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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki
第8章ー裏側の中心へー

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第8章-142 自粛の街

コウは3つのカップにお茶を淹れた。

僕が座るソファー前のテーブルに2つ置き、セキが作業しているテーブルにも1つ置いた。


「セキさんもどうぞ。」


セキは無言でお茶を飲み、書類を処理していく。


コウは僕の隣に腰掛け、お茶を飲み始めた。


無言の空間に、お茶の湯気だけが漂った。


「レイさんたち、遅いですね。

監査が長引いているのでしょうか。」


コウの言葉に答えるように、セキも口を開いた。


「確かに遅い。」


セキはそれだけ言うと、テーブルを指で軽く叩いた。


「誰か向かわせるか……。」


セキがそう呟いた時、扉から鈴の音が鳴り響いた。


扉の向こう側から声がした。


「セキ様、サクです。戻りました。」


「入れ。」


サクが部屋に入ってきた。

僕は思わず駆け寄った。


「サクさんだ!」


「え?ゼロユイ?」


サクはしゃがみ、僕と視線を合わせた。


「あれ……その顔、どうしたの?」


サクの右の頬が腫れて赤くなっていた。

後ろからセキの声が飛んできた。


「サク、何があった。レイは今どこにいる?」


サクは立ち上がり姿勢を正した。


「レイ様は現在、医務室にいます。

工場監査からの帰り、森で騒いでいた住民の取っ組み合いに巻き込まれました。


同行した警備隊が取り押さえましたが、レイ様が足に怪我を負い、俺もこの通りです。」


サクはそう言うと、監査の書類をセキのテーブルに置いた。


「監査は完了しています。

遅くなり申し訳ございませんでした。」


セキは軽く手をあげた。


「事情は分かった。コウ、サクの手当てを頼む。」


「もちろんです。

サクさん、ソファーに座ってください。

ゼロユイさん、消毒液とガーゼ、化膿止め……。」


僕は急いで医療バッグを開け、指定された道具を次々に取り出した。


サクはソファーに座り、僕をまじまじと見た。


「ゼロユイ、お前……コウ様と何してるんだ?」


「うん。今日はコウさんの病院にボランティアに来てるんだ。」


「ボランティア?

コウ様と……裁判長室に?」


サクは訝しげにコウを見た。

コウは丁寧にガーゼを顔に当てている。


「コウ様、随分と貴重な体験を子供にやらせていますね。

きっと研修生も羨ましがる内容でしょう。」


「そうかもしれません。

ですが、せっかく専属になってくれたんです。

色々と経験しないと、お互いにもったいないでしょう?」


「……専属?」


サクが消毒液をしまっている僕を見た。


「ゼロユイ、専属ってゼロユイが決めたのか?」


「うん。コウさんと街のお医者さんの、2つの専属になったんだ。」


「そうか。頑張ってるんだな。」


サクは笑い、僕の頭を撫でた。

コウはサクの頬から手を離した。


「さあ、終わりましたよ。

なるべく冷やしてくださいね。」


「ありがとうございます。」


サクがお礼を言うと、セキがペンを置き、テーブルから顔を上げた。


「サク、レイが戻るまで私の仕事を手伝え。

コウ、レイの診断は医務室で頼む。

ついでに様子を見てやってほしい。」


「分かりました。

ゼロユイさん、行きましょうか。」


「うん。サクさん、お大事に……またね。」


「ああ、またな。」


僕はサクに手を振った。

医療バッグを持ち、コウの後を追いかけるように裁判長室を出た。

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