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「なぁ。いい?」
「え?」
「抱いて、いい?」
あたしは、その言葉が何を意味しているのか、分からないようで、そして分かった。
熱い抱擁。
あたしは頷いた。
リクが、あたしの頬を両手で挟みこみ、そしてキスして。
ゆっくりと、お互いの衣服を脱がせていく。
そして、あたしは。
リンドウに抱かれようとした寸前で、逃げ出した。
本当に、リンドウを愛しているのか、分からなくなって。
ただ、その場の感情に流されているのではないか。
そんな気がして。
あたし、いくじなしだなぁ。
でも初めてだし、怖かった。
リンドウは優しく接して抱いてくれようとしてくれたけれど。
あたしはまだ処女だ。
ほいほい身体を開くような女じゃない。
本当に、結論を見つけてから、あたしはその人に全てを委ねようと思った。
この命さえも。
あたしは、あたしだけの王。
なら、あたしの運命の人は、あたしを魅了する帝王だ。
衣服を乱し、呼吸も乱して戻ってきたあたしに、サレイが目覚めて強張った。
「サクラ、サクラ!誰かに、酷いことされたの!?」
ガクガクと、サレイの身体が震えだす。
だめだ。
あたしは、サレイを抱きしめて、サレイを落ち着かせた。
「大丈夫だよ。ちょっとね、リンドウとそんな雰囲気になっただけ」
「リンドウに抱かれたの?」
「ううん、逃げ出した」
てへって笑うと、サレイも笑みを零した。
あたしはパジャマを整えて、サレイを抱きしめながら、その日はまた眠りに落ちた。
「かなわんなぁ。17の小娘に必死になる俺。しかも手に入れられへん」
一人、屋上に残されたリンドウは、紅葉の葉っぱをくるくる回して、煙草に火をつけて一服してから、騎士団の館に戻るのであった。




