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リクが、やっとサクラ寵姫に閨の相手をさせたという噂は、あっという間に王宮名に広まってしまった。
リンドウもサレイも、すぐに事の真相を確かめにきたけれど、あたしは何もなかったと告げると、二人は安心したように帰っていった。
リクから、純白のウェディングドレスが贈られてきた。
「早すぎ……」
気が早すぎだっつーの。
まだ、リンドウかサレイか、どっちか答えだしてないよ。
リクの可能性はもうなくなった。最初はリクも入っていたけど、接しているうちに王様の王妃は無理だって、分かってきた。
それは、あたしの譲渡でも何でもなく、素直な心からきたもの。
あたしは、いつもの日課の如く、自分の部屋を出ると、まずはリンドウのいる騎士団の館を目指した。
そしてうんこがしたくなって、猛ダッシュで男子トイレを拝借する。
「ああああ、紙のかわりにダンボールがあるうう!」
ダンボールでケツふけってか。
ちょっと無理じゃね?
でも、結局あたしはダンボールでけつをふいて流したさ。
どの個室を見ても、ダンボールしかなかった。
どんな嫌がらせだ、これ。
「今日はダンボール週間!」
そんなことを発言して、トイレットペーパーをダンボールと入れ替えている騎士の頭に、蹴りをかましてから、あたしは一度王宮に戻って、けつをふき直した。
はぁ。
けつけつって連呼する17歳。
乙女だよ、これでも。
「さて、出直しますか」
騎士団の館にまたやってきた。
そして、練習場で、リンドウが部下に稽古をつけている姿を、何時間がじっと見ていた。
「サクラも、ちょっと剣振るってみるか?」
コクコクと頷いた。
ずしり。
その重さに、尻餅をつく。リンドウは笑っていた。
「これならもてるんとちゃう?」
女性騎士用の剣を渡された。
軽い。
あたしは、びゅっとそれで空を切る。かかしが、見事に両断されて、拍手喝采。
「サクラ、剣習てみいひんか。けっこういけるかもしれんで」
「うん、今度リクの許可とってみるね!」
あたしは、手を振って、剣を返してから走り出す。
今度はサレイのいる魔術師の塔に。
サレイは何やら怪しげな薬を開発している途中だった。
「サレイ?」
「ふふふふ。美しいこの私をさらに美しくする、「ビューティー薬」」
大分、元のサレイに戻ってきてるわ。
「あれ、サクラ?いたの?」
でも、あたしの姿を見つけると、性格がころりと変わる。可憐で華奢で色っぽいサレイ。どこか子供っぽさを残したサレイ。
あたしは、昼食にサレイを誘った。
リクの休憩室にいく。リンドウもリリエルもきていた。
リクは執務があらかた片付いたのか、すでに昼食を食べ終えた後だった。
それでも、リリエルと親子の時間を大切にしているので、まだ休憩室にいる。
あたしは、リンドウとサレイとリリエルと一緒に、狩猟祭でとれた肉の入ったシチューとかいろいろ食べて。
「ご馳走様」
リリエルとあたしは、大の大人二人前を軽く平らげる。
リリエルなんて、骨付きチキンにまだかぶりついている。
ムシャムシャガツガツ。
リリエルのテーブルマナーは、あたしが教えた通りから変わっていない。
リンドウもけっこう大胆に食べるけど、食の細いサレイは上品に食べる。
「ごちそうさま。うらあああ!」
骨になったものを、リリエルは、お決まりとばかりに父であるリクの顔に投げつける。
もうずっと、そんなことを続けているらしい。リクもこれが最高の食べ方なのだと思っているらしいが、骨をリリエルの顔に投げるなんて真似はしない。
変わりに、給仕係りに投げる。
ああ、ダメダメ親子。
そうさせたのはあたしだ!
ふはははは!
サイカ王国のテーブルマナーは野生の猿が飯に群がるような。そんな風景に似ていた。
ふはははは!
プウ。
「誰!おならこいたの誰!」
あたしは、リクを指差す。
「最低よお父様!」
いや、ほんとはこいたのはあたしです。
でも乙女だもの。
恥ずかしいじゃない。
全然ほんとは恥ずかしくないけどなー。
一応恥らっておかねばな!




