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180度変わったリクの言葉に戸惑う兵士。
「いいから、寵姫たちを守れ!」
「はっ」
その寵姫の一人であるはずのあたしが、先頭を切って森の中に入っていく。
オークの群れが、兵士を食べあさっていた。
血の濃厚な匂いに吐き気を催したが、我慢した。
「うなり、消え去れ!」
あたしは、金の堕天使の力を解放させた。金色の破滅の光がオークたちを飲み込んでいく。
逃れていくオークを、リクとリンドウが切り捨て、そしてリリエルが弓を射る。
「氷よ鋼となりて貫け!アイシクルランス!(氷槍)」
サレイの呪文で、雪の積もった地面にいくつもの氷でできた槍が現れて、まだかろうじて生き残っていたオークたちに止めをさしていく。
あたしは、黒い翼を、他の人に見られないようにすぐに消して、また金の堕天使の力を封印した。
そうでもしないと、災厄を呼びそうで。
この愛しいサイカ王国に。
「何よあれ……」
一部始終を見ていたサリーは、信じられないものを見ている目で、まだ夢の中にいるような気がして目を何度も瞬かせた。
「金の天使なの?あれが」
でも、翼は黒かった。
金の天使、金の堕天使は神話の存在だ。金の一族というが、ただの小娘ではなかったのか、サクラは。
「まぁ、どっちでもいいわ」
サリーに、金の一族に関する知識は皆無だった。必要ないからと、教えられなかった。
あたしは、オークを一掃すると、また狩りに戻った。
結局仕留めたのは雪狐と雪兎の2だけ。
リクなんて6も仕留めてたし、リンドウは10、サレイは興味ないのか、護衛に徹底していた。
リリエルは4。
ああ、8歳の少女にまで負けてしまった。
まぁいいや。
それなりに楽しめたし。
狩りで狩られた動物たちは、毛皮をはがれて肉は市場に出されるそうだ。
無駄にはしないからこそ、あたしも狩りをしたのだ。
だって、そうでもしないと、胸の奥に疼く殺意で、誰かを殺してしまう、そんな気がして。
今日の晩御飯は雪兎のスープをメインにしたもの。
あたしは、晩餐をリクとリリエルととっていた。
リンドウとサレイは後で食べる。会場の警護に当たっている。
リンドウとサレイは、何か囁きあって、互いに笑いあっていた。
きっと、また城下町に繰り出して、酒でも飲んでどんちゃんやらかそうとでも、約束しているのだろう。
最近のサレイは、ナルシストは消えたが、大分回復して、城下町にリンドウと一緒に飲みにまで行くようになった。
あたしはそれが嬉しかった。
レンの子供が、幸せになっていくのを見ているのが。
あたしは、運が良かったのだ。最悪、レンのように売られる可能性だってあっただろう。
でも、リクはあたしを寵姫として受け入れてくれたし、金の堕天使に羽化した後も、変わりなく接してくれる。
あたしは、それが嬉しかった。




