狩猟
夏も終わり、本格的に秋になった。季節は移ろい行く。
夏にできなかった狩猟祭が、秋に開催されることが決定された。
初めの数日間は、近隣諸国の王族や貴族を交えての堅苦しいもの。
リンドウを初めとした騎士団が護衛にあたり、忙しそうだった。
サレイを始めとした魔法士団も護衛の任務を帯びている。
狩猟祭は、2週間続くという。
あたしには、億劫だった。
「元気がありませんね」
カカオにホットミルク、それに砂糖を入れてもらったのを手渡されて、あたしは秋用のゴシックドレスの上からセータ-を着て、それをゆっくり飲んでいく。
「リクもリンドウもサレイもリリエルも。他の寵姫たちでさえ出席するのに、あたしだけ出席許可もらえなかったんだ」
「あら、それは皆がサクラ様の身を案じておられるからですよ。金の子、金の天使なんですから」
「そんなんじゃないよ」
あたしは、本当は金の堕天使なんだよ。
言えるものなら、そうはっきりと断言したかった。
狩猟祭が始まって、10日。
やっと、あたしの出席が許された。とはいっても、馬車の中から狩りの様子を伺うくらいなんだけど。
ええい、やってられるか!
あたしは、近くにいた白い馬に跨ると、走り出した。
馬の扱いを、このサイカ王国に来て教えられたので、馬には乗れる。
「姫様!」
カカオの悲鳴も無視して、リクやリンドウ、サレイの後を追う。
8歳になった幼いリリエルでさえ、狩りを許されているのだ。
一番傍にいた、兵士から弓を受け取る。
「あらぁ、弓なんて扱えますの?」
同じ寵姫のサリーが、見事な黒馬に跨っていやみを言ってくるが無視。
リクに追いつくと、リクは驚いていた。
「どうしてきた、サクラ」
「あたしだけ仲間外れは酷いわ」
「でも、そなたは殺生は嫌いなのであろう?」
「たまには、いいじゃない!」
あたしは白馬に鞭をくれて、リクが負っていた狐に向かって弓矢を射る。
それは見事狐を仕留めた。
サリーが、唇を噛み切った。悔しさのあまりに。
何度弓を的に射ても、全然あたらないのに、何故あんな女だけが!
元々、狩猟祭は寵姫は見るだけが仕事なのだが、リク陛下は弓を持たせてくれた。
ここで、あのにっくきサクラと差をつけようと思ったのに、逆に差をつけられたのはサリーのほう。
シータはサクラに夢中になって後を追いかけているし、エルニカはデブリとかいう醜い蛙に縄をつけて馬上から散歩させている。
ええい、忌々しい。
なんとか、あの女を懲らしめてやれないものか。
そこで、サリーは気づいた。
「ふふふふ」
サリーの気持ち悪い笑いを無視して、あたしは、リリエルに弓の射方を習う。
リリエルは鳥を2羽も仕留めた。
弓の腕は、リクより上だそうだ。
「陛下、大変です、森の奥にオークの群れが!」
「全員退避!騎士団を向かわせろ!」
「はっ」
あたしは、白馬を走らせる。その後ろから、葦毛の馬に乗ったリンドウとサレイも。
「騎士団は護衛に当たらせろ!」




