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その夜、湯浴みを終えて、あたしは念入りに香油まで身体に塗りこまれて、絹の夜着を着せられた。
「カカオ、何かあるの?」
「はい」
カカオは、自分のことのように嬉しがっていた。
あたしは、リクの寝室に案内された。
リクは、あたしを待っていた。
「これって…」
「そなたに、今日の閨の相手を希望する」
ベッドに組み敷かれて、肌を露にされて、あたしは身をくねらせた。
「うんこ!!うんこもれる!!」
嘘だけどさぁ。
「ははは。やはりサクラに適わぬな。重臣どもが、早く夜を共にしろと煩いのだ。形だけだ」
「そ、そう。じゃあ、この体制なんとかして!」
「そなたの肌はシルクのように肌触りがいい」
さわりと撫でられて、あたしはぞくりと甘い痺れを覚えた。
「だめ、だめ」
「無理強いはせぬよ」
開放されて、あたしは乱れた夜着を元に戻して、リクと一晩中語りあかした。
あたしの世界のことを、リクにいっぱい話した。
「あたしはね、家族は4人なの。あたしによく似たプロレス技が得意な母さんと、ちょっと臆病だけど優しい父さん、それに妹のすみれ」
「そなたが手に入らぬのであれば、そなたの妹のすみれとやらを所望する――と言いたい所だが、世界違うのではな」
「妹のすみれはまだ11歳だよ!」
「王に、妻の年齢などあまり関係ないものなのだよ」
「ふうん」
あたしは、リクと将棋をしだした。
次はオセロ。
全部あたしの勝ち。
リクってば弱いの!弱すぎ。
きひひひひ、賭けで100万リラゲットしちゃったもんね!
今月はうはうはだ!
何か綺麗な装身具でも買おうかな。
まぁ、リクに強請ったら、宝石とかそんなのは目玉が飛び出て元に戻らなくて、目玉の親父が生まれそうな、そんな金額の装飾品を買ってくれるんだけど。
あんまりにも豪華すぎて、日常でつけるにはちょっと気が退く。
「私は」
言葉を区切るリク。
「そなたを愛している。そなたがその気であるのであれば、正式に王妃に迎えたい」
あたしは、首を振った。
「あたしには無理だよ。それにリンドウとサレイが好き」
「そうか。私はあの二人に劣るのか」
「そうじゃないよ!リクもかっこいいし美形だし!いい人だし。でも、王様の后なんて無理だよ」
「そうか」
リクは静かだった。これが、大人というものなんだろう。
そしてリクという王なのだろう。
自分の力で、無理やりあたしを王妃にしない。
それがリクだ。
リクのもつ優しさ。
「ごめんなさい」
涙を流して謝るあたしの頭を撫でて、リクは手を差し出した。
「では、よき友でいてくれ。サレイかリンドウ、どちらかを選んだ、答えが出た暁には、盛大な結婚式を挙げてやろう」
「ありがとう」
あたしは、その手に手を重ねた。




