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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki
第8章ー裏側の中心へー

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145/160

第8章-145 ガイの腕

病院に着いた僕は、コウと裏口から入った。

ガイの病室に向かおうとしたが、反対方向に手を引かれた。


「ゼロユイさん、こちらです。

ガイさんはリハビリ室にいるんですよ。」


コウに手を引かれ、リハビリ室まで歩いた。


室内には、ガイとリハビリ師がいた。


ガイは怪我をした腕で、木でできた長い剣を握っていた。


腕は大きく震えていた。


「この程度の……剣ごとき……。」


ガイはリハビリ師に腕を支えられながら、ゆっくりと剣を振るった。


リハビリ師がガイの手から剣を取り、静かに語りかけた。


「ガイ様、腕を見ていましたが、この剣より軽いものの方が……。」


「くそ!俺はこれすら扱えないのか!?」


「本当は剣を扱うことすら、やめていただきたいんです。


ガイ様の怪我は、最初は剣を持つことはできない想定でした。


それがここまで回復しました。

今の回復自体が奇跡なんですよ。」


リハビリ師は必死に説得しているが、ガイは目を吊り上げた。


「俺はセキ様にまだ除隊も、異動も命じられてはいない!

それまでは何があろうと、努力せねばならん。

もう一度やらせろ!!」


「ガイ様、今日はもう……。」


扉の前で、静かに見ていたコウは、僕に医療バッグを渡した。


「少し待っていてください。」


コウはガイに近づくと、軽く背中を触った。


「ガイさん、精が出ますね。

ですが、リハビリ師を困らせてはいけませんよ。」


ガイはビクリと体を震わせ、コウに顔を向けた。


「コウ様……これは失礼をいたしました。」


ガイはコウに頭を下げた。

リハビリ師は剣を抱えたまま、ほっとしたような表情をした。


コウは笑顔でリハビリ師に軽く手をあげた。


「ガイさんのリハビリは僕が診ます。

貴方は次の患者の準備に入ってください。

隣の部屋が空いていたはずです。」


リハビリ師は剣を置くと、コウとガイに頭を下げ、僕に気づかずそそくさと部屋から出て行った。


コウはガイに穏やかに笑った。


「座ってください。腕を見ますから。」


ガイは床に座り、コウに腕を見せた。


コウはしゃがみ、ガイの腕を触った。


「やはり、筋肉の痙攣が強いですね。」


コウは剣を拾い上げた。


「重さは3キロくらいでしょうか。

ガイさんが普段使っていた剣と同じくらいですね。


剣を扱うのでしたら、2キロまでにしてください。

時間も10分以内。そうでないと認められません。」


「な……それだけですか!?

なぜそんなに軽く、時間も短いのです!?」


「剣を1回振るうくらいであれば、今の剣でも問題ありません。


体が完治すれば、30キロくらいまでの荷物なら、持ったり、引きずったりすることも出来るでしょう。


日常生活には困らないでしょうね。


ですが、剣を振り回す負荷を考えると、その程度でないと……。」


コウは淡々と説明を続けた。

ガイは絶句したのか、少しも動かなかった。


僕は柱の陰に隠れて2人を見ていた。


「分かりましたか?」


ガイはしばらく黙ったあと、小さく頷いた。

コウは軽く息を吐き、棚からタオルを取ると、ガイに手渡した。


「落ち着いたら病室に戻ってください。

待ってますから。」


コウは柱の陰にいる僕を手招きした。


僕はコウと一緒にリハビリ室を出た。


出る瞬間、ガイを振り返った。

タオルを握りしめたまま、ずっと下を向いていた。

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