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2

さて、就寝の時間。


リリエルはシャーライに出迎えられて、自室に帰っていった。


サレイは、難しそうな魔法書を読んでいるけれど、時々大きな欠伸をしているし、目がとろんとしている。


「サレイ、寝よっか」


「うん」


あたしに手を引かれて、サレイは天蓋つきのベッドに横になる。


あたしも横になった。


「サレイ、あたしのこと恨んでる?」


「ううん。あれはレンが望んだ、ことだから」


あえて父とは言わないサレイが、何処か痛々しかった。


「向こうの世界でね。レンの残留思念に会ったわ」


「本当!?」


「うん。サレイをよろしく頼むって言われた」


「そう……」


少し悲しそうに声を落とすサレイ。


「サレイ、自信もちなさい!レンにちゃんと、貴方は愛されていた!」


「うん」


サレイは、絹のような手触りの金髪をシーツの上に惜しげもなく散らして。


そして、あたしを引き寄せた。

「サレイ?」


「私は、未だにサクラが好き。愛しているの」


「うん。ごめんね、まだ答え見つからないの。リクはちょっと違うみたいだけど、リンドウと比べられないの」


「そう。リンドウはいい人だから。サクラに似合ってるね」


「サレイもいい子だよ?」


「ありがとう」


絹のような金髪が、あたしの顔にまで流れてきた。それを手ですいで、その感触にややうっとりする。


美しいサレイ。優しく無垢で子供のようで。


そこはリンドウと共通する部分があるが、リンドウは頼りがいがあって強い人だ。


サレイも魔法士としては強いけど、精神的に弱く脆い。そして儚い。


多分、正反対の位置にあるんだろう。


リクは。


阿呆だ。終わり。


仮にもリクの寵姫であるあたし。でもリクにはもうなんか、恋心を抱けそうにない気がした。


サレイは眠っている。


スースーと、静かな寝息が聞こえる。あたしも眠っていたのだけど、誰かの気配を感じて起きた。


闇夜に輝く、薄紫の青みがかった瞳。息を呑む。


リンドウだ。


扉を閉めていたのに。リンドウには合鍵を持たせていたから、それを使ったのだろう。


「リンドウ?」


「ごめんな。こんな夜更けに」


「どうしたの?」


「顔見にきてん。昼も夜もずっと仕事でさ。サクラとろくに会話もできへんかったから」


「あの場所、いく?」


あたしが指し示す場所は、屋上のこと。


「行こか」


リンドウに抱き上げられて、あたしはそのまま屋上に続く階段を昇っていく。


そして、開け放たれた扉。


夜風が少し寒い。


そうだ、もう秋なんだ。


10ヶ月+あたしが帰ってくるまでに3ヶ月たったから、1年と1~2ヶ月。


季節は夏を終えて、秋になろうとしていた。


紅葉の樹林が、屋上からでも見れる。サイカ王国は、夏はそれほど暑くはないけど、秋になるとぐっと寒くなる。


冬になると雪が毎日のように降る。


リリエルと一緒に、スケートしたり、雪かきしたり、雪合戦したりしてたなぁ。


「寒い?」


言葉を返すまえに、リンドウは自分が羽織っていたマントであたしを包み込んでくれた。


この辺、大人だなぁと思う。手馴れているとも思うけど、仕方ない。


リンドウはもう28なんだもの。


あたしは、結局年をとったのか分からないままで。でも、きっと17なんだろう。


年齢差は変わっていない。11の年齢差。


「星、相変わらず綺麗やろ」


「綺麗だね」


恋人座を見つけて、あたし指を差した。


「あそこに恋人座があるよ」


「ほんまやな」


ぎゅっと、抱きしめられて、そのまま二人で屋上の真ん中に転がった。


ゴロゴロゴロゴロ。


あたしたちは、きゃははと笑い声をあげて、ゴロゴロと遊んだ。


「帰ってきて、ほんまに嬉しい。もう会えないと思うと、食事も喉を通らんかった」


「心配かけてごめん」


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