第8章-148 同行者
――屋敷への道中/馬車の中――
セキは馬車の中で毛布を羽織り、目の前の男を見た。
「サク。なぜ、一緒に来た?」
サクは寒さに体を震わせながら、セキを見た。
「断られなかったからです。
それに、興味がありました。
違う世界のこと、エネルギーを扱うお嬢様とは何なのか。
そして、俺の弟の恋人がどんな人物なのか。」
「そうか……エネルギーの話は誰から聞いた?」
「コウ様です。」
セキは眉間に皺を寄せた。
「コウめ……そこまで、サクに話したのか。
サク、今からでも帰れ。
浅い興味と慢心は身を滅ぼすぞ。」
「それでは、なぜ俺が乗り込んだ時に止めなかったのですか?」
「あの場で、もたつけばレイが勘付く。
あいつはお前より繊細だからな、いろいろと面倒だ。」
淡々と話すセキに、サクは軽く笑った。
「レイ様に、そう言ってさしあげたらいいのに。」
「どういう意味だ?」
「繊細だから心配だと。」
セキは顔をわずかにしかめた。
「バカを言うな。レイは私の副官だ。
甘やかしてはあいつのためにならん。」
「褒めて伸びるタイプもいらっしゃいます。」
「お前の食らいついてくるところは嫌いではない。
だが、調子に乗るな。」
サクはゆっくりと腕を前にやり、お辞儀をした。
「以後、気をつけます。」
「それでいい。それより、降りないのか?」
「今馬車を降りれば、セキ様のお時間を取ることになります。」
「お前は賢いのか、愚かなのか分からんな。
まあ、いい。サク、私の隣に来い。」
サクが不思議そうな顔で隣に座ると、セキは毛布を半分かけた。
驚くサクにセキは静かに言い放った。
「次は予備も用意しておけ。
震える部下を見ている趣味はない。」
「ありがとうございます。」
サクは毛布を少し引き寄せ、小さく頭を下げた。




