第8章-157 レイの容態
サクはコウをセキの家に案内した。
コウは室内を見渡した。
「久しぶりに入りましたが……改めて見ると、本当にセキさんらしい良い家ですね。」
「こちらです。コウ様。」
コウはサクの案内でレイの部屋に入った。
レイは息が荒く、先ほどよりも苦しそうだった。
コウは優しくレイを揺り動かした。
「レイさん。レイさん、起きてください。
僕の声が聞こえますか?」
レイは、薄目を開けてコウを見た。
「誰……ですか?」
「コウです。貴方の調子が良くなさそうだと聞いて、サクさんと一緒に様子を見に来たんです。」
「サクさんまで?……すみません。
仕事にも行ってないのに…。」
「謝る必要はありません。
僕は貴方の主治医ですし、調子が悪い時があるのは当たり前です。
さあ、ゆっくり深呼吸をしてください。
体温と脈を測りますからね。
少し冷たいですよ。」
コウは医療バッグから体温計を取り出し、レイの脇に挟ませ、脈を測った。
「少し熱がありますね。
目も少し赤いですし、クマも……お腹もかなり弱っているようですね。
睡眠不足と、ストレスでしょうか。
あとで、点滴を入れましょう。」
コウは医療バッグを閉じると、サクの方を向いた。
「サクさん。手伝ってください。
医務室に点滴用の器具を借りに行きます。
あとは、胃に優しいお粥でも作りましょうか。」
「かしこまりました。レイ様、失礼します。」
サクとコウはレイの部屋を出た。
コウが穏やかにサクに話しかける。
「貴方がいてくださって助かります。
僕1人では、器具の運び出しは難しいですからね。」
微笑むコウに、サクはなるべく落ち着いた声を出した。
「コウ様。このような時に誠に失礼ながら……ゼロユイをどうするおつもりですか?」
コウは不思議そうな顔をした。
「ゼロユイさん?
なぜ、今ゼロユイさんの話が出てくるのですか。
今はレイさんに点滴を打つのが先決です。
さあ、参りましょう。
お粥も作ってあげたいですしね。」
コウのまっすぐな瞳に、サクは頭を下げた。
「失礼いたしました。」
「謝る必要はありません。
そうですね、レイさんが落ち着いたら、お茶でも入れて話しましょう。
フフッ、貴方が何を話すのか楽しみですよ。」
「俺の話は、あまり楽しくないと思います。」
コウとサクは器具を借りに医務室に急いだ。




