第8章-150 お嬢様の目覚め
――お嬢様の屋敷――
セキはお茶を手に取り少し口に含んだ。
サクもセキと同じようにお茶を飲む。
セキはお茶をテーブルに置いた。
「リュウ、フィナ。お嬢様に会わせろ。」
セキの言葉に、
2人は困ったようにお互いに顔を見合わせた。
「リュウ、どうしよう?」
「うーん……どうすっかな。」
リュウは頭をかきながら、セキを見た。
「悪いんですけど、お嬢は、昨日から爆睡中なんすよ。
最近、丸2日くらい眠って、1日起きてるのがルーティーンみたいで。」
セキは腕を組み、指で腕をトントンと叩いた。
ソファーから立ち上がった。
「サク、帰るぞ。」
リュウは慌てた様子で、セキを通せんぼした。
「いやいや、待ってくださいって。
帰っちゃうんですか?
お菓子もお茶もほとんど……。」
「お嬢様と話せなければ意味はない。」
サクも立ち上がるが、リュウがサクの腕をガシッと掴んだ。
「待ってくださいって!
英雄に来てもらって、すぐ帰らせるバカがどこにいるんです?
起こしてみますから、待っててください。
寝起きは不機嫌かもしれませんけどね。」
リュウが2階に駆け上がっていった。
セキとサクは座り直した。
フィナは戸惑っている。
「あ……あの、色々とごめんなさい。
その……私たちは、えっと……。」
顔がみるみる青ざめていく。
サクはフィナに優しく笑いかけた。
「貴方がフィナさんですか。
ガーディがお世話になっております。」
「え?」
フィナの顔が少し明るくなった。
「ガーディを知ってるの?」
「俺はサクと申します。
ガーディは俺の弟です。
貴方のことはガーディから聞いています。
とても努力家で、綺麗で、優しくて可愛い女性だと。
まさに貴方のことですね。」
フィナの顔がみるみる赤くなる。
「私もガーディから、サクさんのことは聞いて……そんな、私、化粧もせずに……服も適当で……。」
フィナは顔を手で覆った。
サクは笑うのをやめ、丁寧に頭を下げた。
「謝らないでください。
いきなり来たのは俺なので。」
「そうかもしれない……けど……。」
フィナの耳まで真っ赤になったとき、2階から2人の足音が聞こえてきた。
「リュウ、本当にうるさい。
セキでしょ?私が起きるまで待ってもらえば良かったのに。」
「いやいや、そりゃ起こすでしょ。英雄ですよ?
でも、寝起きで張り手はやりすぎですって。」
「リュウだからだよ。フィナにはやらない。」
「それ、めちゃくちゃ酷くありません!?」
「酷くないよ。
リュウじゃなかったら、焼き殺してるから。
それにしても……眠すぎ。」
階段からお嬢様とリュウが降りてきた。
そこには、不機嫌そうにあくびをしたお嬢様と、頬が少し赤くなったリュウがいた。




