では【未完(ノット・コンプ)】を使いません。安全へ逃げず、誤った治療を始めない手順を覚えてください」


 ノアの口調は自信に満ちている。だが、以前のように自分の九十九%を万能の逃げ道にはしなかった。

 フィアは実習机の端で目録帳を開く。黒髪の短いボブは耳へかけられ、指先にはいつものインク汚れが薄く残っていた。


「同意確認、異物確認、内部出血確認。三項目が終了しました。治療開始条件は成立しています」

「身体側も成立しています」


 ミレアが答える。


「レイルさん、止血から」


 【止血(ブラッド・シール)】で内部血管糸の流出を抑える。洗浄水で傷を流し、魔力液の濁りがないことを確認する。

 次に中級生命魔法【治癒(ヒール)】。

 六基礎現象の【活性】とは違う。傷口周辺の細胞を一括で元気にするだけでは、形を誤ったまま増殖させる。損傷の縁、血管、筋肉、皮膚を別々に読み、正しい接続順へ沿って回復を促す必要がある。


 ――レイルは完全詠唱を選んだ。


「生命の巡り、断たれた縁を照合する。血路を閉じ、肉を結び、皮を戻せ――【治癒(ヒール)】」


 魔力をまとった淡い緑白色の光が傷へ沈む。

 切れた血管糸が繋がり、筋肉層が寄り、最後に表皮が閉じた。

 見た目は成功している。


「――終わりですか?」


 ミレアが尋ねた。


「終了後、確認」


 レイルは光を消し、再び傷へ触れた。

 熱、腫れ、内部圧、魔力経路の乱れ。右端だけ、皮膚の下に僅かな硬さが残っている。


「異物がある」

「治療前には?」

「見落とした......」


 ミレアが模型の裏側を開くと、細い木片が一つ出てきた。


「木片は傷口の奥へ斜めに入っていました。術式はきれいに成功しています。そのきれいな傷の下へ、木片まで閉じ込めました」

「やり直す」

「模型ならできますね。人間では、閉じた傷をもう一度開く負担が生じます」


 レイルは自分の掌を見た。

 魔法は成立した。光もきれいだった。術式上は欠けていない。だからこそ、見落としまで表面の下へ隠した。


「もう一度、最初から確認する」

「はい。今度は何を変えますか?」

「傷の方向だけ見ない。刺さった物の進入角度、衣服の破れ、周囲の破片を先に見る」

「それを記録します」


 フィアが項目を追加する。


「私は術式へ異物照合工程を入れます」


 ノアが紙へ式を書き始めた。


「入れすぎると診断が遅れないか?」

「簡易照合と詳細照合を分けます。急性出血では止血を先に、閉創前に詳細照合」

「三案作れます」


 見学していたセレネが眼鏡を直した。


「標準治療、出血優先、異物疑い。レイルの詠唱句を共通部と分岐部へ分ければ、現場で選べます」

「治療術式まで増やすのか」

「選択肢を増やしません。選ぶ前に、違いを見える形へします」


 実習台の外でリィナが腕を組んでいる。

 彼女は治療魔法を使えないが、患者役の身体変化を見るために参加していた。


「私は何をすればいい?」

「怪我した時に隠さない」


 レイルが答えた。


「それ、私よりレイルの課題でしょ」

「俺も含む」

「じゃあ、痛いって言う練習から?」

「練習するものか?」

「レイルは必要」

「リィナもだろ」


 リィナは自分の左前腕を差し出した。

 朝練で木剣が擦れた小さな赤みがある。


「ここ、少し痛いんだけど」

「皮膚の擦過傷(すりきず)。腫れなし。治療魔法は不要。洗浄と保護布で――」

「感想は?」

「感想?」

「痛いって言ったんだけど」


 レイルは一拍遅れて気づいた。


「大丈夫か?」

「うん。それでいい」

「治療判断より先に言う必要があるのか」

「毎回じゃない。でも、痛いって言った相手へ、すぐ傷の等級だけ返されたら、ちょっと寂しい」


 ミレアが眠そうに頷いた。


「ふわぁ……良い患者指導です。身体を診る時、本人が身体の外へ追い出されることがあります。傷だけを相手にしないでくださいね」


 午後の実習では、軽い骨折模型へ【骨接(ボーン・メンド)】を試した。

 折れた骨を正しい位置へ戻す前に魔法を使えば、曲がったまま癒合が進む。力任せに戻せば神経と血管を傷つける。

 アルドが患者役へ立候補したが、ノアとフィアが同時に却下した。


「なぜだ。実際の身体の方が訓練になる」

「健康な腕を折る必要はありません!」


 ノアが答える。


「訓練目的の負傷は安全規則へ反します」


 フィアも続けた。


「軽い打撲なら?」

「治療実習のために怪我を作ろうとしないでください」

「では訓練後に怪我をした時は頼む」

「怪我を予定へ入れないでください」


 ノアの声が少し高くなった。

 フィアは無表情のまま目録へ一行加える。


「アルドの訓練計画から『治療実習用負傷』を削除します」

「最初から書いていない」

「口頭で追加される前に削除しました」


 ミレアが欠伸を噛み殺し、二人を見る。


「ノアさんもフィアさんも、アルドさんへ同じ方向から怒るのですね」

「安全判断です」

「医療判断です」


 二人の返答が重なった。

 アルドは少し考える。


「やはり、俺を見る時だけ二人の言葉と顔が一致しない」

「今は一致しています」


 フィアが言った。


「両方とも怒っています」

「訂正しません」


 ノアも認めた。

 笑いが収まると、レイルは骨折模型の隣へ置かれた透明な保存箱へ目を向けた。

 中には手首から先を模した精巧な生体模型が沈んでいる。血管、神経、腱、骨、魔力経路が色の違う糸で再現され、切断面だけが露出していた。


「これは何の実習だ?」

「上級課程より先の見本です」


 ノアが保存箱を持ち上げる。


「切断部位が見つかり、保存状態が良ければ、血管と骨を接続して再接着を目指せます。上級治療魔法【再生促進(リジェネレート)】だけでは足りません。神経、筋肉、魔力経路を順番に繋ぐ術式が必要です」

「切断した部位が見つからなかった場合は?」


 レイルの問いに、ミレアは保存箱の切断面を指でなぞった。


「ふわぁ……聖級の共同治療に、欠けた組織を作り直す方法があります。仮称は【生体補環バイオ・リストレーション】。名前だけ聞くと、腕や脚がすぐ戻りそうでしょう?」

「戻らないのか?」

「万能な魔法などありません。 指一本でも、骨、血管、神経、筋肉、皮膚、魔力経路を順に育てます。短くても一時間。腕や脚なら、一度の施術では終わりませんね」


 ノアが保存箱を机へ戻した。


「切断部位が残っているなら、まず再接着を選びます。失われている場合、最初に作れるのは再生の土台です。そこから数週間、長ければ数か月。患者は栄養、血液、生体触媒を大量に使い、治療後には動かし方を一から覚え直します」

「失敗すると?」

「血管が詰まる。神経が違う場所へ繋がる。再生組織が壊死する。増えすぎた組織が、正常な部位を圧迫する。魔力経路だけ左右で噛み合わない例もあります」


 実習室の空気が静かになった。

 アルドは自分の右腕を見下ろし、さっきまでの患者役志願を口にしなくなった。


「レイルさん一人へ、これを背負わせません」


 ミレアの眠そうな声が、少しだけ低くなる。


「術式を維持する人。血管と組織を作る人。脈と呼吸を見る人。同意と停止条件を記録する人。異常増殖を監視する人。途中で誰か一人が限界へ近づいたら、安全な工程まで戻して交代します」

「【未完】で途中へ置けば――」

「生命そのものを保持対象へ入れないと、前に決めましたね」


 フィアが即座に遮った。


「治療術式の完成時刻を預かる場合も、患者本人の同意、治療担当の署名、停止条件が揃ってからです」

「死者には使える?」


 今度はリィナが尋ねた。

 ノアは首を横へ振る。


「魂が離れ、死が世界へ結着した後は戻せません。残った身体を動かす術なら作れるかもしれませんが、その人自身は帰りません」

「本人が、欠けたままでいたいと言ったら?」


 セレネの問いに、ミレアが答える。


「治療しません。義手や補助具を選ぶ人もいます。昔の身体へ戻したいかは、本人に聞かなければ分かりません」


 レイルは保存箱の中の手を見つめた。

 治せる可能性が増えるほど、術者が勝手に決めてよい範囲は狭くなる。技術を覚えるだけでは足りない。誰を先に治すか、何を戻すか、途中で止めるか。その一つずつへ、患者の時間と生活が乗る。


「これは、いつ習う?」

「上級【生命診断(ライフチェック)】を修めてからです」


 ノアが細い赤縁眼鏡を押し上げた。


「今の貴方は、模型の木片を見落としたばかりでしょう。腕一本を作る前に、傷の中を最後まで見てください」

「分かった」

「素直ですね」

「反論できる材料がないからな――」

「普段も、その速さで認めてください」


 笑いが戻った直後、実習室へ急な鐘が鳴った。

 廊下で一年次生が倒れたという。

 ミレアの眠そうな表情が消えた。

 彼女は治療箱を掴み、誰より早く扉へ向かう。


「レイルさん、止血具。フィアさん、倒れた時刻と摂取物。ノアさん、魔力経路。リィナさん、廊下を空けてください。セレネさん、治療室へ連絡を」


 声量は上がっていない。

 それでも全員が即座に動いた。

 倒れていたのは、魔法実習後に階段から転落した一年次の少年だった。意識はあるが呼吸が浅い。額に擦り傷、右脚が不自然に曲がり、背中を強く打っている。

 ミレアは膝をつき、手袋を外す。


「名前を言えますか?」

「……トル、です」

「トルさん、私はミレアです。身体へ触れます。無理に起き続けろとは言いません。今は、私の声だけ聞いてください」


 脈、瞳孔、呼吸、手足の感覚。

 額の出血は少ない。脚は骨折。だが最も危険なのは、背中を打った後の呼吸の浅さだった。


「胸部圧迫の疑い。脚を先に治さないでください」


 レイルへ言う。

 さっきの実習がなければ、目に見える曲がった脚へ意識を奪われていたかもしれない。

 ノアが胸部の魔力反応を読む。


「右肺の周りに液体反応があります。穿孔は浅いようです」

「治療室まで意識を保てます」


 ミレアは【覚醒固定(かくせいこてい)】の術式環を少年の胸元へ置いた。


「トルさん。今から意識を保つ魔法を使います。痛みは消えません。息苦しさも残ります。使ってよいですか?」

「……お願いします」


 返事を聞いてから魔法を結着する。

 少年の瞳の焦点が戻った。

 しかし呼吸は楽にならない。額に汗が増え、とても苦しそうだ。


「意識は維持できます。身体の限界は消えません。ゆっくり息をしてください。痛みが増えたら言ってください」


 ミレアの声から眠気は完全に消えていた。

 レイルは額の擦り傷へ【止血】だけを使い、脚には固定具を当てる。曲がった骨をその場で治そうとしない。アルドが搬送板を持ち、リィナが廊下の人を退かす。セレネは治療室へ患者情報を先に送った。フィアは転落時刻、実習内容、食事、意識状態を一つずつ記録する。

 搬送が終わるまで、ミレアは少年の手を離さなかった。


 治療室へ引き渡した後、彼女は廊下の壁へ背を預けた。

 緊張が抜けた途端、紫の瞳がまた半分閉じる。


「ふわぁぁ……眠いです」

「治療師が先に寝るのか」


 レイルが言う。


「交代しましたので。今は学院治療師が担当です。私が廊下で起きていても、トルさんの肺は治りませんから」

「覚醒固定の反動は?」

「少し頭が重いです。二十分寝れば戻りますが」

「俺が見張る」

「レイルさんは授業へ戻ってください」

「また倒れたら?」

「私は眠る前に引き継ぎました。誰も引き継げない時だけ残ります」


 ミレアは治療箱を枕代わりにして、廊下の長椅子へ横になった。

 銀灰色の三つ編みが床へ落ちないよう、リィナがそっと持ち上げる。


「本当に寝るんだ」

「寝かせてあげよう」


 セレネが自分の外套を畳み、ミレアの頭の下へ入れた。

 レイルは眠りへ落ちる横顔を見る。

 【不眠聖女(ふみんせいじょ)】と呼ばれる少女は、起き続けることで強さを示そうとしなかった。

 必要な時だけ眠気を捨て、役割を渡した後は、ためらわず目を閉じた。


 その夜、ミレアは自分から過去を話した。

 学院寮の小さな談話室。灯りは一つ。レイル、リィナ、セレネ、フィア、ノアだけがいる。


「幼い頃、私は三日間眠らず治療補助を続ける実験を受けました」


 眠そうな口調は戻っているが、欠伸はしなかった。


「ベネディクト局長は、私の覚醒術が多くの兵士を救うと言いました。最初は一晩。次は二晩。眠くなるたび薬を使い、倒れたら【覚醒固定】を自分へ戻しました。目を開けていれば成功だと記録されました」

「身体は?」


 レイルが尋ねる。


「震え、発熱、幻覚、記憶の欠落。全部、聖女へ近づくための一時的な反応と説明されました」


 ミレアは自分の手袋を見た。


「眠らない私を見て、寄付が増えました。治療施設も増えたので、悪いことだけだったと言えば嘘になります。でも、その施設へ私が必要だと言われ続けました。眠ると、助けられる人を見捨てた気がしたのです」


 リィナの手が膝の上で握られる。


「今も、眠るのが怖い?」

「時々。ですが今日は眠りました。引き継いだ後でしたから」


 セレネが静かに聞く。


「ベネディクトは、王城で貴方を連れ戻そうとしていましたか?」

「戻すというより、私を昔の名前へ戻したいのだと思います。【眠らない聖女】へ」


 ノアは細い赤縁眼鏡を外し、布で拭いた。


「貴方の身体は、ちゃんと眠れるのですね」

「はい。眠れます。よく眠いです」

「二つ名が不正確では?」

「教会の宣伝は正確さより覚えやすさを優先します」

「気に入りません」

「私もですよ」


 フィアが目録帳へ一行だけ書いた。


【ミレア・ノクスは眠れる】


「記録へ必要か?」


 レイルが尋ねる。


「必要です。公的な二つ名が、本人の身体状態と一致していません」


 ミレアは小さく笑った。


「では、時々それを読み上げてください。眠れないと思い込んだ時に」


 談話室を出る前、レイルは自分の睡眠予定へ七時間と書いた。

 ミレアへ見せる予定はなかった。

 見せずに守るためだった。


【今回の登場人物】


・レイル・アルヴァート

 表面の傷だけを閉じて異物を残す失敗を経験し、実際の転落事故では目立つ骨折より呼吸を先に見た治療術師見習い。


・ミレア・ノクス

 日常では眠そうに欠伸をし、緊急時には声から眠気を消し、引き継ぎ後は自分から眠った治療生命科生。


・ノア・エルグラム

 九十九%で止めれば安全とは考えず、誤った治療を始めないための術式工程をレイルへ教えた研究者。


・フィア・レコード

 治療同意と身体情報を分けて記録し、ミレアが眠れるという本人の事実を公的な二つ名より優先した目録官。


・セレネ・グランツ

 標準、出血優先、異物疑いの三案へ治療術式を分岐し、眠るミレアへ外套を枕として渡した少女。


・リィナ・アルセイル

 痛みへ等級だけを返される寂しさをレイルへ教え、搬送路を空けた後はミレアの髪を床から持ち上げた剣士。


・アルド・クロイツ

 健康な腕を治療実習のために折る案を提出し、ノアとフィアから同時に却下された護衛科生。


・ベネディクト・オルドレイ

 過去にミレアへ連続覚醒実験を行い、眠らない聖女という宣伝へ変えた元管理者。


【今回の能力・設定メモ】


・【治癒(ヒール)

 軽傷から中等傷の修復を促進する中級生命魔法。異物、内部出血、感染、接続位置を確認せず表面だけ閉じると危険。


・【覚醒固定(かくせいこてい)

 意識を短時間保つミレアの固有律技能。痛み、出血、疲労、身体損傷を治す効果はないため、本人同意と治療への引き継ぎが必要。


・【生体補環バイオ・リストレーション

 聖級の共同欠損治療魔術。保存された切断部位の再接着を優先し、部位が失われた場合は再生の土台から数週間から数か月かけて育てる。大量の血液、栄養、生体触媒、複数術者、本人同意、長期リハビリが必要。レイルは理論を知った段階で、未習得。


【次回】


 四学院の旗が鉱山都市へ集まり、総合魔剣競技会が華やかに開幕します。


 閉じた傷の下から木片を見つけ、眠らない聖女が引き継ぎ後に目を閉じました。レビュー、ブックマーク、フォローで、傷だけを相手にしない治療と七時間の睡眠予定を応援していただければ幸いです。

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